いつの間にか行く秋を惜しむ季節となりました。
ホザナ通信をお読み下さっている皆様、お元気ですか。
今月も「お父さん、出番ですよ」で共に子供達への関わりについてを考えてみましょう。
子育て勉強会に出たお父さんの話。
講師の先生が、「子供はほめて育てましょう。
決してバカなんて言ってはいけませんよ」とおっしゃいました。
この連載でも、繰り返し述べていることです。
さて、このお父さん、講義に大変な感銘を受けて帰るのです。
よーし、今後再び子供たちをバカ呼ばわりしないぞ!
ところが、家に帰ってみますと、お兄ちゃんが弟を叱っているのです。
「このバカ、何でこんなことをするんだ!」これを聞いたお父さん、
カーッとなってお兄ちゃんを叱りつけました。
「おいっ、弟にバカなんて言うな。ひねくれて育っちまうじゃねえか、このバカ!」
子供は親の言葉なんぞ聞いちゃあいません。
子供は親をじーっと観察して、親をモデルとしてその生き方を模倣しようとします。
このお父さんは、「バカって言うな」と口では教えているんですが、
実際には「人をバカ呼ばわりしろ」と教えているようなものです。
『子供は物まねの天才です。
子供は親の言うようにはしないで、親のするようにします。
「朝はあいさつをしましょう」と100万回繰り返すよりも、
毎朝お父さんがお母さんに「おはよう!」と元気にあいさつすることです。
え? 出勤が早いから子供たちはまだ寝ているって?
ある人は、毎朝一筆箋に
「○○ちゃん、おはよう。
今日はプール開きだね。どれだけ泳げるかな?」とか書いて出勤なさるそうです。
要は熱意です。本気で「あいさつしよう」と思っていたら、アイデアは無尽蔵に出てきます。
「お祈りしろ」「教会に行け」「聖書を読め」と教えることも大切ですが、
まずはお父さんが喜んで教会に行き、
いつも親しく主と交わり、神さまに喜んで従っていかれることが大切です。
子供に建前は通用しません。
ちまたには、いろいろな子育てのHow to本があふれています。
それだけみんな悩んでいるのでしょうが、どうやら子育てはテクニックではないようです。
もちろんテクニックは大切なんですが、
結局はお父さんの本音の価値観や生き様が試されることになります。
子供が関心を示すのは、親が何を言っているかではなくて、『親が何者であるか』、なのです。
子供が求めているのは親という生きたモデルなのです。
滋賀県にある止揚学園という施設での出来事です。
先生がアヒルのタマゴを数個もらってきました。
お友達は大喜びで大切に温めました。
やがて、卵が割れて雛が生まれました。
お友達は大切に雛を育てました。やがて雛はお友達の後を追っかけるようになりました。
そんなある日、一人のお友達が提案しました。
「この子達はアヒルだから池を作って泳がせてあげよう!」
先生もお友達も大賛成。力を合わせて池を掘りました。
いよいよアヒルの子達を池に放ちます。
池に放たれたアヒル達はバタバタと水の上を動いていました。
お友達は大満足。アヒル達をそのままにして部屋に戻り数時間が経ちました。
その間にアヒルの子達皆は溺れ死んでしまったというのです。
水鳥が溺れるなんてことあるでしょうか?でも事実起こってしまったのです。
鳥は卵から孵った直後に見る動く物体を親だと思い込む習性があります。
ですから例のアヒル達は施設の子供達を親だと刷り込んでしまい、
人間をモデルとして生きていたのです。
当然、泳ぐ見本もありませんから泳ぐ真似さえしていなかったことになります。
そこで突然、アヒルの子達は水上に放り出されたものですから、溺れてしまったというわけです。
動物たちにもモデルが必要なのです。
人間も同じです。子供だけじゃなく大人も同じです。モデルに倣って習熟していくのです。
人を動かすのには5つの方法があります。
@脅す。
A欲に訴える。
B理論で説得する。
Dほめる。
Eモデルを示す。
時と場合によって使い分けるのですが、
一番効果的で持続性があるのがモデルを示すことです。
お父さん、あなたはもうモデルになっていますよ。
是非、お父さんの24時間の行動を棚卸ししてみて下さい。
その背後にある価値観をチェックしてみて下さい。
心の奥のコンプレックスを点検してみて下さい。
それらは、ばっちりと子供たちに吸収されています。
それが良きものであることを信じますが、ますます良きものへと研いていかれますように。
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