朝夕は幾分しのぎやすくなりましたが、日中の暑さはまだまだでございます。

 ホザナ通信読者の皆様、お元気でいらっしゃいますね。

 7月号は誠に勝手ながら休刊とさせて頂きました。

 しかし8月は、皆様にこのように届けできますことを大変嬉しく思っています。



  最近は携帯電話をみんなが持つようになり、テレホンカードは余り使われなくなってしまいましたが、

 逆に、社会にはテレホンカード人間が増えていると言われているそうです。

 テレホンカード人間の特徴として挙げられている以下の点には、

 なるほどと思わされると同時に、私にとって耳の痛い指摘です。



 1)矢印の方向に入れた時しか、仕事をしない。

 2)あらかじめ指定された量の仕事しかしない。

 3)表は派手で、裏は暗い。裏表がある。

 4)薄っぺらで軽い。

 5)ちょっと働いただけでピーピー不平を言いながら帰ってくる。

 6)機械につかわれ、機械がなければ仕事ができない。

 7)使い終わった後、つぶしがきかない。

 (樋野興夫著「ガン哲学」P56)



  このようなタイプの人間はいつの時代にも見られるのでしょうが、
 
  昨今とみに目立ってきたということでしょう。



  8月は夏休みで子供達がずっと家にいました。

 家でゴロゴロ過ごす子供達の姿を見ながら、この「テレホンカード人間」を思い出しました。

 一定方向でしか家の手伝いをせず、決まった量の手伝いしかせず、

 ちょっと手伝いをしただけでピーピー文句を言う…。

 う〜ん、まさに「テレホンカード人間なり」と痛感した次第です。と同時に、

 親である私自身にもそのような傾向があることも深く反省しました。

 子供は親を写し出す鏡です。

  「テレホンカード人間」の本質は、一言で言って「未成熟」ということでしょう。

 物質が豊かすぎては、創意工夫、忍耐力、感謝能力が養われにくいのかも知れません。

 最近では夏休みの工作の宿題でも、お店に行けば工作キットが販売され、

 苦労せずに直ぐにきれいな作品が作れるようになっています。

 私の時代は、自分であれこれと材料を集めてきて、想像を豊かに働かせ、

 時間と忍耐をかけて作り上げたものです。

 時にはノコギリで手を切ったり、金槌で釘の代わりに手を打ったりしながら…。

 勿論、出来映えは、工作キットのようにキレイではありませんが、

 個性豊かなものができあがったものです。

  豊かさ、便利さ、快適さは非常にありがたいものですが、

 一つ間違えば、人間の成熟を妨げかねません。

 この豊かな時代にあっても「成熟」を意識した生き方をしたいものです。

  こういう生き方のモデルとなるのが“お父さん”ではないでしょうか。

 お父さんという存在は、子供(特に男の子)が自分のアイデンティティ(=自分とは何者か、

 自分は何のために生きているのかを確認すること)を確立していくプロセスで土台となります。

 お父さんが不在であったり、お父さんの生き方が揺れ動いていると、

 子供の心は不安定になり、子供は自分自身をしっかりとグリップできません。

 結果、社会に出てからも健全な人間関係を持つことに困難を覚えたり、

 責任が伴う仕事を避ける一方、自分に自信がないために

 いたずらな嫉妬心や競争心だけを持って生きるようになることもあるそうです。

 お父さんとの健全な同一化が行われれば、成長してお父さんから離れた後でも、

 お父さんは自分の心のなかで内的対象として生き続け、

 独自性を持つ一人の人間として愛することができるようになります。

  お父さん達、私達の存在は何と重要なことでしょう。

 単にお金を運んでくるだけの人間ではありません。経済面だけでなく、

 精神面においても家族に大きな影響を及ぼすのです。

 聖書は私達に「本当のお父さん」を示す本です。

 お父さんである私達は、聖書に示されている「本当のお父さん」を見つめつつ、

 お父さんとして成熟していきたいものですね。


                                


おとうさん出番ですよN (ホザナ通信 2004年8月号より)