2002年9月1日(日)

 

柔らかな朝の光に包まれて目覚めたのは何時だっただろうか?
寝起きのいい私にとって、早起きは朝飯前である(いや、当たり前ですやん)
なんの問題もなく家を後にする3人(両親+私)が車で向かうは南海電車の始点である難波駅
電車好きの私は、もちろん普通電車ではなく特急ラピートに乗るつもりである♪
9時過ぎのラピートαの切符を窓口で購入し、8時45分に両親としばしのお別れ
これから両親は喫茶店でモーニングを食べるらしい。悔しい…
それはさておき、難波駅のラピート専用ホームを一人で颯爽と歩く私は男前である
電車は空いており、朝よりも少し高くなった夏の太陽の光は痛い
ぼけ〜っと丸い窓から外を眺めているうちに、ウトウト

気が付けば関空連絡橋の上を電車は走る、そして私の心も走る
一年ぶりの関空はやっぱりステキ
ここにくると航空業界への憧れが再燃してしまう
いやぁ、やっぱ飛行機でしょ、空港でしょう!!!
さて、携帯を持っていないことに少し不安を感じつつ
重たいカバンを引きずりながら(っといてもキャスターついてるけど)
サヤカとの待ち合わせ場所を求めて関空の人ごみを右往左往する私
サヤカには言わなかったが、実は半ば迷子になりそうなくらい空港内を歩き回った
でも、心はいつでも平常心、やっぱり颯爽と歩く
なんとか見つけた待ち合わせ場所で先に声をかけてきたのはサヤカ
いやぁ、よかった、よかった
これで二人揃ってネパールへ行けそうである

早速、旅行会社のカウンターで航空券等々を受け取り
うっとおしい荷物とはおさらばするために
さっさとチェックインしようと思うが
ロイヤル・ネパール航空のカウンターが見つからない
それもそのはず全日空が代行しているからである
しかも、もうすでになかなか長い列ができている
あやしい日本人(通称モッサリ)とネパール人にはさまれて自分達の番を待つ私たち
興奮のあまり、モッサリの方を見ながら少々大きな声で
「あんな格好じゃないとネパールには馴染めへんのかなぁ」と口走り
サヤカの叱責をうける、「聞こえるやろっ!」
やっと自分の番が来たというのに航空券をどこにしまったか忘れて大慌ての私
後ろのネパール人に前を譲ろうとするが、なんと言えばいいのか分からずさらに慌てる

無事にチェックインを済まし、荷物も預け、身軽になった私たちは両替所へ向かう
さらにこれからのひもじい食事を想定し地下のローソンでお買い物
関空に関しては私の方がサヤカより詳しいらしく、少し優越感
ボディーチェック、出国審査も済まし後は飛行機に乗るだけ
免税店を眺めていると何か臭うと思ったら
さっきローソンで買ったカラアゲ君である
これはいけないと、サヤカとさっさと食べてしまうことにする
搭乗ゲート前で待っていると国土交通省のお姉さんにアンケートされたのだが
残念なことに彼女はブータンを知らないらしい
しかもサヤカが答えたのでうちまで滋賀県民と思われたに違いない
私は大阪府民なのに…さらには東大阪市民なのに…

それはさておきついに待ちに待った搭乗である
予想通り小さい飛行機、予想以上に古い機体
機内誌ぐらい用意してよ〜と思う
とは言っても腐っても飛行機(失礼しましたっ!)やっぱり空の旅はいい!
眼下に見える関空がどんどん小さくなっていく
「あれ明石大橋かなぁ?」と適当なことを言う私たち
ロイヤル・ネパール航空のフライトアテンダントは皆サリーを着たネパール人である
離陸して一番最初に行われる緊急時の説明では無表情かつ不自然な動きにも関わらず
慣れた様子であり、救命胴衣の試着で乱れた髪を直す仕草ははまってしまう
引き続き用意された機内食は、う〜ん、まぁこんなもんでしょう

