2005年6月29日 滋賀県議会一般質問 森茂樹 議員 |
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原開発による彦根の車券舟券売場問題と農協による同委員会への巨額融資について質問します。 まず、総務部長に質問します。 彦根市長選挙では原開発が推進する場外車券舟券売場に反対する獅山市長が当選しました。落選はしましたが大久保候補も同じ公約をしました。 二人合わせれば彦根市民の64%がこの政策に共感を示しました。 獅山市長は早速、前彦根市長の場外車券舟券売場についての同意を撤回しました。 競艇の場外舟券売場を設置申請する際の地元調整には、市長の同意が不可欠とされており、今回その同意が撤回された以上、滋賀県としても彦根での舟券売場進出をやめると表明すべきではないかと問うものです。 大津市は、彦根場外車券舟券売場建設計画の発端は県の琵琶湖競艇から出されたものとしており、県が断念すれば計画は解消すると考えられます。 県の明確な決断を求めます。 総務部長 森議員の彦根場外車券舟券売場についての御質問にお答えします。 競艇事業の売上げは全国的に見ると平成4年度以降、減少を続け大変厳しい状況でございます。 このような中で、新規ファンの獲得や売上げの向上に直結する場外発売場の設置は競艇業界の最重点施策のひとつとなっておりまして近年、徐々に整備が進んでまいっておりまして、現在全国に20ヶ所の場外発売場が設置され、昨年度の場外発売場における売上額は1,300億円余、全体の13.4%を記録しております。 ご承知の通り、場外発売場の設置に際しましては、事前に地元との調整がとれていることが前提となっております。 具体的には、国土交通省の通達によりまして、一つには当該場外発売場の所在する自治会の同意がとれていること、二つには市町村長の同意がとれていること、三つには市町村の議会が反対を議決していないこととされております。 そこで彦根での舟券売場進出をやめると表明するべきではないかという御質問でございますが、当該発売場の設置に関しましては現在、彦根市と設置業者の間で前市長の同意と現市長のその撤回の有効性をめぐって様々なやりとりが行われていると聞き及んでおりますが、当該地は琵琶湖競艇場のエリア内でありますことから、条件が整った場合には売上げや収益をはじめ、様々な観点から総合的に検討を加えました上で、施行者と市長の協定、即ち進出の可否を判断してまいりたいと考えております。 次に、農政水産部長に原開発への異常な農協融資について質問します。 周知の通り、農協は農協法に基づいて組織され、「農民の協同組織の発展を促進し、もって農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展に期することを目的」にした組織です。 25日に開かれたJA東びわこ農協の第8回通常総代会で、事業報告案、決算案、剰余金処分案を含む議案が承認されず、異例の流会となりました。 JA東びわこで起きている事態は農協法が掲げる目的やJA綱領に照らして組合員の期待と信頼に反するものだと、多数の総代から支持をされなかった事は当然ではないかと考えます。 農協法では「監督官庁」の役割が明確に規定され、国・県の特別に強い権限が与えられています。 私は、この東びわこ農協の事態に県当局がどのような役割を果たすか、旧彦根農協時代の巨額融資の回収不能・いわゆる焦げ付き問題を、当組合と組合員の財産・資金を守る立場で、どう解決するのか鋭く問われていると考えます。 そこで、いくつかの点について県当局の見解を問います。 第一に、25日の第8回通常総代会の流会を県としてどのように受け止めているのかを問います。 これは会計・経理処理の狭い問題ではなく、 @破綻先債権:約9億8千万円と遅延先債権の合計で13億円を超える組合の財産が回収不能の危機に直面していること A彦根市農協で起きたこのような異常な融資と焦げ付きを合併前も合併後もひた隠しにしてきたこと (この二つに対する)組合員の不安と幹部不信の反映と見ることが出来ると思いますが、如何ですか。 第二に、原開発については旧彦根市農協、東びわこ農協、滋賀県信用農業協同組合連合会などが、返済が滞っているにもかかわらず長年に渡って巨額の融資を繰り返してきました。 県は常例検査の中で法違反、規則違反などの行為を認めなかったのか、貸付に関する内部規定、貸し出し規則などがあると考えるが、それらに抵触していたことがなかったのか、あったとすればちゃんとした指導をしていたのかを問うものです。 