まえがき


 平成10年の元旦に今年は般若心経を百巻写経し、できれば遍路に出たいと考えた。
 しかし、自己紹介のところで触れたが美智子が体調を崩し、出かけることはできなかった。写経は予定通り終わることができた。

 それに般若心経を暗誦しようと考えたが、これも成功した。
 暗誦しているのだから、不要だろうと、第1番霊山寺のお店ではお経の本は買わなかった。ところが、暗誦していても、経本を見ながらお経を唱えるのが正式だということを、徳島県を打ち終わり帰宅したあとで知った。

 出発の前には一日どのくらい歩けるだろうか、とか宿はどうしようか、といろいろ考えるのが普通だろう。しかし、なにしろ全く経験のないことを始めようとしているので、思い悩んでも仕方がないと割り切って出かけたのが本音のところで、最初は2、3日行って何かあったら帰ってこようと思っていた。

 本文を後で読み返してみると、お寺についての記述がほとんどない。

 これはお寺そのものについては相当数の書籍が販売されているので割愛した。と言うと聞こえがいいが、本当のところは先を急ぐあまり山門、鐘楼、本堂、大師堂などの建物を観察したり、また境内の雰囲気に浸る余裕がなかったようで記憶が余りない。

 このことをご承知の上で本文をお読みください。


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