あとがき


 この拙文がこれから歩いて四国を遍路してみようと計画している方のために、少しでもお役に立てば望外の喜びです。
 
 日記の中で書き漏らしたこと、感じたことなどを2、3記しておきます。

歩き遍路三種の神器

 金剛杖
  同行二人と言われる通り、山中を歩くときなど、ずいぶん助けられた。

 菅笠
  雨傘にもなり、日傘にもなる重宝なもの。少々の雨ならこれだけで十分しのげる。

 ずた袋
  納経帳、地図、納札、数珠、財布など何でも入るし、出し易い。

 他に挙げるならば、目覚し時計:これは朝早く宿を出るときなどに必要だと思った。さらに懐中電灯:民宿によっては就寝のとき照明を消したら豆球も玉切れで真っ暗になったことがある。トイレに行くときなどあれば便利。
  
遍路宿の衰退

 車利用の遍路の方はそう思わないかも知れないが、歩いていると適当な所に宿を見つけることが割合難しい。
 見つけた民宿は大抵の場合、お年寄りがやっている。若い人がほとんど見当たらない。この状態が続くと、民宿はなくなり、歩き遍路の場合、野宿を余儀なくされるようになる可能性がある。そうなる前にお寺の宿坊を開放することを望みたい。

お寺の認識不足

 水屋の手拭が不潔なお寺が多かった。管理できないのなら手拭を置かない方がむしろ良いような気がした。

 それにトイレが汚いお寺も多かった。住職に掃除をして欲しいとは言わない。ご自分で見て周ればどうしたらいいか、すぐに分かる。

 納経所で記帳する人の中に、同僚と私語を交えながら筆を運ぶ人がいる。それに礼儀の基本すら分かっていない人もいる。自分の仕事を何と考えているのか。銀行の窓口でお客さんの前で同僚と雑談をしながらお客さんの札を数えているのと同じ。民間会社ではこんな社員はいらない。

遍路マークのこと

 マークにはずいぶん助けられたので感謝したいが、三叉路などでどちらに行ったらいいか迷うような場所に限ってマークがないことがよくあった。
   
高野山の御影のこと

 八十八か寺では御影は手渡してくれるか、自分で取るようなシステムになっている。
 高野山奥の院の納経所で御影のことは何も聞かなかったし何も置いていなかった。だから、ここには、ないのだろうと勝手に考えていたが、最後に霊山寺のお店でそのことを話したら、御影はあるという。
 郵送してもらえる、と店主からお聞きしたので家に帰り、料金と返送料を同封して依頼したら送ってくれたが、なぜ、一言御影はいらないのか、と聞いてはくれなかったのだろうか。
 そんなことは事前に勉強してから来い、ということなのだろうか。

お接待でいただいた現金の行方

 お年寄りからいただいた現金は第88番大窪寺でおさい銭として使わせていただいたが、三千五百円まだ残ったままになっていた。
 どう使わせてもらうのがいいか迷っていたが、年末に郵便局から「社会福祉法人 中央共同募金会」に義援金として振り込ませていただいた。

「休暇村讃岐五色台」からの手紙

 11月19日に家に帰ってみると、「休暇村讃岐五色台」の支配人、福永育江さんからお手紙が届いていた。
 読んでみると私たちが14日に宿泊させてもらったときにアンケートを残してきたが、それに対するお返事と言うか、今後の対応についての考え方を書いてくれたものだった。
 早速の対応に感動し嬉しくも思った。このような前向きの支配人がおられるから、従業員の接客態度、サービスなどが行き届いているのだろう、と感じたので福永さんの許可は得ていないが原文のまま掲載させていただきます。
 今後のますますのご繁栄を祈念いたします。



 福田様

 ご利用誠にありがとうございました。
 私共の言葉不足でご迷惑をおかけいたしましたこと 深くお詫び申しあげます。
 休暇村讃岐五色台からJR鬼無駅まで定期の送迎バスを出させていただいています。
 事前にご希望の乗車場所がわかりましたらお時間をお知らせして お客様のご都合に合うよう努力いたしております。
 当日は定期以外にも送迎のご予約をいただいており、最初にお電話をいただいた時車両が出払っていました。再度の連絡であわてて車両とドライバーを手配いたした次第でございます。
 誠に申し訳ございません。 
 今後はお客様へのご説明を改めお時間をいただいてもご要望に答えるよう徹底いたします。
 歩かれての巡拝は本当に大変と存じます。 
 翌日は天候が悪くさぞかしご苦労されたことと思い心が痛みます。
 まだまだ未熟な点もございますが、お客様に喜ばれる 休暇村創りに努力いたしてまいります。なにとぞ今後共よろしくお願い申しあげます。

                            休暇村讃岐五色台
                            支配人 福永育江


南さん、Yさん、Aさん、藤田さんのこと

 南さんは姫路の方で、このホームページにお名前を出すことについては、許可をもらっている。ご自分もメール交換をしていてアドレスも聞いていたので、赤穂に帰りすぐにメールで結願の報告をした。するとすぐに以下のご返事をいただいた。



  結願おめでとうございます。
 私は14日に88番大窪寺を終えて、黒川温泉で泊まり翌15日に1番霊山寺にお礼参りをし、民宿阿波で泊まり16日に後続の歩きの人たちを待つ為に、徳島市内を見物しそしてよるに結願祝いのパーティーを行いました。
 17日はフェリーを利用して和歌山に渡りそこから、高野山に登りその日の内に、家にたどり着くことができました。
 10月1日より始め48日目に完了いたしました。本日写真が出来上がりこれから整理にかかります。



 Yさんとは納札を交換したので、住所はお互い知り合ったが、ホームページのことはお話していないので本名は出せなかった。

 Aさんについては本文で書いた通りで、名前も住所も出すことはできない。

 藤田さんは1月7日にホームページを公開したときにはFさんにしていたが、その後、メールでご本人に了解を得られたので、Fさんから藤田さんに修正した。(修正1月9日)




 最後になりましたが、この旅で多くの方々からご厚情を賜りました。そして心が洗われるような貴重な、嬉しい経験をさせていただきました。
 ここに、伏してお礼を申しあげます。


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