2005年12月12日 彦根市議会定例会 佐野正博 議員



佐野正博 議員 (彦政会)

私は、今期平成17年12月議会におきまして、従来どおり一括質問・一括答弁制で、彦根市原町に計画されております場外舟券・車券売場開設問題に焦点を絞りまして、7つ質問いたします。

市長を初め理事者側の皆さんの率直なご答弁をお願いするものでございます。

 昨年6月定例会で中島前市長は、「場外舟券・車券売場については好ましい施設とは考えていないが、その他の施設については、市民の憩いの場として、また、市外からの入場者が見込める集客施設として、さらに運用に伴い雇用の増加が考えられる」と答弁され、市としては、青少年への影響、交通渋滞問題、そして、まちづくりの3点に配慮することを条件に、5月末に同意されたと認識いたしております。

ここで言われているその他の施設とは、レストラン棟、美容施設を用意した一般および会員制の「温浴施設」、温水プール、フィットネスクラブ、夏季限定のレジャープールの「スポーツ施設」、そして、グループホームやデイサービスセンターの「ケア施設」などと伺っております。

 さて、今、人口をいかに増やすか、いかにして商店街に客を呼び戻すか、後継者の減少する農村や過疎のまちをいかに蘇生させるか、活性化させるかが本市のみならず、ほかのほとんどの自治体の最大の課題であります。

国じゅうが知恵を絞り、四苦八苦しているのであります。

社会の少子高齢化によって発生する種々の社会問題は枚挙にいとまがありません。

 人口減少が進む今日、ある日の京都新聞に、滋賀県に人が増えたといううれしい話が報じられておりました。

「宿泊客が湖国へ ホテルほくほく」と大きな見出し。

新聞は次のように書き出しております。

「愛知万博(愛地球博)の波及効果で滋賀県の湖北や湖東のホテルの宿泊客が4月以降増えている。

名古屋市内で宿を確保できない客が流れてきているためで、高速道路を使えば1時間半以内で会場に着ける便利さが受けているようだ」、以下要約いたしますと、彦根市の某ホテルでは5月、6月の宿泊客数が例年より20%増えている。

長浜市のあるホテルでも3月下旬に万博が開幕以来、宿泊数が昨年比20%となった。

思わぬ万博景気に湖東・湖北の各ホテルはほくほく顔と結んでおります。

 私たちの日常生活でも、私の住む地方でも、恐らく彦根のこのあたりでも同じことだと思いますが、赤ん坊が生まれた家の人々と会話やあいさつを交わすときに、「おたくさんもこのたびはおにぎやかになっとうくれたそうで、よろしかったな」などと祝福し、まるで自分の家の家族が増えたかのように喜び合う光景がよく見受けられます。

人が1人でも増えるということは、家庭にあっては一大慶事であり、社会的にも実に大きな意義があることであり、人口の増減は社会の方々にさまざまな影響を及ぼすものだと痛感いたしております。

 獅山市長は今年6月の定例会で答弁されております。

「私は、選挙公約に従いまして、市長就任直前および直後に、株式会社トランスワードに対し、中島前市長の設置同意を撤回する旨の通知を出しました。

また、最近、原地域周辺整備株式会社からも、同意を撤回した法的根拠について、同社の代理人から回答を求める文書が参りましたので、彦根市の顧問弁護士に回答書作成を依頼し、早急に返事をする予定でおります」と。

そして、この会社にもその代理人を通して返答されたと理解いたしております。

 そこで、第1、最初の質問ですが、今、市民の最大の関心事は「その後、話はどうなっているのか」ということでしょう。

現在、彦根市とこの2社との話はどのように進んでいるのでしょうか、どのような状態なのでしょうか、現状をお伺いするものです。

 市長は、設置に反対している周辺地域住民の方々とは、じかに話し合いはされていないようです。

その理由は、「株式会社トランスワードほか1社の代理人が設置を推進する人々の立場を代理しておられますので、私としては両社の代理人としての立場を尊重してまいりたい」、また、「私の公約の実行として、同意を撤回し、開発を許可している会社の代理人と意見を交換している状態なので、反対運動団体の立場とは多少違う面がありますので、自主的に行動していただきたいと要請いたしました」とも言っておられます。

