1991年(平成3年)4月25日

参議院 農林水産委員会(議事録抜粋)

 
喜岡淳(社民党)
 私は、日本中央競馬会が高松市の田村町に予定しております場外馬券売り場について質問いたしたいと思います。
 この地域は、香川県内においても文教施設が最も集中したところであります。保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、高専、養護学校、福祉医療施設、癖護施設、こういったものが集中いたしております。また、予定地のすぐ目と鼻の先には中学校がありますが、この中学校については既に香川県教育委員会の方から青少年健全育成モデル中学校としての指定が行われております。高松市の方からも緊急指導対策校ということで非行防止の取り組みが長年にわたって行われておる、そういりた地域であります。既に地元のPTAとか教育育成会などでは教育困難校と言われておる学校であるということを挽回するために、警察やPTA、学校、育成会が一体となってこの地域のパトロールなどを行っておる極めて教育環境の深刻な地帯であります。そこに中央競馬会の方が場外馬券売り場を予定しておるものですから、当然地元の教育団体は猛反対をいたしておりまして、二万八千名を超える署名が皆様方の方に既に届いておると思います。そこで、高松市長も非常に心配をしておりまして、この建設予定については私は反対だという反対の意思表明を去る三月二十四日に行ったということについても、中央競馬会では御承知のことと思います。
 そこで、まず最初にお尋ねしたいんですが、
中央競馬会が場外馬券売り場を設置する際の設置基準といいますか、農水省の方は申請が上がってくればチェックをするんでしょうが、その際いかなる基準でもって場外馬券売り場の審査を行われるんでしょうか。設置の基準についてお聞かせください。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎 
私ども、監督官庁であります
農水省畜産局の方の御指導の方針に従いまして、特に地元との調整、具体的には、市の場合でございますと周辺町内会の同意、それから警察の協議、そのほか私どもの手続として建築許可申請なりがパスしていること、こうしたことが必要な条件と考えております。


喜岡淳(社民党) 
 そもそも、地元の同意を必要とする理由は何でしょうか。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 やはり私どもからいたしますと、場外発売所を設けますと、特定日でございます、開催日が土曜、日曜が中心でございますが、相当の人出がある。また、これに伴います各種の影響がその地元、地域に影響するということもございまして、私どもとしては町内会等の御意見を十分に承らなきゃならない、こう考えております。


喜岡淳(社民党)
 地元の同意を得るという問題ですが、地元の同意ということは、具体的に町内会というふうにおっしゃいましたが、
どうして町内会をもって地元の同意とイコールになるんでしょうか。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 私ども、
やはり地元を代表した総合的な御意見は町内会をもって代表させていただける、このように考えておるわけでございます。


喜岡淳(社民党)
  それでは、これまでの国会答弁を調べてみますと、設置の基準について非常に矛盾を感じます。
町村に設置する場合は町村長の同意を得る。市につくる場合は関係町内会、まあいわゆる自治会となっておるわけですね。町村だったら町村長さんの同意を得なければ地元の同意にならないのに、市の場合ならば自治会長さん、これどういうことでしょうかね。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 地元の同意をとるということにいたしておりますが、その地域において当該場外馬券場が地元に受け入れられるかどうか、こういうことが一つのポイントだというふうに思っております。私どもは、そのときにはそこに住んでいる住民の方々を対象とするということが適当ではないかということでございまして、そういうことを考えた場合に、
町村の場合にはやはり当該町村を一体的なものとしてとらえられるということでございますので町村長ということでございますが、それを越えるような形での市の場合には、市全体ということよりも、むしろ場外施設設置の影響の及ぶ範囲ということを念頭に置きまして、地域住民を代表しておられます町内会なり町内会長の同意ということが一番よろしいんではないかということで、市にありましては影響の及ぶところの町内会長ということにいたしておる次第でございます。


喜岡淳(社民党)
 それは絶対僕は説得力はないと思うんですね。高松市の面積より広い町村はいっぱいあるんですよ。ですから、そういう取ってつけたような説得力のない答弁はぜひ私はやめていただきたいと思うんです。高松市より広い面積の町村はいっぱいありますよ。
 影響の及ぶ範囲というふうに今局長さんはおっしゃいました。じゃ具体的に影響が及ぶという問題について後から聞きますけれども、その前にもう一つだけ教えてください。
 町村長の首長さん、高松市なら市長さん、こういった首長の方は住民の全員から選挙をもって選ばれた法的裏づけのある全体の代表者です。明確な代表です。自治会というのは極めて任意な団体であって、自治会に加盟しようが加盟しまいが勝手なんです、行政組織じゃないんですから。そういった一任意団体と公的な代表をもうみそもくそも一緒にするようなことは、私は論理的に筋の通らない、法的根拠はないものだろうと思いますが、そういうふうな理解でいいですか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 もちろん市なり市議会等々のそういう御意見等々について私ども十分承っていくことにいたしておりますが、ただいま申しましたように、
地元で受け入れ可能かどうかということの判断といたしましては、やはりその当該施設があります地元の地域住民の方々ということで、その影響の及ぶ範囲での町内会長の同意ということにいたしておる次第でございます


喜岡淳(社民党)
 そうしたら聞きますが、影響の及ぶ範囲というふうにおっしゃいました。じゃ、場外馬券売り場の設置の際に影響を受ける自治会、受けない自治会、この間の線引きはいかなる科学的な根拠をもってされておるんですか。説得力のあるように言ってください。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 
地元同意の対象範囲は影響を受けると思われる町内会ということでございますが、当該場外馬券売り場を設置することによりまして人なり車等の動きによる影響等々も考えながら、一つは場外馬券売り場と主たる公共交通機関との関係だと思うわけです。それから、設瞳予定地周辺の立地条件、これは道路とか河川による遮へい度とか、そういうようなこともあります。それから、場外施設の規模がどのぐらいになるか、場外施設の内容、これはまた駐車場なり駐輪場の設置位置等々の範囲というようなことを念頭に置きながらやっておるわけでございますが、その範囲が区々であるというようなことから設置承認申請が出された場合には、地元同意の対象範囲につきましては、そういう形で特に審査基準を設けて判断しているということでなくて、個々の事例に応じて判断をいたしておるということでございます。


