秋刀魚を焼く煙に食欲をそそられる季節となりました。

 ホザナ通信を読んでおられるお父さん、お母さん、お元気ですか。

 今月も「お父さん、出番ですよ」で共に生き方を考えてみましょう。

  岩月謙司氏の『女は男のどこを見ているか』はなかなか興味深い書物です。

 書名だけを聞くと“ちょっと危ない”ものを連想してしまうのですが、中身は全くそうではありません。

 “いい男”論と言ってもいいでしょう。

 是非、お父さん方に一読をお勧め致します。

  “いい男”と言ってもルックスのことではなく、生き様のことです。

 岩月氏は「自分がブランドになる」生き様こそ“いい男”の条件だと言います。

 つまり、愛と知恵と勇気、感謝の心をもって生きている男のことです。

 いい女は、男のそういう生き様を見ているのだと著者は語ります。

  こんなくだりがあります。

    マンガ『ドラえもん』の主人公であるのび太は、将来、しずかちゃんと結婚することになっています。

 しかし、のび太くんはあの通りの頼りない男性ですから、しずかちゃんは結婚前夜、迷います。

 お父さんの部屋に行き、聞くのです。

 「お父さん。私の結婚はまちがっていなかったかしら?」と。

 すると、しずかちゃんのお父さんは答えます。

 「いや、君の決断はまちがっていなかったと思うよ。

 なぜなら、のび太君は人の幸福を願い、人の不幸を悲しむことのできる人間だ。

 人間にとってそれが一番大切なことだからね」。

  要するに、のび太君の給料が20万円でも、200万円とか2000万円の給料を

 得ているのと同じ価値がある、ということです。

 つまり20万円の旅がのび太君と一緒なら2000万円の価値があるということです。

 しずかちゃんのお父さんは、のび太君と結婚すれば悦びと感動の人生になる、

 としずかちゃんを説得しているのです。

  人の幸福を願い、人の不幸を悲しむことのできる男性は、100%まちがいなく「いい男」です。

 男性は英雄体験をして知恵と勇気を獲得すると、

 一様に、人の幸福を願い、人の不幸を悲しむ人間になります。

 『ドラえもん』の映画は、実は英雄体験物語なのです。 



  男は英雄体験を通して、心が純粋になり、

 愛と知恵、勇気、感謝を獲得することができるのだ、と岩月氏は言います。

 岩月氏の言う英雄体験とは、何か大きなことを成し遂げるというのではなく、

 自分自身の弱さや恐れ、心の汚れや呪縛に挑んでいくことです。

 つまり、自分の中に潜む敵にチャレンジし続けることによって、

 男は愛と知恵、勇気、感謝を獲得できるというのです。

 このようにして獲得していった愛と知恵、勇気、感謝をもって

 女性を幸せにしていくことが“いい男”というわけです。

  成る程と思いました。実は、聖書にはこういう言葉があるのですよ。



  怒りをおそくする者は勇士にまさり
 
  自分の心を治める者は城を攻め取る者にまさる。
                 
                 (箴言16章32節)



  聖書は、3000年以上昔から、“英雄体験の勧め”を語っている書物だと言ってもいいでしょう。

 自分自身の中に潜む敵に挑み、克服していった人々の歴史が聖書に記されています。

 だから、聖書は、今日も尚、人々に共感と感動を与えるのです。

 ただ、そういう人々が自分だけの力で、内在する敵を乗り越えていったかというとそうではありません。

 彼らは何度も内在する敵に敗北を喫します。

 その度に、神様に赦され、励まされ、勇気が与えられ、力づけられて、一歩一歩前進し続けたのです。

 その結果、彼らは人生の勇者になったのです。

  お父さん達、宝塚歌劇のようなスマートな英雄なんてはどこにもいませんよね。

 失敗しつつも立ち上がり、人生に傷を負いながらも前を向いて生きていくことが英雄ですよね。

 そして、人の幸せを悦び、人の不幸を悲しめるようになることが英雄ですよね。

 お父さん、共に“いい男”になりましょう。

 神様は私達が“いい男”になることを応援して下さいます。



   喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい。
               
               (ローマ12章15節)


                               


おとうさん出番ですよO (ホザナ通信 2004年9月号より)