Destination

 

 

 

 

 

「キラ〜」

 

後ろからかけた俺の声にキラは振り向く。

ふわりと揺れる柔らかそうな(実際柔らかい)ココアブラウンの髪。

零れ落ちそうに大きい綺麗なアメジストの瞳。

ちっちゃくて柔らかくって可愛いキラ。

こんなに可愛いキラが同い年でそこそこ気の合うミゲル・アイマンの

恋人で。

知ったときはショックで思わずミゲルを殴っていた。

 

「ラスティ、どうしたの?」

「データがとんだ…タスケテ…」

「またなの?データってなんのデータ?」

「……隊長に提出するやつ…」

「この前の演習のやつ?あれってラスティが報告書担当だっけ?」

「そうなんだよ〜…それなのにデータが…」

 

頼むよ〜と頭を下げる俺。

キラはお人よしだからこうやれば断れない。

ミゲルが隣にいれば速攻却下されてるけど。

今はいないし

キラと一緒にいたいし。

 

「しょうがないなぁ…」

「サンキューっ」

「え…ちょ…」

 

思わず飛びつく俺を支えきれず(当然といえば当然だ)に後ろに倒れていく。

慌てて支えようとしたとき、キラの落下が止まった。

 

「何やってるんだ?」

 

重力に逆らわず倒れていくキラを支えたのは、銀髪の貴公子(Byゴシップ週刊誌/

見た目はそうかもね)イザーク・ジュール。

傲慢というか、我侭というか、なんというか…。とにかく俺様なやつだけど、キラ

のことは思いのほか気に入っているらしい。

 

「イザーク」

「離せラスティ。重い」

「失礼だな…」

「いつまでも俺よりでかいやつを支えてる気にはならないんでな」

「…そんなかわんないって…」

 

しぶしぶキラから離れる俺を見て、イザークも支えていた手を離す。

 

「そういえば、ディアッカを見なかったか?」

「デイアッカ?僕は見てないよ」

「あ、俺見た。」

「なにぃっ!?どこでだ!!」

 

俺に掴みかからんばかりの勢いで迫ってくる。

同期だけどさ…、俺の方が年上なのに…

 

「ラスティ!答えろ!何処で見た!!」

「どこって食堂!」

「食堂だな!!」

 

…何やったんだ…ディアッカのやつは…

 

「どうしたんだろう…?」

「…さぁ…」

「あ、ラスティ!」

「んぁ?」

「データのとんだディスクはどこにあるの!?」

「そうだよ!それだ!!ディスクは会議室。そこでやってたし。」

「パソコンも?」

「パソコンも」

「わかった」

「キラ?」

「なにしてるの!行くよ!」

 

キラに腕を引かれて会議室に戻ってくる。

イザークに圧倒されて頭から報告書が飛びかけてたよ…

会議室に入ろうとしたその時、向かいの通路から、金髪で緑の兵士が一人…

 

「あ、ミゲルvv

「キラ」

 

…ミゲルの視線がキラに引かれている右手にささる。

視線が痛いんですけど…

意外と嫉妬深いんだよな…。

キラの幼馴染のアスランなんかには妬きっぱなしだし…

 

「どうしたんだ?ラスティと手なんかつないで」

「手…?」

 

あああ…にっこり笑ってるけど笑ってない…っ

俺はキラに掴まれている手をそっと離させる。

 

「どうしたの?ミゲル、隊長に呼ばれてたよね?」

「ああ、もう終わった。キラこそ、ラスティと二人でどうしたんだ?」

「あ、ラスティがデータとばしちゃって…」

 

…言っちゃった…

 

「へぇ?」

「だからね、手伝ってあげるの」

「それよりも、キラ。お茶に行かないか?」

「え…?でも…」

 

ちらりと俺を見るキラ。

キラの視線よりもミゲルの視線がイタイ…

わかったよ!わかりましたよ!!

自分で頑張ればいいんだろ!!

 

「いいよ、キラ。迷惑かけてごめんな?」

「ラスティもこう言ってるし」

「…うん…」

 

ミゲルに肩を抱かれて歩いていくキラの後姿を見つめる。

ちらちら振り向くキラを安心させるように手を振ってやった。

 

 

 

 

結局俺はデータの復旧が出来ずに最初っからやり直しになった。

ちくしょーっ!!

 

 

ちなみに、イザークがなぜディアッカを探していたかというと、

エロ本をイザークのクローゼットに隠したかららしい。

…馬鹿だ。

 

 

 

終われ




相互記念にリクエストを頂いた、ミゲキラ前提ザフキラ…なはずなんですが
なんでしょう。
微妙なラスティ視点でお届けしています。
原様こんなのでよければ貰ってください…