喜岡淳(社民党)
そもそも自治会の成立案件という手続は明確なものはあるんですか、総意としてと言うけれども。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 これは直接には私どもが同意をとったわけではございません。申請者であります方の方でこれ同意をとっておるわけでございます。
 具体的に申し上げますれば、
規約のある町内会では規約に基づいて、会員の投票によりまして賛否を問うて同意を決めたということでございます。
 では、規約のない場合でございますけれども、会長が説明会を開き、本会からも説明に行きまして理解を深め、会長が会員の賛否を問うた後に同意書に連署したケースもございます。会長が数回の寄り合いを開きまして、会員の意見を確認して会長名で同意書に署名されたと、こういうようなケース、それぞれの町内会によって異なってはおりますけれども、私どもは同意はとられたと、こういうふうに理解しております。



猪熊重二(公明党)
 馬券の発売と配当金払い戻し施設に関する件についてお伺いします。
 馬券の発売については競馬法五条で、配当金の払い戻しについては同八条で、日本中央競馬会の業務となっております。しかし、業務だということは決めてあるけれども、どのように馬券を発売するか、あるいは配当金、払い戻しをどうするかというふうなこの二つの業務を実行するための具体的方法に関する規定は競馬法にはありません。どこにありますか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 競馬法上はどこでどういう形で支払うかということについて規定いたしておりません。


猪熊重二(公明党) 
競馬法にはないのは私がないと言ったんだ。だからどこにありますかと聞いたわけです。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 これは二つの方法でございますが、一つは当然場内でございますが、もう一つは場外の規定としたしましては施行令の二条で場外施設をつくりまして、そういう形の中で発売するということになっております。


猪熊重二(公明党)
 要するに競馬場内で券を売ること、配当金を払い戻すこと、これは競馬場内でやるのは当然のことだから法律にもどこにも規定はありません、ただ競馬場外でそんなような特別なことをやる場合については施行令について規定してありますと、こういう趣旨ですね。
 私が伺いたいのは、そうすると、この競馬場もしくは競馬場外の令二条による場外設備、これ以外では中央競馬会は馬券を売ったり払い戻したりの事務を行うことはできませんね。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 法律上は規定しておりませんが、現実の話といたしまして、券を発行いたしましたり競馬場との連絡なり金銭管理ということが当然必要となってきますので、どうしても一定の施設を設けることが必要であると。そういうことですべて場外設備として農林水産大臣の承認が必要であるというふうにされておりまして、現実には場内と農林水産大臣の承認を得ました場外でしか発売はしない、こういう形になっております。


猪熊重二(公明党)
 要するに、一口に言えば場外馬券場、この法令の規定では場外設備となっておりますが、この場外設備についてこの競馬法施行令二条は、中央競馬会は場外設備を設置しようとするときは申請書を農水大臣に提出して承認を受けろとその中に書いてある。どういうことを書くかということについては、設置場所、設備の概要、当該競馬場との連絡方法、設置の理由、これだけあります。場外馬券場について地方団体の意見を聞くとか聞かないとか、地方競馬とのバランスを考えるとか考えないとか、そういうふうなことは何にもこれには書いてないんです。みんな役所の裁量事項なんです。私が農水大臣になればなるべくだめだだめだと言う。星野先生が農水大臣になったらどんどんつくれどんどんつくれ、こういうことになる。こんなあいまいなことがあっていいのかということをまず申し上げておいて、電話による馬券購入についてお伺いします。
 まず、電話による馬券購入というのは、何か物の資料によると昭和五十一年からこういう電話による馬券購入が始まりて、現在電話の加入者が二十三万五千件ある、こんなようなことになっているらしいんです。この電話による馬券購入ということと今の場外馬券場との関係はどういうことになりますか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 電話投票につきましては、全国各地にある電話投票所において登録されました加入者から勝馬投票券の購入の申し込みを受けまして、その申し込みのデータを東京の後楽園にあります電話投票センターに専用回線により通信しまして、その電話投票センターにおいて勝馬投票券の発売、払い戻しを行っている。したがいまして、後楽園の電話投票センターは、今別途場外発売所はありますが、それとは別に場外設備としてこの施行令二条に基づきまして承認をいたしている次第でございます。


猪熊重二(公明党)
 そうすると、いわゆるお客さんがいっぱい来て、それで券を買って、払い戻しを受けてといういわゆる場外馬券場とは全然別個だけれども、電話機だけを置いてあって、お客さんはだれも来ないけど電話だけ来る、これも場外馬券場、両方とも場外馬券場だと、こういうことですね。
 じゃ、競馬場内で電話で馬券を発売する業務を行うとした場合はどうなりますか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 競馬場内の問題につきましては、特段に規定しておりません。やっておりません。


猪熊重二(公明党)
 この施行令の二条に書いてある先ほど私が読み上げた四項目、こんな中には、電話でやるとか、いわんやこの後パソコンのことを伺いますけれども、そんなことは全然この令二条は予測していないと思うんです。電話でやるというのはこの令二条の中のどの部分なんですか。そしてそれは農水大臣の承認を受けることになるんですか。どういう形で電話の馬券購入ができるんですか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 競馬制度上は、入場者以外の発売、競馬場以外での勝馬投票券の発売というのは、競馬法上は想定していたと、二十三年ということでございます。
 ただ、電話投票につきましては、コンピューターと電話回線を利用した新しい方式として開発されてきたものでありますが、競馬法上の取り扱いといたしましては、電話投票センターもやはりここで言う場外施設に当たるということで、施行令二条の承認を得るということであります。