そして気が付けば着陸態勢に入っている
もちろんカトマンズはそんなに近くない
給油のために上海に降り立つのである
これがまたくせもので、機内アナウンスは意味不明
訳もわからず飛行機から降ろされた私たちはおろおろするばかり
しかも空港で働く中国人がコワイっ!!!
とりあえずトイレに行って同乗者の動向を窺うことで合意
なんとか再搭乗し、再び離陸
う〜ん、上海も郊外はまだまだ田舎ねぇ
先程の食事から大して経っていないのにも関わらず二度目の機内食の時間
いやぁ、調子乗っておにぎり食べてしまったし、そんなん食べられへんわぁ
と言いつつも、8割がた食べてしまった
さっすが、私!えらいぞ、私!見習え、サヤカ!
サヤカが夢の世界へ行ってしまったので私は隣のお姉さんと談笑
こうしている間にも飛行機はネパールへの距離を縮める

そして、ついに着陸の時がくる
空から見たカトマンズ盆地は夕日に染まり
レンガ色の町並みがますます赤茶けて見える
360度山に囲まれたカトマンズのこの空港で私たちのネパール旅行が幕をあけた

カトマンズの空港はあまりに殺風景である
無駄なものは何一つない
無駄な電力さえも消費しない
せっかくエスカレーターがあるんやから動かせよ、と思う
少なくとも荷物検査用のX線くらいはすぐに動かして欲しい
それでも空港は外の世界から隔離された安全な空間であって
ここから一歩出ると広がるであろうまだ見ぬ世界に緊張してしまう
だって、警備の人たちみんなライフル持ってるんやもん
そんなにキケンな国なのか、ここは!

一刻も早く「風の旅行社」の人に会いたくなり足早に空港を出る
そこで待っていてくれたのがPitamberさんである
彼は流暢な日本語で私たちを車まで案内してくれる
私のカバンは彼が持ってくれたからいいものの
サヤカのカバンは得体の知れない人が持っている
これがかの有名な自称ポーターかっ
サヤカの焦った様子を尻目に彼は心配するなという素振り
いやいや、サヤカびびってるやん

そうしているうちに私たちを乗せた車はカトマンズの町へと走り出す
カトマンズの町は活気に溢れている
こんな無秩序な世界は初めてである
車もリクシャもテンプーも牛もそして人間もごちゃまぜの世界
夕日を浴びた街はいっそう人々を活気づけ私たちを不安にする
途中見かけた私たちと同年代の若者を見て
私たちもあんなに堂々とこの町を歩けるようになるのかと思う

「風の旅行社」を通り過ぎ「HOTEL NORLING」に到着
熱いネパリティをいただいて初めてほっと一息つく
日本から持ってきた愛用の腕時計を3時間15分遅らし、ぐるっと周りを見回してみる
あまり大きくないホテルのフロントの壁にはダライラマやポタラ宮の写真
ここはチベット系のホテルなのだろうか
滝のある室内庭園を横目に階段を上がり201号室に通される
ここがこれから数日間の私たちの安息の地だ
広くはないが最低限のものは揃っており清潔な部屋である
トイレ&シャワーの扉が監獄っぽくこわかったので
うっすら扉を開けてシャワーを浴びることにする

日本へ送るポストカードを購入しようと
ネパールルピーに両替してもらい夜の街へ出るが
まだ午後9時前というのにほとんどの店が閉まっており
野良犬の鳴き声と夜の店の怪しげな呼び込みの声ばかりが響く
仕方ないので50メートルも歩かないうちに逆戻り
ホテルで聞いたことには今日が日曜日だから早く店が閉まったそうである
不思議世界ネパールの散策は明日にとっておいて
今夜は大人しく床につくことにする
初めての長旅に疲れたのでよく眠れることだろう
サヤカ、これから10日間よろしくね

 

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