鉛 lead 82Pb=207.2

Pb 鉛 lead Pb d=11.35g/cm3 mp=327.5ºC bp=1744ºC
主要鉱物は方鉛鉱PbSや白鉛鉱PbCO3など。硫化鉱を焙焼して酸化鉛とし、これを溶鉱炉中で一酸化炭素によって還元することで得られる。白色で軟らかく,加工しやすい。新しい切口は金属光沢があるが、空気中では直ちにさびて鈍色となり、これが鉛色と言われるものである。希酸には(希塩酸にも希硫酸にも)一般に侵されにくいが、酸素が共存すると酢酸のような弱酸にも溶ける。蓄電池用鉛板、管、板などの製造に用いるほか、活字合金、易融合金の成分としても重要である。原子番号が大きいことを利用して、放射線遮蔽材としての用途もある。


Pb3O4 四酸化三鉛 trilead tetroxide Pb3O4d=9.1g/cm3
実体は複酸化物PbIIPbIVO2である。ふるくから赤色顔料の鉛丹(minium,光明丹)として知られてきたもので、水に不溶の赤色の正方晶系結晶。絵具やペンキの赤色顔料、鉛ガラスの製造に用いる。


PbO 酸化鉛(II) PbO d=9.53g/cm3 mp=886ºC bp=1470ºC
密陀僧(みつだそう)、リサージ(litharge)、金密陀(きんみつだ)、,マシコート(massicot)などいろいろな名前を持つが、単に酸化鉛といえばこれをさすことが多い。α、βと2つの構造がある。α型(リサージ)は赤色の正方晶系結晶で低温で安定。β型(マシコート)はα型から587℃で転移してできる黄色の斜方晶系結晶である。両性酸化物で、酸・アルカリのどちらにも溶けて塩をつくる。鉛ガラス、ほうろう、顔料などに用いる。


PbO2 酸化鉛(IV) PbO2
二酸化鉛(lead dioxide)ともいう。Pb2+とO22-の化合物ではないので過酸化鉛(lead peroxide)は誤称である。ふつうのものは赤褐色で加熱すると酸素を放って低酸化数の酸化物となる。水に不溶。金属にちかい電気伝導率をもつので、鉛蓄電池の正極に使われている。酸化剤で標準酸化還元電位は+1.455V(対NHE)である。


2PbCO3Pb(OH)2 塩基性炭酸鉛 basic lead carbonate 2PbCO3•Pb(OH)2 d=g/cm3
天然には白鉛鉱として産する炭酸鉛が熱水中で水酸化物塩2PbCO3・Pb(OH)2となったもので、古くから白色顔料に用いられた鉛白(えんぱく)である。陶磁器のうわぐすり、顔料などに用いられる。


PbSO4 硫酸鉛 lead sulfate PbSO4 d=6.2g/cm3 mp=1070〜1084ºC
天然には硫酸鉛鉱として産する。無色の斜方晶系結晶で、水に難溶だが強酸には易溶、過剰のアルカリには亜ナマリ酸塩となって、また過剰の酢酸塩には酢酸鉛となって溶解する。鉛蓄電池で放電とともに生成する。


PbS 硫化鉛 lead sulfide PbS d=7.59g/cm3 mp=1114ºC
鉛と硫黄とを直接反応させて得られる黒色の立方晶系結晶で、岩塩構造をとる。天然に方鉛鉱として産する。希塩酸、希硫酸、硫化アルカリに不溶だが、硝酸に可溶。光沢があり半導体である。 3〜8nmの光を透過させることや、光起電力効果が著しいことを利用して、光電池、赤外線検出器、露出計などに用いる。


PbCl2 塩化鉛 lead chloride PbCl2 d5.85=g/cm3 mp=501ºC bp=950ºC
無色の絹糸状斜方晶系結晶。300℃での導電率が0.003S/cmlと、融点よりかなり低い温度でも液体や電解質溶液の値に近い大きいイオン伝導率を示すので、固体電解質として超イオン導電体に属する。冷水に難溶だが熱水に可溶なので塩化銀と区別できる。希塩酸には難溶だが、濃塩酸には[PbCl4]2-をつくるので容易に溶ける。


PbCI2 ヨウ化鉛 lead iodide PbI2 d=6.16g/cm3 mp=402ºC bp=954ºC
ハロゲン化鉛の色は、ハロゲン化銀に似ていて、ヨウ化銀と同じように黄色の結晶である。水には溶けにくいが、ヨウ化カリウム水溶液にはよく溶ける。気体ではPbI2分子が存在することが知られている。

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