猪熊重二(公明党)
 結局、さっきも申し上げたでしょう、要するに場外馬券場ということについてこの二条に書いてあるのは、設置場所はどうだと言うから設置場所は何丁目何番地ですと。設備の概要はどうだと、テーブルがあってこうです、どうですと。本体たる競馬場との連絡方法はどうなんだと、電話でやりますとか係員が走っていきますとか。設置の理由はどうなんだと、お客さんが競馬場だけで買い切れないで人がいっぱいいるんでと、こういうことは書いている。電話なんてことは一つも書いていない。要するにこの令二条が予想している場外馬券場というのは、お客さんが歩いて来るか、自転車で来るか、自動車で来るか知らぬけれども、ともかくそこへ出向いてきて券を買って、金を払い戻してもらってということなんです。それを電話なんということは一つもないじゃないか。これは拡大解釈だ。今回やろうとしているパソコンも同じことなんだ。
 こういうふうな重大な変更が農水省の役人の都合だけでできるということに非常に問題があるんです。電話だってまあこの設備の概要の変更だ、パソコンも設備の概要の変更だ、こんなところまでこの令二条を広げていったら、法律が任せている趣旨と全く違ってくるじゃないですか。この法律をつくったときにはそんなことは予想していないんだ。この間の海部内閣の自衛隊機の派遣と同じなんです。法律の趣旨を全然変えて膨らまして変質してしまっている。この令二条で電話なんということはないんだ。みんなそこでお店を広げて皆さんが買いにきて、それで金と券とをこういうふうにして、当たっていれば逆になって、金を払ってこうと。こういうことの場外設備なんです。電話で来るなんということは何もない。それをそういうふうに設備の概要を変えるというふうなことですりかえるということは非常に不適切であると思うんです。
 私が何でこんな電話のことを申し上げるかというと、電話による購入、今度はパソコンによる購入というふうなことは、出向いていく手間すらやめて、ばくちそのものにずっと近づくということを申し上げたいんです。要するに、ちょっと能書きを言って申しわけありませんけれども、先ほどから、やれギャンブルというのはどうも気分がすっきりせぬというふうに競馬会の理事長が言っておられるけれども、要するに競馬が本当の意味のスポーツだとしたら、そこには競走はなくてもいいんです。自分が馬に乗って、いい馬をどう走らせて、自分がどれだけ技術の向上をするか。これがスポーツのはずなんです。
 今度は、そういう人が何人か集まって、駆けっこしようじゃないかということになってやったときに、初めて競技の問題が出てくるんです。だから、自分で乗るということが前提で、スポーツかあるいは競技か。これを見ている人は、これはもう単なる傍観者なんです。これをファンと呼ぶか何と呼ぶかは知らぬけれども、これは見ている人です。
 このレースに銭をかけたときに初めて賭博になるんじゃありませんか。だから、この賭博に銭かけて、刑法で言えば、偶然の輪贏に乗じて博戯もしくは賭事をなすことなんです。偶然の勝ち負けでもうかったり損したりするというこれがばくちなんです。これがギャンブルなんです。だから、競馬というのはスポーツだとかあるいはゲームだとかレジャーだとか言っているけれども、銭かけて、それで券買って、もうかるか損するかになったとき、これはもうばくちそのものだということを前提に物を考えなきゃならぬと思います。
 それでも競馬場へ行って実際に競馬を見ている人は、まだレジャーとしての問題もある。それからその現場で銭かければギャンブラーだ。レジャーを楽しみつつギャンブラーです。電話なんというのは影も形もないのに、ただ銭かけて、もうかったか損したかです。もうかったか損したかだけに関心があってやることだとしたらこれはばくちそのものだ。だから、電話の馬券購入とか払い戻しは電話でするわけにいかぬから、結局どこかへ取りにいくんでしょうけれどもね。――銀行口座へ振り込むのか。私は競馬のことは全然知りませんのであれだけれども。これを今度またパソコンでやると。何でそんなにばくちを国民にどんどん広げようとするのかということを私は大臣に聞きたいんです。
 要するに、物事の出来事には影の部分と光の部分があるはずなんです。それをどのように考え、どのように評価するかはその人の人生観、世界観の問題です。ですから私は、私の申し上げていることが絶対に正しいなんていうことは一つも言っているわけじゃないんです。私は私の考えからして、こういう額に汗流さぬ銭を私はもらいたいとも思わぬし、国民にもそういうふうな額に汗流さぬばくちの銭が欲しいというような国民は、できるだけ少なくなってもらいたいというこれは私の人生観です。
 だけど、そうじゃなくて、株でももうけるか、宝石でももうけるか、宝くじでももうけるか、ばくちでももうけるかと。しかし、一番大切なことは、競馬会の理事長に私は申し上げておきたいんです。競馬場で動いた銭は、こっちの銭がこっちへ行って、あっちの銭がこっちへ来たとしても、銭の動きがあっただけであって、それによって米一粒が生産されるわけじゃないし、物がどれだけ動いたわけでもない。要するに、それがギャンブルじゃないですか。
 大臣、こういう電話だとかパソコンだとかということで、どんどんもうかりさえすればいいというふうなことじゃなくて、競馬の負の面を、影の面を考えてもう少し自制するべきだと私は思うんですが、大臣の所見はいかがでしょう。


