野山の紅葉がことのほか美しい季節となりました。
ホザナ通信をお読みの皆様、秋を楽しんでらっしゃいますか。
今月も「お父さん出番ですよ」で共に考えていきましょう。
昔、孤児院で育つ赤ちゃんの発育が、家庭で育つ赤ちゃんよりも悪く、
また死亡率も高いことに気がついた学者が、その原因を調べました。
いくつかの孤児院を選んで調査しましたが、
おもしろいことに、日当たりや風通しのいい窓際の赤ちゃんではなく、
部屋の入り口に近いベッドに寝ている赤ちゃんの方が発育がいいのです。
さらに詳しく調べた結果、その原因は施設の保母さんや
掃除のおばさんだということが分かりました。
保母さんや掃除婦さんたちは、廊下を通るたびに、入り口に近い赤ちゃんたちにほほえみかけ、
声をかけ、時には立ち止まって体に触ったり、抱き上げたりしていたのです。
人は交わりの存在です。
人は人との交流なしには生きていけません。
時には交流によって傷ついたりしますが、交流なしには成長もありません。
考えてみれば、人は存在のはじめから交流しています。
胎児はお腹の中から外界の声を聞いていますし、特に母親との一体感の中で育ちます。
誕生してからは、両親や兄弟、祖父母などの人々に囲まれ、交流しながら育っていきます。
誕生後の赤ちゃんを取り巻く環境(交流)は、赤ちゃんにとっては第2の子宮のようです。
マシュマロのように真っ白で柔らかい心をもった赤ちゃんは
この交流の中から良しも悪しきも刺激を受けて育っていきます。
私は生まれて数ヶ月の赤ちゃんでも愛が分かるのだと自分の子供を通して教えられました。
赤ちゃんとお風呂に入っているときに
私は「生まれてきてくれてありがとう。お父さんは、あなたのことが大好きだよ」って
ギュッと抱きしめてあげると赤ちゃんの目がキラキラと輝いたのです。
どんなに小さくても愛は通じるんだ!と悟らされた瞬間でした。
触ったり、笑顔を向けたり、言葉をかけたり、じっと見つめたり、
こういう人から人への刺激のことを、ストロークと呼びます。
人は、他の人からストロークをもらわなければ生きていけないように造られているようです。
それは、赤ちゃんだけではなく、中学生でも、大人でもそうです。
ストロークには、それをもらうと気持ちがよくなるもの〈プラスのストローク〉と、
不快になるもの〈マイナスのストローク〉があります。
勿論、誰しも、もらうんだったらプラスのストロークの方がいいに決まっています。
ところが、それがもらえないとなると、マイナスでもいいから欲しくなるのです。
そして、相手からマイナスのストロークを引き出すような言動に出ます。
なぜ暴走族は町中を蛇行しながら、爆音を立てて走るのでしょうか。
バイクが好きだからではありません。だったらサーキットか、
車や歩行者のいない場所を選んで走ればいいのです。
「うるさいなあ」と市民に思ってもらうためなのです。
「うるさい!」「馬鹿野郎!」「この不良ども!」これらはみんなマイナスのストローク。
でも、何もないよりはましなのです。
『おなかがすくと、腐ったものでも食べたくなります。
心が飢えると、非難罵倒でもごちそうに思えてきます』。
あなたのお子さんのあの目に付く言動は、
もしかしたらストローク欲求の現れなのかもしれませんよ。
これを読んでいらっしゃるお父さんは、
奇妙な行動、悪い言動、悪い成績…
一般にマイナス・イメージでとらえられるようなことを
子供がしたときにだけ子どもに関わるのではなく、
普段何でもない時に、話しかけたり、肩を軽くたたいたり、笑顔を向けたり、
何気ない話にもじっくり耳を傾けたり、
そんなプラスのストロークをたっぷりと与えていらっしゃると思います。
自信を持ってそれを続けて下さいね。私も努力します
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