第三に、1997年3月以前、彦根市農協に対して検査に基づいて業務改善命令を出したことがあるのか、出したとすればどのような内容かを明らかにして頂きたい。 彦根市の原開発関係の地権者団体と関連する個人の登記簿によれば1997年3月21日に、抵当権と根抵当権の設定契約は4口、合計で7億2千万円と確認されます。 もうひとつは、彦根市の宅地開発会社に関連する登記簿では1991年と1996年に三口に分け巨額の根抵当権が設定されています。 この二件が東びわこ農協に債務不履行となっている大口債権であると考えられます。 第四に、登記簿から債務不履行が相当以前に発生しているとうかがわれ、理事者の対応が注目されていました。 県当局が公務員の義務を発揮し農業協同組合法に基づき、あるいは他の関係法規に基づき不正、非行の類を業務改善命令、あるいは監督官庁として告訴、告発の対象となる事案、事象は全く無かったと言えるのかを問います。 第五に、大口融資の根拠となった担保物件の査定は正確慎重に行われていたといえるかどうかを問うものです。 第六に、債務不履行となった地域の団体から県当局が必要な業務改善命令を出しておれば1997年の追加、借換融資を未然に回避し、今回のようなより深刻な事態をまねくことは無かったと考えるがどうかを問います。 第七に、大口融資のうち一件について登記簿では本年2月24日に競売開始決定がされているが、連帯債務者の個人財産が仮差押のままとなっている事態を県は掌握していますか。 組合財産を守るという立場に立つなら連帯債務者に法的な履行を迫るのは当然のことと考えるが、指導や改善命令の対象にならないのか問うものです。 農政水産部長 農協融資問題についての御質問にお答えします。 県は農業協同組合法第94条に基づく常例検査を通じ、事業運営や財務内容について状況把握を行う事により健全かつ円滑な運営を図っているところであります。 個別農業協同組合の融資事業にかかわる7点の御質問についてでありますが、個別の融資事案は当該農協やその構成員である組合員の利害に直接かかわる事であり一定制約がございますので、許される範囲内で答弁申し上げたいと思います。 まず一点目の通常総代会の流会に関する御質問でありますが、議案審議未了のまま流会する事態となりました事は極めて異例なことであり、農業協同組合を監督する立場といたしましては、大変な事態と受け止めております。 本来、農協が金融機関として信用事業を行う場合には、資産の健全性を確保するため自ら資産査定を行い、債権の信用リスクの程度に応じた十分な水準の償却や引当金の計上を行う必要があります。 今回の総代会における平成16年度事業報告書および余剰金処分案の承認についての議案も、このような会計処理原則の下に提出されたものと承知しております。 ただ、こうした会計処理が専門的で、一般の組合員には解りにくい面もあり、債権管理も含めて出来るだけ解りやすく理解が得られるよう説明責任を果たして頂く必要があったのではないかと感じております。 二点目の県の常例検査の中で、法律違反および規則違反等の存在に関する御質問でありますが、この事は検査の内容に触れることであり、また当該農協や組合員の利害に直接かかわる事でありますので、具体的にお答えする事は差し控えさしていただきたいと存じます。 三点目の彦根市農協に対する改善命令に関する御質問ですが、そうした事実はございません。 次に、四点目の業務改善命令、告訴、告発の対象となる事案、事象に関する御質問でありますが、これまでのところ対象となる事案、事象はありません。 五点目の大口融資の根拠となった担保物件の査定についてのご質問であります。 一般的に農協では不動産を担保に貸付する場合には、信用供与業務実施規則により、地価公示価格や地価調査価格あるいは路線価を基に、近傍類地の実勢価格で補正をしながら適正な評価を行う事になっております。 六点目の県が業務改善命令を出していれば今回の深刻な事態を招く事はなかったのではないかとの御質問であります。 県が農業協同組合法第95条第1項に基づき業務改善命令を発出するのは、もはや組合の自浄能力が期待できない場合、あるいは隠蔽工作が認められるような場合、さらには農協の組織的な犯罪が行われた場合であり、今回の場合これらに該当しておりません。 