オーブのとあるホテルの一室
その扉の前に
お世辞にも趣味がいいとはいえない
カラシ色のシャツを着た少年が拳銃をかまえ、
左眼を透き通るような光り輝く金の髪で隠した青年と頷きあう
タッチパネルにPCを繋げ、何やら弄っていた少年は
待機をしている仲間に向かって頷いてみせる
「…行くぞ」
肩にとどかないくらいのところで
ストレートな銀の髪を切りそろえた少年の凛とした声が廊下に響き渡った
***
「また僕の勝ちだね」
嬉しそうに笑った亜麻色の少年
その手の中にはコントローラーが握られていた
コードはその先にある大きなテレビに繋がっている
隣に座っていた朱色の髪の少年は唇をつきだし、何処か不機嫌そうだ
2人の様子を眠たそうな顔で眺めていた若草の少年は
決着が付くや否や、亜麻色の少年の膝に倒れこむ
わ、っと驚きの声を上げたのも束の間、
優しくその髪をすいた
と、突如目の前に現れたお茶の入ったグラス
振り返れば
金の髪を後ろに流した少年
「飲むだろ?」
「いいの?ありがとう」
口に含んだソレは
アジアの島国に昔から伝わる飲み物だった
母が、昔から好んで飲んでいたものをだされ懐かしい想いが胸をよぎる
おいしい、と感嘆の声をあげれば
金の少年は満足そうに笑み亜麻色の少年の背後に置かれていたソファで
本を読み始めた
ほのぼのとした空気が流れる
「もう一回!!」
言い寄ってくる朱色の少年に、仕方ないなぁと笑う
持っていたグラスを零さないように置き、再びコントローラーを握りなおした

が、

バンっっ!!
大きな音を立てて開かれた扉
4人が現状を知ろうとするより早く、拳銃を此方に向けた人が次々と入ってくる
「え?」
誰の声だったのか
お互いの姿を確認した後に発された音
亜麻色の髪の少年は膝の上で寝ている若草の少年に振動を与えないように
首だけを向ける
入ってきた人々を順に見回し、首を傾げた
「あれー?何してるの、皆」
のほほんと呑気な言葉に緊張していた面々の顔が崩れる
「き、きら?」
焦ったような闇色の髪の少年の声
亜麻色の髪の少年は自分の置かれている立場がわかっていないらしい
「誘拐されたんじゃなかったっけ?」
「誰が?」
「キラさんがですよ」
「誰に?」
「そこにいる奴等にだ」
「何で?」
「何でって…言われてもなぁ…」
今度はオレンジの髪の少年が首を傾げる番だった
「俺はキラが変な奴等に連れていかれたって聞いたんだけど」
「…そうなの?」
若草の髪の少年は下から亜麻色の髪の少年の顔を除きこむ
ちなみに、ここで約8名の嫉妬を受けたことはいうまでもない
本気でわからない、と顔を顰める
左眼を隠した金の青年は一つ安堵の息を吐き、手を差し出す
「帰るぞ」
「うん。
というわけだからシャニ、クロト、オルガ、またね?」
若草の少年を膝からどかし、
青年と手を繋いであっという間に部屋からでていった
残された面々は首を傾げつつ、2人の後を追うように部屋からでていった
「おっさんに怒られるじゃん、僕等」
「キラが自分から帰ったんだし、仕方ないだろ」
「…また逢えるし」
次はいつ、亜麻色の髪の少年を連れてこようかと画策する少年達がいた




おまけ

「何であんな所にいたんだ?」
「実は知り合いでね、偶然街中で遇ったんだ」
「へぇ…」
「心配してくれた?ミゲル?」
「当たり前だろ。
可愛い可愛い恋人が急にいなくなって心配しない奴はいないぞ」
「えへへv」


END




亜樹羅様のサイトで7000HITを踏ませていただいて、リクエストさせていただきました。
誘拐されたことに気付かないキラが愛しいですvv
素敵小説をありがとうございました。