Playboy?

 

 

 

 

 

「…よし!」

 

僕は意を決して、ミゲルのフリースペースに踏み込んだ。

 

「……うわぁ〜〜」

 

予想通りというか、予想以上に散らかっていて、僕は呆然としてしまう…

共同スペースなんかは僕が片付けるし、ミゲルも使ったものは元の場所に戻すようにしてくれるから、

あまり散らかったりはしない。元に戻すだけで掃除をしているのは見たことがないんだけどね…

 

「………片付けるの嫌いかなとは思ってたけど…ここまで散らかすかなぁ…」

 

なんていうか、足の踏み場もない?

部屋の入り口からベッドまで獣道みたいなのがあって、ベッドから端末までやっぱり獣道が…

アスランだって結構散らかし魔だけど、ここまでじゃない。

こんなとこで生活してたら病気になりそう…

 

「足の踏み場を作らないと…」

 

とりあえず、床に散らばっている雑誌や本から重ねていく。

ふと、目に付いたのは一番上に重ねた雑誌。

表紙には水着のおねぇさん…

 

「………ミゲルもこうゆうの見るんだ…」

 

ぱらぱらページをめくっていくと、どんどんおねーさんの服が脱げていく。

それに比例して、僕の頬も熱くなっていくから、僕は慌てて本を閉じる。

少し乱暴に置いてしまったからか、ひらり、と写真が落ちてきた。

思わず手にとって。

……後悔………。

オレンジ色の髪の可愛い女の子とミゲルの写真。

仲よさそうに肩なんか組んじゃって。

背の低い僕と違って、背が高くってイザークよりも濃い蒼の瞳が印象的。

なんていうか、僕のコンプレックスを刺激するっていうか…

…くやしい…

ていうか。

浮気!?浮気じゃないの!?これって!!

 

「ミゲルの浮気者っ!!僕も浮気してやる!!」

 

相手はだれにしよう…?

ミゲルが一番ダメージ受けるとしたら…

む〜〜〜?

よし!ディアッカに相談しよう!!

思い立ったが吉日。僕は写真をポケットに入れてディアッカのところへ行くことにした。

 

 

 

「ディアッカ、いる〜?」

 

ドアの外から、少し高めの可愛い声。

 

「おう。入って来いよ」

 

今は同室のイザークもいないし。俺はラッキーとばかりにあっさりと許可を出す。

 

「ありがと〜」

 

ほにゃりとおかしな擬音がよく似合う笑顔を見せる。

なんだか、間抜けな花が飛んでそうだ…

 

ラクス・クラインがプラントのアイドルなら、こいつはザフトの姫だろう。

天使の輪が浮いているココアブラウンの髪だとか、俺とはまた別の光彩の紫の瞳とか。

見た目も極上だけど、中身も小動物ちっくでとてつもなく可愛い。

ただ、何がむかつくのかというと、とっくの昔にお手つき、ということだ。

俺たちの2期上のミゲル・アイマン。

それが姫の恋人の名前だ。

まぁ、略奪する方が燃えるし?

 

「どーしたんだ?」

「…あのね、例えばなんだけど、彼氏に浮気されて…」

 

は!?浮気!?ミゲルがか!?

 

「その仕返しに、浮気しようとしたら、どんな人が彼氏に一番ダメージだと思う?」

 

…要約すると、ミゲルが浮気をした(多分姫さんの勘違い)→悔しいから仕返しをしたい

(楽しそう)→その手段が浮気のやり返し(ミゲルには大ダメージ)→一番ダメージの大

きい相手(しつこいようだが誰が相手でもきっと大ダメージ)を探してると。

こういうことか!?

つか、俺が立候補したい…

 

…にしても、なんでいきなり浮気なんだ?あのミゲルが浮気なんてちょっと考えつかないんだけど。

 

「あ〜…その浮気疑惑に、証拠ってあったりする…?」

「証拠!?例えばだって言ってるでしょ!」

「え、あ…だって姫さん必死だし…なんか不機嫌だし…」

「…ばればれ?」

「ああ。結構」

「ぁぅう…」

「で、証拠は?」

「……あるよ…これ…」

 

しょんぼりして、取り出したのは一枚の写真。

そこには、見覚えのあるオレンジ頭と、ミゲルのどこにでもあるツーショット。

ただ、いつもと違うのはそのオレンジ頭が女の子の格好をしてるってことだ。

 

…この前の罰ゲームじゃん…この写真…

 

「ねえ、誰がいいと思う?」

「浮気相手か?」

「さっきからそういってるじゃないか」

「普通は相手の親友とか、親しい人だとダメージ倍増だな。後は相手より顔のいい奴か…」

 

