リン 15P=30.97

P 赤リン red phosphorus P d=2.20
黄リンを不活性気体中で熱するか、光を照射すると得られる。赤褐色、無臭の固体で無定形。黄リンと違って二硫化炭素に不溶。250〜260℃で発火するのでマッチの側薬に使用される。リンの原子がたくさんつながった大きな分子で無毒。高純度リンは化合物半導体の原料となるが、ふつうの純度のものはマッチ、リン化合物、農薬の製造に用いられる。


P 黄リン yellow phosphorus P4 d=1.82 mp=44.1ºC bp=280.5ºC
リン鉱石に珪砂とコークスを加え、電気炉中で1300〜1400℃に加熱して蒸気として留出させたものを冷却すると黄リン(白リンwhite phosphorus)を得る。表面に薄い赤リンの被膜を生じて黄色を帯びたろう状の固体で正4面体形分子からなる。 空気中で自然発火して酸化リン(V)となるので水中に保存する。ハロゲンとも激しく反応する。水に不溶だが、ベンゼン・二硫化炭素には可溶。猛毒。


P4O10 十酸化四リン P4O10 d=2.30g/cm3 mp=580ºC 約350ºCで昇華
五酸化リン(phosphorus pentoxide)ともいう。 リンと過剰の酸素との直接反応で得られる白色の粉末状固体。PO4の4面体が無限に連なった共有結合性結晶で、水と反応して各種リン酸の混合物を生じるが、水が過剰の場合オルトリン酸を与える。吸湿性の強い白色の粉末。水をかけると煙をだして激しく反応する。皮膚に触れると火傷のような症状をおこすので、取扱いに注意を要する。P4O10は分子式であり、P2O5は組成式である。


H3PO4 リン酸 phosphoric acid H3PO4 d=2.00g/cm3 mp=42.35ºC bp= ºC
十酸化四リンP4O10が加水分解を受けて生ずる種々のオキソ酸の総称。 オルトリン酸(orthophosphoric acid)H3PO4は無色の単斜晶系結晶で、PにOと3つのOHが4面体状に結合した構造。潮解性がある。3価の酸でpK1,pK2,pK3は2.15,7.20,12.35(25℃)であり酸としては中程度の強さである。常温ではきわめて安定だが温度を上げると脱水縮合して,縮合リン酸になる。 75〜89%水溶液として市販されていて、金属表面処理、食品添加物、染色処理、リン酸塩類原料などに使われる。有毒で粘膜を強く刺激する。


NaH2PO4 リン酸二水素ナトリウム sodium dihydrogen phosphate NaH2PO4 d=2.37g/cm3 mp= ºC bp= ºC
無色の単斜晶系のイオン結晶。潮解性がある。一,二,七水和物があるが、室温では水溶液から二水和物が析出する。 緩衝液,食品加工などに用いる。リン酸一ナトリウム


Na2HPO4 リン酸二ナトリウム disodium hydrogenphosphate Na2HPO4 d= g/cm3 mp= ºC bp= ºC
二、七、12水和物がある。水溶液からの析出温度が0〜35.4℃で12水和物が、95℃以上では無水塩が得られる。いずれも白色粉末または無色の結晶。 風解して七水和物(単斜晶系)になりやすい。 水溶液は弱アルカリ性で緩衝液用によく利用するほか、食品加工、洗剤などに用いる。工業部門などで単にリン酸ナトリウムとよばれることもある。

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