カルシウム 20Ca=40.08

Ca カルシウム calcium Ca d=1.55g/cm3 mp=839ºC bp=1484ºC
カルシウムの単体は、金属である。水やアルコールと反応するので注意がいる。アルカリ土類金属の1つとしてひろく分布する。動物の栄養に不可欠で,骨,歯,殻の主成分であり、植物にとっても必須元素である。塩化カルシウムを主成分とする融解塩の電解で得られる銀白色の軟らかい金属である。 炎色反応は橙赤色。常温で酸素・ハロゲンと直接結合し、高温では水素・炭素・窒素とも反応する。水,エタノールに水素を発生して溶け、液体アンモニアにも可溶。鉛‐カルシウム合金は鉛蓄電池の格子材料となる。


CaO 酸化カルシウム calcium oxide CaO d=3.37 mp=2572ºC bp=2850ºC
酸化カルシウムは、白い固まりで、生石灰(quick lime)ともいう。 吸湿性があり、空気中に放置すると水と二酸化炭素を吸収して水酸化カルシウムと炭酸カルシウムになる。典型的な塩基性酸化物で、水と反応すると強く発熱して水酸化カルシウムとなる。製鋼用、セメント、ガラスの原料、乾燥剤などに用いる。


Ca(OH)2 水酸化カルシウム calcium hydroxide Ca(OH)2 d=2.24
消石灰(slaked lime)ともいう. ふつうは水を含んだ無色粉末であるが、100℃以上で水を放ち、580℃以上で完全に酸化カルシウムとなる。水に難溶であり、水溶液のアルカリ性は水酸化アルカリより弱い。飽和水溶液を石灰水(lime water)、懸濁液を石灰乳という。 固体または水溶液は二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムとなりやすく、また酸とは反応して各種カルシウム塩をつくりやすい。 安価な工業用塩基としてアンモニアソーダ法や炭酸ナトリウムのカセイ化などに広く用いられ、酸性土壌の中和剤にもなる。


CaCl2 塩化カルシウム calcium chloride CaCl2•6H2O d=1.68
アンモニアソーダ法の副生成物として多量に得られる。30℃以下では6水塩が、40℃以下では4水塩が、それ以上では2水塩が析出する。結晶を加熱すると、175℃以上では1水塩に、約300℃以上で無水塩になる。アルコール、アセトンに可溶なので、これらの乾燥剤としては使えない。6水塩を寒剤として使用すると-54.9℃まで到達できる。


CaCO3 炭酸カルシウム calcium carbonate CaCO3 d= mp=ºC bp=ºC
石灰岩、大理石方解石calciteなどとして産出する。る.六方晶系結晶で硝酸ナトリウム構造のものと、斜方晶系で硝酸カリウム構造のものとがある。加熱により二酸化炭素を放出して酸化カルシウムになる。 水に溶けにくいが、弱酸の塩なので酸に溶けてCO2を放出してCa2+の溶液となる。CO2を含む水にはCa(HCO3)2を生じて溶ける。 石灰石を粉砕したものを重質炭酸カルシウム、合成されたものを沈降性炭酸カルシウムという。


CaSO4 硫酸カルシウム calcium sulfate CaSO4•2H2O d=2.31g/cm3 mp=ºC bp=ºC
石膏gypsumとして産出する。CaSO4は、無水塩のほかいくつかの水和物がある。無水塩は天然には硬セッコウとして産する。二水和物のCaSO4・2H2Oは、鉱物のセッコウで無色の単斜晶系結晶。0.5水和物のCaSO4・0.5H2Oは、無色の六方晶系結晶で水に難溶。焼セッコウは、水分を吸収して二水和物にもどる性質があり、水を加えかきまぜると発熱し体積を増して固化する。


Ca(NO3)2 硝酸カルシウム calcium nitrate CaNO3 d=2.36g/cm3 mp=561ºC bp= ºC
四水和物は光沢ある無色の立方晶系結晶。潮解性があり、42.5℃で結晶水に溶け、130℃以上で無水塩となる。大気中の窒素を固定して硝酸カルシウムを製造する直接的方法はビルケラン(Birkeland,K.,1867.12.13-1917.6.15)とエイデ(Eyde,S.)により発明され(ビルケラン‐エイデ法)、肥料に用いることもある。


calcite フッ化カルシウム calcium fluoride CaF2 d=3.18 mp=1418 bp=2500
天然には蛍石として産出し、その構造は蛍石構造とよばれる。加熱すると青紫色のりん光を発するのが名前の由来である。モース硬さ4。フッ化水素酸には、Ca(HF2)2・6H2Oをつくって溶け、濃硫酸と熱するとフッ化水素を発生する。良質の結晶は透明度がよく、その異常分散を利用して、分光器のプリズムや写真用レンズに用いられる。フッ素化合物合成の原料として重要。


calcite 炭化カルシウム calcium carbide CaC2 d=2.2g/cm3 mp=2300
単にカーバイド(carbide)ともいう。純粋なものは無色であるが、普通は不純物を含んでいて灰黒色の正方晶系結晶。水と反応してアセチレンを発生し、窒素とは約600℃以上で反応し、カルシウムシアナミドを与える。


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