一般論だけどな。

ただし、ミゲルの場合はダメージは受けるだろうケド、相手は間違いなく半殺しだ。

 

「親友だとラスティかなぁ…。僕、ミゲルより顔のいい人って……アスランとかイザーク?」

「でも、キラは本当に浮気したいのか?」

「…う」

「それに、浮気って決め付けるのは早いと思うぜ?まずは、彼氏を問い詰めてみろよ」

「素直に言うと思う?」

「大丈夫だろ。ヤツはキラにベタ惚れだからな」

「べた…っ!?」

 

見ていればわかる事実なのに、すぐに赤くなるキラが可愛い。

思わず頭を撫でてしまう。

 

「なぁに?」

「いや、なんとなく…」

「ふうん」

 

不思議そうに俺を見上げてくすぐったそうに笑うキラ。

文句なしに可愛い。

…こんな妹ほしかったんだよなぁ…

 

「僕、ミゲルに聞いてみる」

「ああ、そうしろ。泣かされたら俺たちがミゲルを宇宙の塵にしてやるよ」

「…期待してる」

 

俺の台詞に苦笑して部屋を出て行く。

結構、本気なんだぜ?

なんてったって俺たちの姫なんだから。

 

 

 

…キラの様子がおかしい。

目が合うと反らされ、抱きしめようとすると逃げられる。

挙句の果てに、キスまでも避けられた。

……なんかしたか!?俺!!

俺の自室が片付いていた(キラ曰く獣道が通路になっていた)からキラが

片付けようとしたんだろうということはわかる。

きわどいグラビア(キラに悪影響なのでディアッカから没収してそのままだった/

見たけどな!しっかり。俺だって男だし)が揃えられた雑誌の一番上にあったから、

キラがソレを見たことは間違いないと思う。

だが、それが原因かといわれると違う気がする………。

 

…まぢで思いつかねぇ…

どうするかなぁ…

正直に聞いてみるか…?

よし!決定!

 

「なぁ、キラちゃん、最近俺のこと避けてないか?」

「そ、そんなことない、よ…?」

 

大きく、水晶のような紫の瞳が俺から反らされる。キラはさりげなく反らしたつもり

なんだろうけれど、バレバレだ。

 

「キラ、本当にどうしたんだ?俺がなんかしたのか?」

 

本当に検討がつかない。

こんなとき、アスランだったら解るんだろうか。

 

「うわき」

「へ?」

 

有り得ない言葉が聞こえたような…

 

「あの、キラさん?」

「だから!浮気!」

「はい?」

「しらをきるの?証拠もあるんだから!!」

「…証拠?」

 

した覚えもない浮気の証拠!?

をいをい…

 

「ほら!証拠!!」

 

ひらりと、キラが俺に見せたのは俺がよく知ってるオレンジ頭との珍しくもないツーショット。

ただ、そいつが長髪の鬘を被って女の子の格好をしているのを除いてだけど。

 

「…これ、誰だかわかんないの?」

「誰ってミゲルの浮気相手でしょ」

「…このオレンジ頭、見覚えないか?」

「……ラスティ…」

「そうそう。これはラスティの…」

「僕がいるのにヒドイ!ラスティの妹とデートするなんて!ミゲルはやっぱり女の子の方がいいんだ!?」

 

…どうしてラスティ本人だと思わないんだ?

その上、信用もないわけか?

キラより、不特定多数の女の子の方がいいなんて。

確かに、ゲイじゃないからグラビアは見たりするし、それなりの女の子を見たら、いいなあとも思う。

けれど、それだけだ。

キラに会って、好きになって。

抱きしめたいのも、キスをしたいのも、SEXしたいのも。

キラだから、なのに。

 

「……キラ、それはラスティ本人だ」

「え」

「よって俺は浮気はしていない」

「………なんでこんなまぎらわしい格好…」

「ラスティが賭けに負けたから罰ゲーム」

「…そうだったの…」

「嫉妬してくれるのも嬉しいけど、もうちょっと信用、してくれないか?」

「…ごめんなさい…ミゲルはかっこいいから僕…」

 

何かを言いかけたキラの唇を自分のそれで塞ぐ。

俺がどれだけ、キラを好きなのか解ってもらえる様に。

深く深く口付けた。

 

 

 

 

 

 

まぁ、泣かれるのは勘弁して欲しいけど、この程度の嫉妬ならまたして欲しいかも…。

でも、触れなくなるのは遠慮したい………

 

 

 

 

 

 
和泉まりかさまに相互記念で捧げました。
ラスティが哀れです。
その上イザークも出てません。
こんなのでよければ貰ってください。
返品可ですので!!