犬も食わない

 

 

 

 

 

 

 

「…ミゲルのばか、ミゲルのへっぽこぷ〜、ミゲルの…」

「へっぽこ…」

「なに!?」

「お怒りなんだ?オヒメサマは」

「オヒメサマ!?誰のこと!?」

 

…どうやら、ご機嫌斜めらしい。

 

「で、バカミゲルはキラに何をしたわけ?」

「…これ、何に見える?」

 

そう言ってキラが俺に差し出してきたのは、………なんだ、これ…

できそこないのマイクロユニット、に見える。

 

「あ、の…」

「わかんないの?」

 

キラの大きな瞳にはうるうると涙が溜まっていく。

…非常にまずい。

がんばれ、俺!

 

「か、かわいいこぶたちゃんだな…」

「ばか〜〜〜っ!!ディアッカもきらい〜〜〜〜〜っ!!」

 

…どうやらハズしたらしい。

 

「キラっ!」

「…ミゲル」

「…ごめんな、苦手なマイクロユニット頑張ってくれたのに…」

 

…犬も食わないってやつか…

早々に退散するに限るよなぁ…

 

「ディアッカ、まだいたのか」

 

…せっかく、退散しようと思っていた矢先にこれだよ…

キラはあんなに素直なのに…

 

「だいたい、なんでケンカなんかしてんだよ。バカップルのくせに」

「バカップルって…」

 

ほんのり頬を染めて照れるキラはとてつもなく可愛い。

そんなキラを誰が見せるかとばかりにミゲルは背後に隠してしまう。

…見せたくないなら最初っからケンカなんかするなっつの。

 

「これ、よく見るとかわいいな」

「ほんと?ミゲル、にゃんこが飼いたいって言ってたから…」

「うん。だからキラは苦手なのに頑張ってくれたんだよな」

 

アスランにかなり絞られただろう?とキラに問いかけるミゲルの声は、こいつこんな声も出せたのか!

というくらいに優しい。

その十分の一でもオレたちに向けてほしい…というのは至極、真っ当な要求だとオレは思う!!

 

「キラ、これもらっていいか?」

「え…でも…」

「システムは、キラが作ったんだろう?ボディは俺も手伝うから」

「…うんっ」

 

嬉しそうにミゲルに抱きつくキラ。

それを愛しく抱き返すミゲル。

オレの存在を頭からすっとばしていちゃつくバカップル。

 

ってことはなにか!?

こいつら、マイクロユニットの正体でケンカしてたわけか!?

…つーかもういいかげんにしてくれ。

結局オレは馬鹿馬鹿しくなって、奴らに背を向けた。

後ろでは“愛してるよ”とかいう声が聞こえてきた。

 

 

…………教訓。

ラブラブバカップルのケンカらしきものには近づくな。

 

 



萌葱さまに相互記念で差し上げたブツ。
最近どうして主役視点ではなくて巻き込まれた人視点なんだろうか…
これはディアッカ視点だし…
こんなのですが貰ってください。
あ、返品可ですので!