 そこで、2つ目の質問です。

 「反対運動団体には自主的に行動してください。

私としましては、両者の代理人としての立場を尊重してまいりたいと考えております」ということについてお伺いいたします。

施設設置に反対の市長は、反対運動団体とも一致するものがあるはずですが、市の行政最高責任者としての立場も理解いたしますが、
市民の目線に立って反対運動団体の方々と語り合う場を持たれてはいかがでしょうか。

市長には特に気軽に市民と語り合うという姿勢が必要ではないでしょうか、お伺いいたします。

 第3番目の質問に入ります。

 設置反対の運動団体の1つ「生活環境をまもる会」は、温泉などの施設には反対しないが、場外舟券・車券売場には断固反対していくと言っておられます。

設置を推進している2社が「はい、わかりました。温泉だけにしましょう」などとそう簡単に引き下がるとは思えません。

こうなったとき、法的な意見交換の現状から法廷論争になろうかと思いますが、現状から見て可能性はいかがでしょうか、市長の法律の専門家としてのご所見をお伺いいたします。

 市長は、場外舟券・車券売場開設問題をめぐり、今日までの一連の答弁の中でこうも言っておられます。

「法的な意見交換ですべてが解決できるとは思っておりません。

それは何といいましても、相手のある問題でございますし、将来の予測は困難でございます。

しかし、どのような事態になりましても適切に対処してまいりたいと思っておりますが、私が現在このような法的な意見交換をやっておりますのは、やはり選挙公約に基づいて行っているものでございます。

かねがね反対運動団体の方々からもいろいろな申し入れを文書で受けているわけでございますけれども、根底に行政というものと反対運動の方々とは微妙に立場が違うところもございますので、そういう意味で、私としては、行政として適切に対処していくという回答しか現状ではできないということをご理解いただきたいと思います」。

 ここであるボートピアの設置に至るまでの経過を見ますと、まずある年の1月、議員全員協議会への設置者の説明から始まり、誘致推進派と反対派のそれぞれの運動が1年間熱く展開され、その年の12月、推進派の設置同意の表明に対し、翌年、反対派は、町、施設会社、地元役員を相手に民事訴訟を起こしますが、4年後、地裁から棄却されます。

反対派は直ちに上告しますが、1年後、高裁も棄却。

 また、国土交通大臣を相手どった設置確認取り消し請求訴訟も東京地裁判決は却下。

翌年、原告は訴えを取り下げております。

 そこで、「行政として適切に対処していくという回答しか現状ではできない」という意味は、今後この場外舟券・車券売場問題が裁判になっても、行政はその判断に従うのみであるという意味であると解釈していいのでしょうか。

市長は、話し合いで解決する場合が多いとも言っておられますが、率直なご所見をお伺いするものでございます。

これが4番目の質問です。

 5番目の質問に入ります。

 新聞によりますと、車券売場は2007年春、舟券売場は2008年の春のオープンを目指している。

工事は2期に分けて進められ、市の開発許可がおりた後始める。

総工費は約30億円、温泉掘削については、事業費約1億数千万円と報じていますが、現在どれぐらいの量のお湯が出ているのでしょうか。

掘削状況や湯の成分、温度などについてお伺いするものです。

 6つ目の質問です。

 一般に場外舟券・車券売場を設置する場合、それぞれ必要な手続や手順について、また地元への交付金などはどのようになっているのかお教えいただきたい。

また、規制緩和以前と以後とはどのようなところが変わったのかもお尋ねいたします。

 最後、7番目のお尋ねは、市長のギャンブル感についてでございます。

 今日では若い女性も競馬ファンが増えているように思われます。

パチンコもまたギャンブルの1つと言えるでしょう。

これらのギャンブルは、またその利益を社会の福祉の充実に還元していることも事実であります。

以前は日本船舶振興協会と呼ばれておりました日本財団は、社会福祉協議会やその他の法人に訪問入浴車、介護支援車、いわゆるヘルパー車、車いす対応車などを贈り、社会事業の充実に寄与していると思っております。

