水銀 mercury 80Hg=200.6

Hg 水銀 mercury Hg d=13.6g/cm3 mp=-38.842 bp=356.58
自然水銀として産出することもあるが、主要鉱物は辰砂HgSで辰砂を空気中で500〜700℃に加熱し,蒸気として遊離した水銀を冷却すれば金属が得られる。室温で液体であるただ1つの金属。電気陰性度は1.9で、空気中では変化しないが300〜400℃に加熱すると赤色の酸化水銀(II)HgOとなる。水に対する溶解度25μg/dm3(25℃)。塩酸,希硫酸とは反応しないが、硝酸、濃硫酸、王水に溶ける。多くの金属とアマルガムをつくる。有毒で環境汚染物質であるため,その消費は世界的に減少しつつある。


Hgl2 塩化水銀 HgCl2 d=5.44 mp=276 bp=302
昇汞(しょうこう)corrosive sublimateともいう。無色の斜方晶系結晶。直線状Cl-Hg-Cl分子からなり、水溶液中でも大部分は分子として溶けている。Hg-Clは2.28Å(気体分子でもHg-Clは2.28Å)。エタノール,酢酸エチルによく溶け、エーテル、酢酸などにも溶ける。体内に入ると毒性が強く、消毒剤や木材の防腐剤などに用いられる。


HgSO4 硫酸水銀 mercury sulfate HgSO4 d=6.47
無色の斜方晶系結晶で酸に溶ける。600℃以上で水銀、酸素、硫黄酸化物に分解する。体内に入ると有毒。 アセチレンからアセトアルデヒドをつくるときの触媒として使われた。


HgI2 ヨウ化水銀 HgI2 d=6.30
126℃以下で安定な赤色型、それ以上で安定な黄色型および準安定な橙色型の3型がある。ヨウ化水銀とヨウ化カリウムとの錯体K2[HgI4]を水酸化カリウム溶液に溶かしたものは、ネスラー試薬(Nessler's reagent)にとしてアンモニアの検出に利用する。


硫化水銀 HgS
黒色と赤色との2種がある。黒色硫化水銀は水銀塩の水溶液に硫化水素を通じると得られる。赤色硫化水銀は、鉱物の
辰砂cinnabarとして産出する。医薬、顔料(朱)に用いられ、毒性は低い。


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