最後に七点目の連帯債務者の個人財産が仮差押のままとなっている事態を県は掌握しているかという御質問ですが、検査の内容に触れることから具体的な答弁は差し控えさしていただきます。 なお一般的には、農協の延滞債権については債務者に対する約定弁済の回復を原則にしながらも、必要に応じ債務者および連帯保証人との話し合いの中で任意弁済の手法をとることもございます。 さらに、弁済が期待できない場合にあっては、担保物件の任意売却や競売等の法的措置による手法を用いることもございます。 債権回収において、どのような手法をとるかは理事会における総合的な経営判断であります。 冒頭申し上げましたように農協の総代会が流会するというような事態は異例なことでありますので、東びわこ農協におかれては、指導組織である県農協中央会とも連携しながら、一日も早く組合員の理解が得られるよう十分な説明責任を果たす中で、事態の収拾を図って頂きたいと考えているところでございます。
森茂樹議員 原開発の問題で、先ず、場外舟券車券売場の問題ですけども、獅山市長がああいう撤回をされてトランスワードのほうがそれに抗議をしているというのはその通りでありますけども、市長が同意撤回をしたという時点で、先程言われた国土交通省が言っている地元調整の三条件の一つはもう崩れたというのが、県が立つべき立場ではないかという具合に思うわけですが、その点、行方を見守るというよりは市民の判断もはっきりしているわけですし、獅山市長のとった態度も非常に明確な訳ですから、その時点で同意の撤回はされた、つまり「地元調整の条件はなくなった」と、このように滋賀県は見るべきだと思いますが、その点もう一度おききをしたいと思います。 総務部長 現時点で場外発売場の判断をすべきじゃないかというお尋ねでございますが、新聞報道等を見ますと、温泉施設でありますとか高齢者向けの施設も併設されるということも考えておりますし、その施設が出来ますと街の活性化なり街づくりに大変資するような施設であると、それによって県あるいは市税の相当な増収になりますし、税外収入がかなり見込めると言うことで財政を担任する者としては、そういう面ではそういう位置付けにある施設であるなという印象をもっておりますが、現時点は開発業者が自ら着実に調査あるいは事業計画策定等を進めておりまして、我々が判断します施行者と市長の協定の前の段階でございますので、市と開発業者の調整が整った後にやはり判断をさせて頂きたいと思います。 森茂樹議員 農協問題でありますけども、殆んどまともな答弁が無かった。 聞いておりますと常例検査で県がやらなければならない重要な責務があるわけですけども、これでは組合員の皆さんは権限を持つ県がこのような態度では本当に自分たちの財産は守れるのかという不安を持つのではないかと思いながら部長の答弁を聞かせてもらいました。 今後も様々な形で出てくると思いますが、これだけの問題が長年にわたって続いてきたにもかかわらず、この間、常例検査で改善命令はひとつも出したことがないということなんですけども、本当にそれはそうなのかと、本当にそれがそうだったらですね、一体、常例検査とは何だったのかという事を逆に問い返さざるを得ないと思うんです。 その点ですね、もう一度確認をしたいと思います。 それから五番目に訊きました大口融資の根拠となった担保物件の査定についてですね、担保の評価をせよということでやってきたと言うんですけども、当時、大口融資になりました不動産物件があります。 それについて、ここは路線化評価の地域でなくて倍率評価の地域ではなかったのかと思いますが、どの計算をしても巨額の担保物件としての価値はもっていないということが明らかにされています。 ですから、ちゃんと検査をしてきたと言うんですけども、その点本当にどうなのかですねもう一度問うものであります。 農政水産部長 改善命令は出していないのかということにお答えをします。出しておりません。 それでは県の常例検査とは何かということの御質問でありますが、農協法第94条に定めます常例検査は自己責任原則で行われております農協の事業執行が法令に違反しているかどうかを検査するものであります。 第五番目の御質問の担保の査定の話でありますが、おっしゃっておられるような個別案件の担保の査定の話をしたのではなくて、一般論として言って申し上げました。 検査には守秘義務がありますし、また個人情報保護を農協がやっておられますし、合わせまして一般的に我々守秘義務があるということでお答え出来ないということであります。 |