Preservation Act1(1973)

そしてこの狂気の世界へと(笑)RCA時代での3作目です。次の「act2」に続きますがこの2作はレイの「芝居趣味」を突き詰めたようなもので、当時のライブはかなりすごかったらしい(たっぷり2時間のステージというのもすごいが、そのうち40分が芝居っつうのがすごい。めっちゃ観たいけど・笑)
平和で美しい村、ビレッジ・グリーンに君臨する悪党フラッシュと救済者ミスターブラック(act2でこいつも管理体制をしく独裁的な男であると判明)、流れ者、その他モロモロがご出演の一代絵巻。正直言って、華やかなロックを求めてる世間は、そりゃ〜付いて来れんわなぁ。有り余る才能が暴走したという感もある(笑)
でもレイが表現したかった世界というのはなにも難しいことではなく、、美しい小さなものを壊して私欲を突き詰めるフラッシュの悪さ愚かさ、その恋人ベルの愛情、そしてなにより人間全てを管理し支配しようとする体制側への反抗(レイはこういう管理体制をとても嫌う。muswell hillbilliesでも歌ってる)。
しかしact1には名曲が多い。「sweet lady genevieve」(別れたレイの奥さんのことを歌ってるらしい。芝居ではなくレイ本泣きの名曲)「one of the survivors」(VGPSでも歌われてたロック野郎ジョニーサンダーの歌)「money&corruption 」(かなり芝居がかっててすごく好き!)マンガちっくな(?)「here comes flash」もおもしろい。そしてちょー名曲「sitting in the midday sun」(仕事も無いが欲も無い流れ者が歌う、ほんと〜にのんびりとしたひなたぼっこソング。これを聞いてると、いいじゃないかぁ〜あくせくしなくっても〜悩まなくっても〜、と心の窓が開かれる気がする)!
しかしのんびりしてる場合ではなかった。アルバムの最後で美しい村はフラッシュに買い上げられ、取り壊されてしまうのだ。

Preservation Act2 (1974)

さらに狂気の世界へと(爆)もう訳詞ナシでは困ってしまう世界へ突入です。
完全に芝居の世界へ入ってるので、世間からの評判はよくないようです。うーん。でもレイってどう書いてもいい曲書くんだわねぇというもがわたしの感想です。まあ確かに洗濯もんたたみながら聞いてられるアルバムではないから、聞くにはそれなりの覚悟?と時間が必要だけど(笑)、でもアナウンス1の次の「introduction to solution」も「when a solution comes」も、めっちゃロックな魅力で、ずごごごご〜っと入り込めます。ロックオペラとしてはかなりの力を持ってると。
「money talks」なんかは女性コーラスがショウっぽさ満点で、おもしろいし、貧弱なグレゴリオ聖歌といった趣の「shepherrs of the nation」は一部「VGPS」のセルフパクリなのも可笑しいし、歌詞もなー(笑)
act1以上に芝居としての流れ重視なので、正直一つの曲として際立たないか?という曲もあります。でもわたしはこういうノリが好きなので好きです。キャバレーぽい雰囲気が好き。これはもう単に好みの問題かもしれない。「mirror of love」好きだなあ。「oh where oh where is love?」の掛け合いも好き。
とにかくレイがやりたい放題のアルバムではあります。「flash's dream」はまともに芝居だし。女性コーラス隊だけで歌う曲もあるし。でも「flash's confession」のレイのボーカルはめっちゃ好き。
いきなりおススメはしませんが、でも世間の評判以上には楽しめるんじゃないかな?と思います。キンクスは短編小説のような素晴らしい曲がたくさんありますがact1&act2という長編小説の魅力もまた、作家レイ・デイヴィスさん率いるキンクス一座ならではだと思います。