農林水産大臣 近藤元次
 先生や私みたいな人ばかりいれば競馬もそう大衆化をしていかないんですが、現実的にはやっぱり一千万からの人間、そして場外馬券も入れれば、何らかの形で一億人程度が推定されるというような状況であるように承っておるわけであります。
 一般的には、ばくち、ギャンブルというのは好まれない、そのことのイメージが悪いというような話もありましたし、言われることも余りいい気持ちはしないと理事長みずからが言っているわけでありますから、そういう意味合いの中で、人間だれしもやっぱり賭博性というかギャンブル性というのがある人が、一般大衆の中に今競馬を中心にして行われておるという現実の中で、どうやって公正にやるかということがこれまたその対象になる人たちに大事な役割ではないだろうか、そのことが公営にした歴史的な意味合いだろう、こう実は認識をいたしておるわけであります。
 電話とかパソコンという関係に至りましては、この人たちがもう全く競馬場に一度も行かないでということじゃなくて、かなり競馬に行き、競馬の知識もある人ではないかなと、私はそうまた一つ逆の面では認識をいたしておるわけであります。それがやっぱりいろんな事情で遠隔地であって競馬場に行けない。もう一つはのみ行為というようなもので行われておるというのも、現実のもう常識化をしておるような状況でございますので、そういう面での防止を一つはしていかなきゃならない。しかし家庭の中にそういうものを持ち込んで子供に与える影響というのだけはもう十二分に注意を払っていかなきゃならない点ではなかろうか、そういう立場で今認識をしておるところであります。


猪熊重二(公明党)
 今回の法律改正のもとになった考え方の一つに、畜産局長の私的諮問機関である競馬に関する研究会の報告があるように思われます。これはきのうの参考人質問の際にもそのようなことが言われました。しかし、この研究会報告は、競馬の負の部分、影の部分に対する配慮など全くなしに、競馬はじゃんじゃんやりましょうというふうなことになっているんです。なぜか、メ
ンバーの構成に問題があるんです。競馬関係者が七人、それに関連するような農林関係者が二人、マスコミが一人、競馬が好きな作家が二人、地方団体から一人と、はっきり言わしていただけば、十三人のうち客観性というか、普通の人というと非常に申しわけないですけれども、利害関係のない人は二人しかいやせぬじゃないですか。十三人のうち十一人がもっともうけようや、もっともうけようや、もっとああしようやとやっている。そんなところの会合の結論がなぜ正当な結論になるかということなんです。私に言わせたら、こんな今回の法改正による中央競馬会に馬主の登録要件に関する審査会をつくるとかどうとか言っているけれども、それ以前に競馬そのもののありようについての検討会を農水省に持つべきだ、その場合には、そんな業界団体、利益団体の人は要らないんです。学識経験者、自分で言うのもおかしいけれども、法律関係者だとか教育関係者だとか言論機関の関係者、あるいは一般の消費者団体であれ社会福祉団体であれ各種の宗教団体であれ、そういう一般的な人にぜひ来ていただいて、それで競馬はどうでしょうということをいろいろ聞いてみる。それが根本的に必要なことなんです。そういうこともないから、今回の競馬法の改正も何だか農水省と中央競馬会が元気よくいきましょうというだけのことじゃないですかと思うんです。
 大臣、どうです、競馬に関して今回の改正法でやっているような審査会じゃなくて、今申し上げたような審査会をつくって競馬を根本的に検討してみるということをお考えになりませんか、いかがですか。


農林水産大臣 近藤元次
 衆議院から、あるいは本日参議院で御審議をいただく諸先生方の御意見を聞いて、私も競馬というのに知識がないんで、この法律を提案をする段階において事務当局から勉強させていただいたというのが実態であります。今後において私がいろんな角度から関係者に競馬のあり方等について御意見を聞く機会はつくりたい、こう思っております。


猪熊重二(公明党)
 次に、競馬の青少年に与える影響について、警察庁にも来ていただいたんで、お伺いしたいと思います。
 要するに、競馬については社会的な悪影響が各方面にあるはずなんです。根本的には国民の射幸心を盛んにすることによる勤労意欲の減退ということが根本です。そのほかにも場外馬券の問題だとか家庭の崩壊、いろいろな問題がありますが、青少年の問題が一番大切なんです。
 警察庁にお伺いします。
 決算委員会では喜岡委員が伺ったんですけれども、ここの委員会では初めてですので、昨年ないしことしにおいて警察庁が競馬法二十八条違反もしくはその他の法令に基づいて競馬に関連して未成年者を補導ないし保護処分等をした人数及びその取り締まった場所についてお伺いしたい。


警察庁刑事局保安部少年課長 吉原丈司
 ただいまの御下問でございますが、競馬法二十八条に違反したことによりまして家庭裁判所に書類送致した未成年者は、平成元年中は五百四十六人、平成二年中は六百七十七人に上っております。また競馬法関係では、二十八条以外といたしましては、いわゆるのみ行為で検挙した少年が平成元年中六人、平成二年中七人となっております。なお、競馬法以外の関係法令違反につきましては把握いたしておりません。


猪熊重二(公明党)
 今の数字、数百人の少年が家庭裁判所へ行って、親も心配して、競馬がなければそういうことはないわけなんです。いずれにせよ、こういう取り締まりをしてみて、これが全体的な状況の中でこの何倍ぐらいとかという予測的なことはどんな感想をお持ちでしょうか。


警察庁刑事局保安部少年課長 吉原丈司
 予測は甚だ難しいわけでございますが、例えば一例といたしまして警視庁が昨年一年間で、これは家庭裁判所に送致しない者でございますが、補導した少年の数が八百四十名に上っております。また、ことし三月末現在でほ九百名強に上っておりますので、大体全国的にもこういうふうな感じではなかろうかと考えます。


