無 題

2001年
イギリス, ロンドン, ロンドン大学 ゴールドスミスカレッジ校内


私は自然界に存在するものやその形に大変魅了されています。人の身体も自然界の造形物の一部として存在していると思うのです。身体とひとことで言っても、それは様々な要素や形の集合体で、その個々に焦点をあてていくと見覚えのある情景と重なり神秘的な感覚を覚えます。

顕微鏡を通して見た身体、細胞や皮膚や毛穴。少し視点を変えてみるだけで目に見える形は様々な表情を見せてくれます。自然界に存在するものの持つ形は、柔軟でかつ流動的で変化に富んでいます。そんな捉えどころのなさが私を魅了してやまないのです。







このインスタレーションにある個々のオブジェはまるで生き物のように見えます。制作過程は、チューブを短く切り半分に折って金網の穴に押し込んでいくという単調なものです。

折られたチューブは真っ直ぐな形に戻ろうとし、その力が金網を曲げていきます。二つの素材の性質を生かし、その相乗効果の結果できた形は、素材の無機質さにも関わらず有機的だといえるのではないでしょうか。



   

   

   



 





   

じっと眺めていると、光を通して浮かび上がってくるチューブの形や切り口の円の集合が肌の毛穴の様であり、連続した金網の穴はまるで細胞のように見えてきます。

これらのオブジェは金網の細胞を持ち、プラスチックの皮膚で覆われ、まるで生きているかのように空間の中を這い回り、壁によじ登っている、そんなストーリーが私の頭の中に浮かんできます。




プラスチックチューブ(素材提供/Eliza Linsley, UK)
金網, 紐(ピンク), 食用油(チリオイル)



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