「アスラン、ミゲル知らない?」
扉の隙間から顔のぞかせる少年、キラ・ヤマト
少女によく間違われる程に可愛い
アスランと呼ばれた少年は少し考える素振りをして答える
「ミゲルなら、さっきコンビニいったけど」
「ありがとう」
お礼をいい、楽屋を去った
キラの探しているミゲルは、アスランとバンドを組んでいる
他にも3人いるが、もう帰った後だったようだ
***
ミゲルが何処に行ったのかもわからないので
仕方なく出口付近で待つことにした
此処で待っていれば通るだろう
キラはミゲルに伝えねばならないことがあった
それは
自分の気持ち
初めて出会ったときから心に秘めていた想い
ミゲルは格好いいし、モテるから
恋人がすでにいるかもしれない
でも
断られてもこの想いを口にしたい
後悔したくないから
…何時くらいに来るかな
「キラ・ヤマトよね?」
名前を呼ばれ、顔をあげるとそこには女の人が2人
全然知らない人
しかし、彼女達の着ている制服には見覚えがあった
…ミゲルと同じ学校の人?
「僕に何か用ですか?」
ふんっ、っと見下すように視線を向けてくる
「あんたさ、ミゲルの何?」
どういう意味か理解できなかった
キラはいぶかしむ
話しかけてきたとは違う人が口を開く
「とぼけないでよ
何の関係もなかったらあんなコト言わないわよ」
きつめの、攻め立てる口調で
――”あんなコト”?
「…何の話かわからないんですけど」
彼女達の表情がかわった
「とにかくこれ以上ミゲルには関わらないで!!」
「あんた男でしょ!?女の子の方がいいに決まってるじゃない!!」
――男
確かにキラは男だ
何度、女の子に間違えられようがそれは変えようもない事実
…たとえ何度、痴漢にあおうが
「…あの?」
「いい迷惑なのよ、私達にとっても彼にとってもね!」
はき捨てるように叫ぶ
――迷惑?
言われてみて気づいた
…こんな気持ち迷惑に決まってるよね
自嘲気味に薄く笑う
次第に視界がぼやけはじめ、目に涙がたまる
こみ上げる感情はとめられない
「何してんだよ?」
場にそぐわない陽気な声
振り向いてみれば背後にミゲルが立っていた
僕の頬を伝うモノを見て驚いているようだった
「キラ、どうしたんだよ!?」
至極慌てた様子でたずねてくる
「な、何でもないよ!!」
「何でもないわけないだろ!?ほら、顔かせ!」
ミゲルは自分の服の袖で涙をぬぐった
その行動に驚いたのはキラだけではない、彼女達もだ
目をみはり2人を見つめている
彼女達の存在に気づいたミゲルはきつい眼差しを向ける
「…お前らコイツに何したんだ?」
急に話を振られ、しどろもどろに答える
「別に…何もしてないわよ」
「…ミゲルが昨日言ったこと本当なのか聞いてただけよ」
しばしの沈黙
ミゲルはやっと口を開いた
「…お前らに関係ないだろ?もう帰れよ」
聞いたこともないような冷たい声で言われ驚きを隠せない
それはキラも同じだった
彼女達はミゲルが本気で怒っているのだと思い小走りで去っていった
はー、っと、ため息を吐きキラに苦笑してみせる
「悪いな、あいつ等なんか勘違いしちゃったみたいで…」
首を横に振る
「…まぁ、俺が悪いんだろうけどな…」
どこか遠くを見つめながらつぶやく
何のことかわからず、キラは首をかたむける
すると
ミゲルは両手を顔の前で合わせ申し訳なさそうにした
「昨日告白された時に恋人いるっていっちゃったんだよ!
そっちの方が断りやすいと思ってさ…
その時についキラの名前を…!!」
「…へ?」
「本当にごめん!!キラの顔しか思い浮かばなくて…!!
…この際だから言うけど、俺はキラのコトが好きだ!!本気で!!!」
キラの思考が停止する
…何か告白された気もするけど
「ミゲル?」
「愛してると言ってもいい!!俺と付き合ってくれ!」
…夢じゃないよね?
成り行きとかでも…
気づけば了承の返事をしている自分がいた
その後、1ヶ月間アスランの元気がなかったような気がした
END
憧れのパラレルネタですvv
さっそうと助けに来るミゲルさんがかっこいいですvv
落ち込みアスランもらぶ…
素敵小説ありがとうございました。

隠れた気持ち