ニッケル nickel Ni d=8.90 mp=1450 bp=2730
銀白色で、鉄と同様に延性、展性に富み、鍛造・鍛接ができる。空気，湿気に対して鉄よりも安定だが、微粉末は発火性があるなど活性で水素添加の触媒にも使われる。塩酸、硫酸、希硝酸に溶けるが濃硝酸には鉄と同様に不動態をつくり侵されない。鉄族元素の１つで鉄と同じように強磁性体でもある。

塩化ニッケル nickel chloride NiCl₂
無水塩は光沢のある黄色鱗片状の三方晶系結晶で、水に易溶、ブチルアルコールにも溶ける。その他に二，四，六，七水和物が知られている。六水和物は緑色の柱状単斜晶系結晶。trans‐[NiCl₂(H₂O)₄]分子が基本単位で、潮解性。エタノールに易溶。

硝酸ニッケル　nickel nitrate　Ni(NO₃)₂•6H₂O d=2.05 mp=56.7ºC bp=136.7ºC
無水塩は淡黄色の潮解性固体。二、四、六、九水和物があり、結晶化温度が低いほど水和水の多いものが得られる。室温では緑色潮解性の六水和物実体は[Ni(H₂O)₆](NO₃)₂が析出する。

硫酸ニッケル nickel sulfate　NiSO₄ d=1.95 mp=99
無水塩は緑黄色の立方晶系結晶だが、室温で水から晶出するのは七水和物で，その実体は[Ni(H₂O)₆]SO₄・H₂Oである。その他に一，二，四，六，七水和物が知られている。七水和物は陽，陰イオン自体はキラルではないが、結晶中での配列がキラルであるため旋光性を示す。