■へ〜そうなんや@ (クリスチャン新聞より転載)

「サケの人工ふ化事始め」の話

10月に入ると、北海道屈指の清流・千歳川には、大量のサケが回帰する。

人工ふ化により誕生した稚魚は放流され川を下り、北洋へと向かう。

そして4年後、成長して再び戻ってくる。

その行程はおよそ3万キロ。

どのようなルートで北洋に出て、なぜ生まれた川に戻るのか…

そのメカニズムは今も謎である

 ★1888年(明治21)、

日本で最初のサケのふ化事業に取り組んだのはクリスチャンの伊藤一隆だった。

札幌農学校を卒業後、アメリカへ留学し人工ふ化の方法を学び、

帰国後この国家的事業に取り組んだ

★その事業がどうなったかは、後でふれるとして、

伊藤青年が洗礼を受けるのにどれほど苦労したかの顛末にふれたい。

実は、伊藤は夏期休暇で帰省した横浜で入信。

クラーク博士が札幌に赴任したその日に

聖公会の宣教師デニングに洗礼を受けたといういきさつ。

というのも、当初、宣教師が滞在していた旅館での洗礼式に横槍が入り、

戸外でと思えば駆けつけた巡査にとがめられ、

やむなく札幌に到着したばかりのクラーク博士の公邸で密かに行ったという次第

★さて伊藤が心血をそそいだ人工ふ化事業。

千歳川にサケの稚魚を放流して4年後の1893年、10月。サケは戻ってこない。

11月になっても何の変化もない。

遂に12月、もはや絶望と思われた6日の深夜、

サケが大群で戻ってきたのである

★以後、100年を経た今も、伊藤一隆が始めたサケのふ化事業は脈々と受け継がれている。