2006年8月号

☆「自分らしさ」を生かすキーワード ☆
  
               

  虫の音にも秋の気配を覚える昨今、皆さんいかがお過ごしですか?

 夏休みも終わり、お母さん達はホッとしてるかも知れませんね。

 さて、少々遅れましたがホザナ通信8月号をお届けいたします。


  先月「〈旭山動物園〉革命―夢を実現した

 復活プロジェクト(小菅正夫著)」から分かち合いましたが、

 今月もこの書物から考えさせられたことを分かち合いたいと思います。


  旭山動物園の最大の特徴は、

 動物達が独自の能力を発揮出来るように工夫された

 「行動展示」にあります。

 先月にも引用いたしましたが、

 小菅氏はこう記しています。

 「人間でも、自分が誰にも負けない能力を発揮出来る場を与えられて、

 それを人に評価されれば、そんな嬉しいことはないだろう。

 勉強でも、運動でも、仕事でも、もっとやろう、

 もっと上手くなりたいと思って益々能力を高めていくだろうし、

 イキイキしてくるはずである。

 動物も同じだと思う。

 外の動物にはない、

 自分だけの能力を発揮出来る環境を提供されたいのだ」。

 更に彼は言います。

 「野生動物と向き合い、園長として動物園のスタッフを見ていて思うのは、

 動物も人間も、『自分らしさ』を発揮出来る

 環境はなにものにも替えがたいということである」。


  確かに“自分の能力が発揮出来る”、

 “自分らしさが発揮出来る”ことは喜びと生き甲斐をもたらします。

 そしてそのような環境を整備することは大変重要なことです。

 しかしここで動物と人間の違いが顕著になるでしょう。


 動物の場合、特別に設計された檻に1匹だけ入れておかれても、

 彼らの能力を発揮するのに差ほど影響はないでしょう。

    


  しかし、人間の場合はそうはいきません。

 人間の自分らしさは、自分ひとりでは発揮できないからです。

 違った個性をもった人々との関係の中で、

 自分らしさが発揮されるものなのです。

 誰ひとりいない無人島で、

 自分の能力を十分に発揮できたとしましょう。

 それは喜びでしょうか。

 いいえ、何の満足も喜びもありません。

 ただ「空しい」の一言に尽きるでしょう。

 人間には、認め認められる、褒める褒められる、

 助ける助けられる、という関係が必要なのです。

 つまり人は互いに役立ち合うことによって、

 初めて自分らしさを輝かすことが出来るのです。

 ですから人が自分らしさを発揮する環境を整備するとは、

 人間関係を整備することに尽きます。


  文豪・夏目漱石は「草枕」の出だしでこう言っています。

 『山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。

 智(ち)に働けば角(かど)が立つ。

 情(じょう)に棹(さお)させば流される。

 意地を通(とお)せば窮屈(きゅうくつ)だ。

 とかくに人の世は住みにくい。』


  さすが文豪、うまく言ったものです。

 人の世、つまり人間関係の世は、確かに住みにくい。

 この住みにくい世で、如何に互いに役立ち合いながら、

 自分らしさを輝かせていけるのでしょうか。

 これは人間社会の永遠のテーマでしょう。


  この人間社会の永遠のテーマに対して

 永遠のベストセラー聖書は何と言っているのでしょうか。

 聖書は「愛」「感謝」「赦し」、

 この3つが人間関係の中で自分らしさを発揮する

 キーワードであると言っています。

 他の人でなく、先ず私達が愛と感謝と赦しを発信していくなら、

 人間関係が良循環となり、自分らしさが輝きだすことでしょう。


  “そんなこと分かてる。

 分かっちゃいるけど出来ないんだ…”とつぶやいた方がいるでしょうね。

 そうです。それが私達の弱さです。

 でも聖書は、単に教訓を垂れるだけでなく、

 その教訓を実行する力を与えてくださるキリストを紹介しているのです。

 私達が、聖書を通してキリストに出会っていく時に、

 心が新しくされ続けて、私達の生き方が変えられていくのです。

 「自分らしさ」というオンリーワンの宝をキリストと共に輝かせましょう。


                   教会学校教頭 新谷和茂