猪熊重二(公明党)
 この青少年の補導に関して、中央競馬会との連携とか、中央競馬会からこうしてほしいとか、そういうふうな点はどうなっておりましょうか。


警察庁刑事局保安部少年課長 吉原丈司
 競馬場または場外馬券場でございますが、こういったところを管轄いたします各部道府県警察におきまして、警察本部とそれから所轄警察署で定期的に行われる会議とか、必要に応じまして随時中央競馬会それから地方競馬場それから場外馬券場の管理者の方々とか責任者の方々に対しまして未成年者が馬券を購入しないための広報活動、すなわち看板とか場内テレビとか、そういったものでございますが、または監視活動、これは警備員によります場内の未成年者への注意、指導、こういったことにつきまして、未成年者に対する馬券購入防止対策等につきまして必要な措置がとられるよう要請いたしておるところでございます。


猪熊重二(公明党)
 中央競馬会にお伺いします。
 中央競馬会では、例えば場内もしくは場外馬券場、この辺における青少年の虞犯行為等の取り締まり、それはどうしているかということが一点、それからこれに関して警察とどの程度どういうふうな連携なり協議なりをやっているか、この二点についてお伺いします。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
  私ども場内、場外にわたりまして警備の担当なりそれぞれ窓口におきましてこうした点の補導といいますか、指導、注意をいたしております。
 件数で私どもの関係を申し上げますと、平成二年の指導した件数は九千六百六十六件でございます。場内が七百三十四人、場外が八千九百三十二人、さらに平成三年に入りまして三月十七日までの開催がありましたこれまでのもので申しますと、三千八百七十三人、そのうち場内が三百五十五人、場外が三千五百十八人となっております。傾向からしますと、平成三年に入りまして時期からしますとかなりふえておる状況でございまして、なお私どもとしてはさらに警備員の配置を多くいたしましてこうした指導に万全を期したい、こういうふうに考えております。
 なお、警察関係の方とは、まず競馬の開催日におきましては、それぞれ競馬場、私どもの場外の売り場におきまして臨場される警察官がいらっしゃいます。現場でよく打ち合わせをいたしまして、場内の秩序維持なり青少年対策の連携、指導をいたすとともに、開催終了後には遅滞なく警察官の方へ私どもから警備状況の報告をするようにいたしております。特に春休み、夏休みの期間においては重点的にこうした点に配慮しております。また、競馬場及び場外発売所の警備の担当官は所轄の警察署の担当者と定期的に連絡をいたしまして、青少年対策あるいは場内の警備対策、交通対策、保安対策、こうした面についてお打ち合わせをしておりますし、本会の本部の方でも私どものサービス推進部という部がありますが、警察庁の保安部と随時相談しながら私どもの指導なり運営の徹底を期したい、こういうふうにいたしておるところでございます。


猪熊重二(公明党)
 いろいろ競馬会にも申し上げたいんですけれども、時間がないので警察庁にお伺いします。
 今回の法改正で青少年自体は馬券を買っても処罰されないことになりました。今回の改正法は売ったり譲り渡した人間を処罰するということになりましたが、この法改正によって、要するに未成年者自体は処罰されないということになった、この件が取り締まりに対して及ぼす影響の問題が一点。
 もう一点は、電話だとか、まあパソコンはまだ実施していないんですけれども、電話による未成年者の馬券購入なんというものは取り締まる方法があるのかないのか、五十一年からやっているそうだけれども、取り締まったことはあるのかどうなのか、簡単にお願いします。


警察庁刑事局保安部少年課長 吉原丈司
 今御指摘のように今回の競馬法改正法案で未成年者の馬券購入に関する罰則はなくなったわけでございますが、その結果、今後馬券を購入します未成年者を事件検挙することはできなくなるわけでございますが、未成年者が馬券を購入する行為そのものにつきましては、やはり改正法案におきましても二十八条で、勝馬投票券の購入等の制限の規定が設けられていることでございますので、購入した未成年者に対しましては今後注意、指導するなどいたしまして、適切に処理していきたい、こういうふうに考えております。
 それから、電話によります馬券購入につきましては昭和五十一年以来行われておりますけれども、今のところこれにつきまして事件送致した事例はございません。しかしながら、仮にこうしました電話等で馬券を購入した事実が確認できますれば、未成年者に対する健全育成の観点からいたしまして、保護者ともども適切に注意、指導するように措置してまいりたい、こういうふうに考えております。


猪熊重二(公明党)
 実際問題として、電話による未成年者の馬券購入あるいはパソコンによる馬券購入なんというのは、通信の秘密や各種の面からしてほとんど警察の取り締まりなんかできないと私は思う。そうしたら、こんな未成年者の馬券購入なんということが有名無実になる。大人だけでなくして子供までばくちの中に巻き込む方法だと私は思うんです。ともかく電話の問題あるいはパソコンの問題、よく検討していただきたいと思う。
 局長にお伺いしますが、今度は馬券売り場で未成年者に馬券を売りた人が処罰される、発売に係る行為をした者が処罰される、だから売る人も気をつけなきゃいけません。しかし、売る人が処罰されるだけで、何で雇用者である中央競馬会の理事長を含めた理事者が、あるいは中央競馬会そのものが処罰されないんですか。普通ある団体の職員が職務の執行に関して違法行為をやれば両罰規定というのは当然にある。これに両罰規定がない理由ほどこにあるんですか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 今回勝馬投票券の発売に係る行為をした者が知りながら発売に係ります行為をすることについて抑止するということでございますので、そういうことで購入禁止の立法趣旨は達成される。それ以上に特殊法人であります競馬会や、または地方の施行者であります地方公共団体といった公的団体を処罰するということもいかがかということで、今回のような規定になった次第でございます。