現に彦根市社会福祉協議会も恩恵を受けています。

このような事実からして、公営ギャンブルの持つ既成概念は再考する時代に入っているのではないかと指摘する向きもありますが、市長のご所見をお聞かせいただきたいと思います。

 以上、7つの質問に対し、わかりやすいご回答をお願い申し上げて、私の質問を終わります。



獅山向洋 市長 

 場外舟券・車券売場に関するご質問にお答えします。

 まず、場外舟券・車券売場のその後の話し合いはどうなっているかというご質問でございますが、先ほどお話がありましたように、6月ごろに前市長の設置同意が行政行為に当たるかどうかについて、双方の代理人を通じて書面による法的な論争を行っておりましたけれども、その後、10月4日に双方の弁護士および株式会社トランスワードの社長および私が大阪で話し合いの場を持ちました。

しかし、これはあらかじめお互いの考え方を述べ合おうという約束でお会いしましたので、特にそれをさらに進めたというようなことはございませんでした。

そして、その後はお互いが話し合うというような場は持っておりません。

 次に、市長の気軽に語り合うという姿勢が必要であるというご意見でございますが、これにつきましては、少し後にも繰り返してお話しするかもしれませんけれども、行政と反対運動というものは、かなり立場が違うということをお考えいただきたいと思います。

これは少し例を挙げて申し上げますと、先ほど佐野議員が判例を例に挙げられましたけれども、これらの判例も結局、反対運動団体の方々が原告としていろいろな訴訟の行為を行っておられるわけでございまして、行政としてこのような訴訟ができるかといえば、それはなかなか困難、あるいはむしろできないと言っても過言ではありません。

そういう意味で、やはり行政としての立場と反対運動の立場ということは明らかに違っている面があるわけでございまして、そういう点で、ただ市長が反対運動の方々とお話をしたからといってどうにもならないというようなこともたくさんあるわけでございまして、そういうことをお互いにわきまえて行動するということが必要ではないかと思っております。

 また、この法的意見の交換から法廷論争まで発展する可能性についてのご質問でございますが、これは常に申し上げておりますように、相手があることでございまして、その主張が正しいか正しくないか、それは最終的に裁判所が決めることでありまして、やっぱり法廷論争にまで発展する可能性というものは常に残されているというふうに考えなければいけないと思っております。

また、最近いろいろな判決も出ておりまして、そういう意味では逆にいろいろ議論を尽くしておくことも必要でございますが、裁判所の判断を受けてすっきりさせるということも重要なことでございまして、そういう意味で、法廷論争がいいか悪いかは別といたしまして、そういう可能性というものは常に考えておく必要があると、こういうふうに考えております。

 また、既に議会でも答弁しておりますけれども、中島市長の設置同意を撤回した理由としましては、中島市長の設置同意は行政行為に該当しない、あるいはこのような設置同意につきましては撤回が制限されたり、行政手続法による手続が必要であるというご主張は間違っているというのが私なり顧問弁護士の見解でございまして、それに基づいて論争を続けてきているわけでございます。

 また、さらに、損害賠償請求をされるのではないかということについてのご心配でございますけれども、現状において、私なり顧問弁護士としては、損害賠償請求の訴えそのものはできるかもしれないけれども、それが本当に損害賠償を命ぜられるまでの判決に至るかどうかについては、それは至らないであろうという考え方を持っておりますので、申し添えておきたいと思います。

 さて、行政として適切に対処するという意味でございますけれども、これは法治国家である以上、裁判になって判決が出れば、当事者がその結果に従うことは当然のことであるというふうに考えております。

 また、先ほど微妙な差があるというお話をいたしましたけれども、ここで1つ例を挙げてお話ししておきたいと思うんですが、例えばパチンコ店を開店するということで建築確認申請が出たとします。

