庭の黒土にも春の匂いが感じられ、心地よい季節となりました。

 今年度もホザナ通信をよろしくお願いいたします。

 さて、今月も「お父さん、出番ですよ」で共に考えてくだされば嬉しいです。

  日々お忙しく過ごしておられるお父さんに、『主よ、時間はあります』という散文があります。

 長いので後半のみご紹介します。



  …子どもが遊んでいる、いま時間がない、じゃぁ、あとで。

 小学生が宿題を持って帰る、いま時間がない、じゃぁ、あとで。

 大学生が講義に出る、勉強が多すぎる、時間がない。

 青年が運動をする、時間がない、じゃぁ、あとで。

 新婚のご主人が新居の手入れをする、時間がない。

 父親は子どもがいるから時間がない、じゃぁ、あとで。

 おじいちゃん、おばあちゃんも孫たちがいるから、ひまがない、またいつか。

 病気だ、治療が必要、ひまがない、じゃぁ、あとで。

 死にそうだ、時間が…もう遅すぎる、時間切れだ。
 
 主よ、このように、みんな時間を気にして生きているのです。

 人生を走りながら、急いで、押しあいへしあい重荷を負いすぎ、狂気じみてゆくのです。

 けれども、とても目的地にはつけません、時間がないのです。

 どんなに努力しても、まだまだ時間がないのです。

 ほんとに時間が足りないのです。

  主よ、もしや、あなたの時間設定が間違ってたのでは。

 どこかに大きな狂いがあったのではありませんか。

 一時間が短すぎ、一日が短すぎ、一生が短すぎるのではありませんか。

 主よ、あなたは時間を越えていらっしゃるから、

 私達が時間と苦闘しているのをみて、ニッコリなさいます。

 あなたはご自分でなさってることがお分かりだから、

 あなたがなさった時間配分に狂いはないでしょう。

 あなたは私達に、ひとり一人それぞれにあなたがお求めになることをする時間をお与えになりました。

 だから私達は、時間を無駄に使ってはならないし、

 時間を浪費したり、時間を潰してはならないのです。

 時間はあなたからの贈り物だからです。

 しかも滅びゆく贈り物、保存のできない贈り物なのです。

  主よ、私には時間があります、沢山の時間が。

 あなたが私にくださった時間はすべて、私の人生の年数も、私が生きる年月の日数も、

 私が過ごす日々の時間数も、それらはすべて、私にくださったものです。

 だから、私のなすべきことは、静かに穏やかに、完全に満ち溢れるまで一杯にすることです。

 そしてその味気ない水のような時間を、

 あなたはかつてガリラヤのカナでなさったように濃いぶどう酒に変えてくださるでしょう。

  主よ、私は今宵、あれをする時間、これをする時間がほしいとは言いません。

 あなたが私に下さった時間の中で、あなたが私にせよ、とおっしゃったことを

 (ミシェル・クォスト著『神に聴くすべを知っているなら』)



  この詩の解説として著者はこう言っています。

 「たいていの人は時間がないと言ってこぼす。

 それはあまりにも人間的に自分の人生を見ているからだと思う。

 神が我々に要求なさることをする時間は、いつでもある。

 しかし、その要求なさる瞬間に、我々はすっぽり自分を投げ込まねばならない。」



  私の息子はこの4月から小学校に入学しました。

 早いものです。私は出産に立ち会いましたので、息子の出産シーンを思い出すことができます。

 そう考えると、子供達と共に過ごす時間の大切さを痛感させられます。

 親は神様からこの子を育てるようにと預けられます。

 私達親はこの天からの責任を喜んで果たしていきたいものです。

 そのためには『時間がない…』と言って子供達と共有する時間を後回しにしすぎないで、

 うまくやりくりできたら素晴らしいですよね。

 愛情は時間によって計られるという一面がありますから。

  NHK朝の連続ドラマ「てるてる家族」の中で

 パン屋のお父さん岩田春男さんのセリフでこんなのがありました。

 親は子供のイースト菌なんや。

 供を大きく成長させた後は、消えてしまうもんなんや。

 イースト菌になろう…!』って。感動的な言葉ではないでしょうか。

 親芋は子芋を成長させるためにシワシワになってしまいます。

 それを惨めだと言うでしょうか。いいえ、ものすごく尊いことです。

 これが親の基本的な姿ではないでしょうか。

 ただ、人間と植物の違うところは、人間の場合、親が子供達に愛と命を注げば注ぐほど、

 親も充実してくるということです。これが人間の命のすばらしいところです。

  お父さん、お忙しいでしょうが、子供達と時間を共有しましょう。

 子供達と共に笑いましょう。背中だけでなく顔を見せてあげましょう。


                               


■おとうさん出番ですよJ  (ホザナ通信2004年3月号より)