猪熊重二(公明党)
 競馬会の理事長にお伺いします。
 要するに、去年一年間の中央競馬会の入場者数は千三十八万人だとこうおっしゃる。千三十八万人のファンがいる、ファンがいるとこうおっしゃる。先ほど細谷先生も一億人の中の一千万人だからと、こうおっしゃる。しかし、私は年間開催した競馬の回数が二百八十八回で、仮にの話、この二百八十八回の競馬に同じ人間がもし全部行ったとしたらば、三万五千人にすぎないんですよ。よろしいですか。延べ人口としては一千三十八万人のファンだファンだと言うけれども、一人の人が二百八十八回全部行ったと勘定したら三方五千人のファンしかいないんです。大体千三十八万人という数字は数字で一つの正しい数字だけれども、その数字を分析するためには、だれがどれだけ行っているか見なきゃわかりゃしません。これについて一言理事長の御返事を伺って終わります。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 これは入場者の延べ数でございますから、実数ではございません。そうした動向については抽出的に私ども調査いたしておりますけれども、実数というのはまだつかんでおりません。


猪熊重二(公明党)
 そこをよく調べてからそういう数字も言ってもらわぬと、一千万人のファンだ、一千万人の国民がばくちをやっているんだということじゃ困るんです。
 以上、終わります。


林紀子(日本共産党)
 今回の法改正に当たっては、競馬の公正確保ということが非常に大きくうたわれておりまして、これは大変重要なことだと思います。しかし、今までの実情を見ますと、きのうの参考人質問でも例を挙げさせていただきましたが、昨年の六月には、大井競馬場を舞台に地方競馬のトップクラスの騎手が、自分が出走するレースの前に勝敗の予想を暴力団員を通じて客に情報を流して現金を受け取ったということで、競馬法違反で逮捕されているという事件がありました。また、その前、一九八八年の四月には、船橋競馬場に厩舎を持つ調教師が暴力団と深いかかわりのある主犯格の男に加担して食品会社を脅迫していた。さらに、この調教師はこの暴力団とかかわりのある男から競走馬を預かっていたという報道があります。
 競馬の公正確保を図っていくためには、こうした競馬と暴力団とのかかわりをなくして健全化を図っていくということが大変大きい問題だと思いますが、農水省は中央競馬会や地方競馬全国協会に対しましてどのような指導徹底を図っているのか、基本的な部分ですので、まず大臣にお伺いしたいと思います。


農林水産大臣 近藤元次
 今先生から挙げられたような事件にかかわって暴力団が関与していたというようなことは、せっかく競馬が大衆娯楽化を安定させていきたいとこう考えておるときに、競馬の信頼というものが何よりも大切だと思うわけでありますし、そのためには競馬を公正に行う、明朗にする、こういう観点が大衆の信頼を回復するわけでありますから、今回の改正に伴っても、内容的に馬主や調教師や騎手の資格制度を厳格にして、少なくとも暴力団関係者を排除するという予定にさせていただいておるわけであります。いずれにしても、これだけが暴力団排除じゃございませんけれども、この趣旨を踏まえて競馬開催に当たってあらゆる角度から暴力団対策は強化をしていきたい、こう考えております。


林紀子(日本共産党)
 それに関連いたしまして、中央競馬会法十八条の二では、中央競馬会に審査会を置くということがうたわれているわけですが、審査会のメンバーはどういうメンバーになるのかというような質問は午前中ありましたので、この審査会では、馬主が暴力団関係者に、また調教師や騎手が暴力団関係者にかかわっているかどうか、そういうことが本当に判断できるようなシステムになっているのかどうか、せっかくこういう審査会を設けて公正確保ということを言っていらしても実際にこれができるのかどうか、そのことをお伺いしたいと思います。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 今回、審査会を設けまして、馬主登録あるいは調教師なり騎手免許等々につきまして審査会でいろいろやっていただくということにしました。当然、先生御指摘のように、この審査会そのものといたしましては、馬主登録の場合に例えば調教師なんかも含めまして暴力団の関係かどうか等々につきましては、事前にスタッフ等々によりまして十分調査した上でそういう形に上がってくるということで、私どもといたしましても、現実にそういう禁止、欠格条項ということを今回省令におきまして決めていきますので、それにつきましての事前調査ということも含めて十分対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。


林紀子(日本共産党)
 ここはぜひ厳格にやっていただきたいと思って質問するわけですけれども、その事前調査というのがきちんとできるものなのかどうなのか。例えば警察の方からはこういう人間は暴力団関係者であるというような情報というのはそう簡単に、プライバシーとの関係もありましてすっと来るのかどうかという心配もあるわけですね。そういう面で本当にこの暴力団関係、そういうものを排除していけるのかどうかということを競馬会の方にお伺いしたいと思います。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 御指摘のそうした問題につきまして、これまで私どもも馬主登録審査委員会等でいたしております。私どもと地方競馬全国協会と両者で競馬保安協会という協会を持っておりまして、これはこうした方面の競馬にまつわります各種の不公正なものについて常に監視する機関として私どもそういう団体を設立いたしまして、そちらの方面から警察その他と御連絡をとり、情報を交換して、私どもとしてはかなりの確度の情報は得られている、こう考えております。