それに対して反対運動が起きた、また行政も反対したと、こういうふうにした場合、反対運動をする者としては、訴訟としての原告にもなれるわけでございますけれども、もしその建築確認申請が法に従って行われているのに、行政がそれをあえて反対だという趣旨から申請を引き伸ばした場合には、これは行政は不作為による損害賠償請求を受けるわけです。

そういう点で、反対運動と行政という立場は明らかに違うということをご理解いただきたいと思います。

 さて、現在湧出している湯量や成分等についてのご質問でございますが、これにつきましては、行政といいますか、私といたしましては全く聞き及んでおりませんので、お答えしかねます。

 さて、さらに場外舟券・車券売場開設の手続や地元への交付金についてのご質問にお答えいたしたいと思います。

 まず、
場外舟券発売場の場合は、事業計画策定後、地元自治会の同意、首長の同意、議会の反対議決がされていないことなどの地元調整後、彦根市と施行者との行政協定が締結され、開発許可取得後、場外発売運営審議会に諮られ、その後、建築確認をとり、国土交通省へ場外舟券発売場設置の確認申請を提出し、国土交通大臣の確認がおりて、場外舟券発売場の建設工事に着手できることになっております。

 
次に、場外車券売場の場合も舟券発売場とほぼ同じでございますけれども、少し違っている点がございます。

1つは、地元調整において、首長の同意までは求められておりません。

また、経済産業大臣への設置許可申請となっておりまして、大臣の許可があった後に建築工事の着手となることになっております。

さらに、地元への交付金等についてでございますが、場外舟券発売場の場合には、環境整備協力基金などとして施行者から売上金の1%の交付があると聞いております。


規制緩和の前後についてのご質問でございますが、その辺、どういう時点を指しておられるのかよくわからないんですが、特に規制緩和の問題とこの許可条件などにつきましては変化はないと私は認識しております。

 最後に、私のギャンブル感についてでございますが、例えば私がギャンブルが好きかどうかというふうに聞かれた場合、正直に申しますと、好きな方に入るんじゃないかなというふうに考えております。

ただ、ギャンブルというものをある程度理解しておりますだけに、また前もお話ししましたように、弁護士としていろんな破産事件を取り扱った経験からも、やはり近いところにこういう施設があるということは、非常にのめり込む人が増えてくることは事実でございまして、そういう意味で個人的には反対の意見を持っておりますが、ただ、この問題は個人的なことではございません。

たびたび申し上げておりますように、交通渋滞の問題もございますし、特に彦根市は3つの大学を抱えておりまして、
学生とか職員を含めますと、約5,000人余の方々が日中といいますか、彦根市で勉学に勤しんでおられるわけでございます。

しかも、馬券も舟券も車券も学生はこういうものを買っちゃいかんということを法律ではっきりと規定されているわけでございまして、このような
彦根市の置かれている状況から考えれば、やはりこのようなギャンブル施設は好ましくない施設であるというふうにぜひともお考えいただきたいと思うのでございます。

 以上でございます。



佐野正博 議員 

いろいろと難しいお話をいただきまして、言外の意味をよくとりまして、私はわかったつもりでございます。

 1つ、今、温泉を掘っていないのか、どうなっているんだ、その後ということでお聞きしたわけですが、これは市ではどこも把握といいますか、あるいは一般の人たちが知るにはどうしたらいいのかお教えいただきたいと思います。



獅山向洋 市長 

 実は、私も正直申し上げて、本当に知りたいのでございますけれども、どうしたらよいなどと言われますと、やはり直接お尋ねするしかないのではないかというふうに考えております。

ただ1つ推測する事実関係としましては、当然、大量に温泉が湧出したような場合には、やはりそれなりの発表があるのではないかというふうに思っているわけでございまして、そういうふうに考えれば、現状でそういうご発表がないということは、まだ出ていないのではないかなというふうに推測しているわけでございます。

どうも、どうしたらよいのかというご質問に対するお答えができないのは残念でございますけれども、その程度でご理解いただけたらと思います。



佐野正博 議員

 以上で質問を終わります。