林紀子(日本共産党)
 今までの論議の中でも、やはり競馬というのはギャンブルという性格がどうしてもつきまとうということがありましたので、そのギャンブルの性格のところに暴力団というのがまた絡んできて、暴力団の資金源ということでこれが利用されるというようなことがあってはならないと思いますので、この審査会というのは、これからの問題でしょうけれども、ぜひここを厳正にやっていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、公正確保を図っていくという点で、これまで中央競馬会の決算につきましては農水省への報告義務ということになっていたと思うわけですが、今回の改正に合わせて報告を受けて承認できるかどうか検討されるということになったと思いますが、これはどういうことで承認ということになったのか、その辺を伺いたいと思います。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 従来からも日本中央競馬会は剰余金の二分の一を国庫納付するということになっております。これまでも実質的には剰余金の確定の過程で財務諸表については農林水産大臣がかなりチェックしていたということはございます。
 今回新たに競馬会の剰余金を活用した事業を行う、先ほどからも御説明しているとおり、そういうような事業を行うということから、従来よりも一層財務諸表のチェックというものを厳重に行う必要が生じるということと、それから他の政府全額出資の特殊法人につきましても、財務諸表を主務大臣の承認にかからしめるというようなことになっておるような形で競馬会の売上金がまた膨大なものともなってきておりますので、その財務運営が社会的にも注目されるようになってきているというようなことから、今回財務諸表につきまして農林水産大臣の承認にかからせるということにいたした次第でございます。


林紀子(日本共産党)
 そういう意味では確かに膨大なお金になってきているわけですので、決算は報告から承認ということではそれが妥当だと思うわけですが、そういう意味では農水省が承認をすればいいわけですけれども、私も今回の法改正に当たりまして、資料として競馬会の一九九〇年度の決算をいただいたわけなんですが、それを見ても主な項目というか、非常に大きな項目しか書いてなくて、細目というのがなかなかわからなかったものですから、もう少し細目がわかるようなものをいただきたいということをお願いしたわけなんですが、その一部に限っての細目だけを教えていただいたという状況だったわけなんですね。
 今回は財務諸表など各事務所に備えておかなければならないということもうたわれているわけですし、そういう意味では、国会の承認ではもちろんありませんけれども、私たちが見せていただきたいということをお願いした場合には、透明性を高めるという意味でもぜひそういう資料も細かなものもお出しいただきたいということをお願いしたいと思いますが、理事長さんの方いかがでしょうか、それは農水省の方にお聞きしたらいいのでしょうか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 必要に応じまして提出させていただきたいというふうに思っております。


林紀子(日本共産党)
 それから、今回の改正では、「馬丁」という用語を「競走馬の飼養又は調教を補助する者」に改めるとしているわけですね。競走馬の飼養をする者というのは厩務員のことで、また調教を補助する者というのは調教助手のことと、こう読んでいいと思うんですが、いかがでしょうか。そして、それをどうして厩務員とか調教助手とか、こういう言葉ではっきり書かなかったのか、それもちょっとお伺いしたいと思います。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 ここで言います「競走馬の飼養又は調教を補助する者」ということにつきましては、いわゆるこれまでの厩務員のほかに中央競馬の調教助手それから騎手候補者、それから地方競馬の騎手候補生ということも含めております。
 具体的にどうして書かなかったかということなんですが、実はこれは法律上の用語ということではございませんで、やはり法律上規定するということになりますとその実態を書くということでございますので、「競走馬の飼養又は調教を補助する者」ということでございますが、その規定させておる方々は今申したような方々である、こういうことでございます。


林紀子(日本共産党)
 今私がこういうことをどうして伺ったかといいますと、この「馬丁」という用語、車夫、馬丁のたぐいというようなことで大変今まで苦労をしてきたんだということを、古くからこういうお仕事をなさっている方に実情を伺ったわけですね。ですから、こういう言葉をきちんと改正するということは、まあ遅きに失したということではないかと思いますが、非常にこれはいいことだと思うわけなんです。しかし、名前だけ変えて中身は昔と変わらないというのではそれまた困るわけでして、特に職種として調教助手というのをはっきり認めたということはこれで確認をしてよろしいわけですね。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 調教助手につきましては、私どもの内部の規定では従来から認めてきたわけでございます。今回法律におきまして「調教を補助する者」ということで認められた。この点につきましては、やはり調教助手の活躍といいますか、活動自体が相当影響もございますので、そういう方々をこれからも私どもとしては認めていく立場に立とうと思います。


林紀子(日本共産党)
 きのう渡邊理事長さんのお話で、美浦と栗東には合計六百八十九人の調教助手がいるというお話を伺いましたが、今回の措置を契機にぜひ調教助手の身分の安定、責任に応じた賃金と手当、こういうものを支給するように中央競馬会から調教師の方を指導するべきではないかというふうにも思いますが、いかがでしょうか。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 これはもう先生御存じのように調教師との雇用契約になるわけでございます。これからの調教助手の活躍、それぞれの働きに応じて調教師が当然判断されることと思いますが、私どもとしては、調教助手の方々にこれまでほかの方と同じような賞のようなものも出ていないというような違い等については、できるだけそうした面で私どものできる面では調教助手の人の地位を向上してさしあげたい、こう思っております。


林紀子(日本共産党)
 きのうも触れましたけれども、こうした厩務員や調教助手の方々の時短とか週休二日制の問題、これは調教師会の資料ということで私も拝見をしたんですけれども、こうした方たちは年次有給休暇の取得率三割程度、年間有給休暇二十日持っている人は二週間分を捨てている。また八七年の労働省の全国平均労働時間数というのが二千百六十八時間だけれども、厩務員、調教助手の方たちは二千五百三十六時間、平均の労働者よりも一年間に一カ月半も長く働いているのだという資料を見せていただいたわけなんです。
 これに加えて、やはり生き物が相手だということで、大変有給休暇さえもこうやってとりにくい、時短、週休二日制ということはさらに先の道のりだなということをつくづく感じるわけですけれども、きのうのお話ではこういう労働条件の改善についても四者での話し合いを進められていらっしゃるということだったわけですが、今厩務員や調教助手の方たちの方から提案されているということで、普通一人の調教師さんが二十頭持っていたら、調教助手の方が三人と厩務員が十人で、平均十三人ということだというふうに伺っているわけです。
 それをもう一人ふやして、例えば厩務員が九人でそれから調教助手が三人で、あと調教助手と厩務員の仕事もできる人二人というような形で、十四人という形で一人でもふやしたらこういうような休暇もとれていくのではないか、馬の世話も輪番制をとってローテーションを組みながらこなしていけるのではないかということを労働組合の方は提案をしているという話も聞いたんですが、こういうふうに人員増ということを調教師の方にぜひ指導をするといいますか、中央競馬会の方でも積極的に言っていくというお考えはありませんでしょうか。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 先ほども申し上げましたけれども、こうした厩務員の方あるいは調教助手の方はそれぞれ調教師との雇用契約になりますのと、これの資金のもととなりますか、これ自体は馬主さんの方からのそれぞれの一頭当たりの料金等を中心にいたしております。
 したがいまして、いろいろのお話なり御提案があることは承知しておりますけれども、馬主さんなりも含めてこうした話については相互によくお話し合いをくださっておるものと思います。ただ、私ども全体としまして、今の現在とられております体制自体につきまして、今後の持ち馬制の見直しとか厩舎作業の共同化、あるいは休日の交代制の導入等、厩舎の管理方式なり、私どもの方でいろいろ調べて参考になることは申し上げていきたい、そういう形でこうした問題に当たっていきたい、こういうふうに思っております。


林紀子(日本共産党)
 きのうもお話をいたしましたが、労働災害というのが大変多い。一番危険だと言われている建設業の十五倍という指標に上るというお話も聞いておりますけれども、やはり人手をふやして、そして大変きりきりした中で仕事をするのではなくて、やはり余裕を持った仕事をするということが労働災害を減らしていくという意味でも一つ大きな役割を果たすのではないかと思います。競馬会の方だけではこれは解決できない問題かもしれませんが、ぜひ競馬会の方がそういう形で主導権を持っていただいて、労働条件の改善、休暇もとれるようにということも考えていっていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから、今回の改正では今後発生する剰余金を有効活用するため、中央競馬会法の二十条二項三号の中に「競馬の健全な発展を図るため必要な業務」とあり、農水省省令で定めるとされていますが、この中には騎手などの福利厚生の増進のための事業が含まれているというふうに解釈をしてよろしいでしょうか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 そういうふうに考えております。


林紀子(日本共産党)
 この騎手等の等という中には今いろいろ質問をいたしました調教師、調教助手、厩務員、こういう方たちも含めて考えてよろしいわけですね。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 騎手の労働災害は、特に騎乗をしている場合にはかなりのスピードで落馬して、非常に有名な騎手でいまだに回復がおぼつかないような方もいらっしゃる。そうした問題についてという御提案があって、それからそうした福利厚生というような問題が出ております。ただ、私どもその厩務員さんのことにつきましては、競馬会自体の方でもそれなりにこれまで福利厚生関係の措置をとってきましたので、そうしたものとの整合性なりを考えていかなければならないかと思っております。


林紀子(日本共産党)
 三兆円産業で間もなく四兆円にも売り上げがなるのではないかという中で、ぜひ一番大もとで支えているこうした騎手や調教師、調教助手、厩務員といった方々にも十分還元をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 あと時間がちょっとありますので、きょう午前中喜岡委員の方からお話がありましたけれども、私も場外馬券売り場の問題で、事前にお尋ねするというふうに申し上げておりませんでしたけれども、ちょっとお伺いしたいと思うのです。
 喜岡委員のお話にもありましたけれども、場外馬券売り場を設置するときに、同意を求める地元の意見というのを町内会というふうにしているという御説明が今までありましたけれども、やはり町内会を地元というふうにイコールとして見るのは大変無理があるのではないかというふうに私も思うわけです。
 といいますのは、岡山の新福場外馬券売り場、これは競馬会の方からもうあそこは地元の意見が成り立たないので取りやめるというお話を衆議院のこの委員会の場でもお聞きいたしましたので、これは一件落着ということなんですけれども、ここの新福場外馬券売り場の場合はそもそも町内会は正規に賛成をしたと。ただし、その町内会でどれだけの地元の人たちの意向が反映できていたかというと、その後町内会そのものがこの場外馬券売り場の設置の問題で真っ二つに割れてしまったわけです。真っ二つというのは、少数派といいますか、賛成した方が二十軒で、そして新たに反対だということでつくられた町内会は三百軒の人たちがいる。そういう状況になってしまったという話を伺ったわけです。
 ですから確かに中央競馬会の方から見ましたら適法的に地元の同意は得ているんだということになるのかもしれないんですが、実態はそうではなかったというわけですから、やはり
地元の意向というのを町内会の会長さんの判こをついてもらったと、自治会長さんの判こをついてもらったからそれでいいというのは無理があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 多少先ほどのお話の蒸し返しになって恐縮でございますけれども、私ども町内会の同意は周辺の町内会から私どもなりにこれは適法と、特別な法律があるわけではないんですが、適当なものと考えておりまして、実はあの地域についてはむしろ私どもの理解しておりますのは、教育上の問題で、ここはPTAの団体の方がなお話し合いをすべきであるという御要請があった件でございまして、去年の十二月の末以来誠意をもって話し合うということで、私ども十数回にわたって呼びかけておりますが、いまだにそういう機会を得ておらないわけでございます。したがいまして、私ども、同意の問題については現在そういうふうに地元から出ておりませんので、むしろお約束をいたしました誠意をもってお話し合いをする機会を得るように懸命に目下努力しておる案件でございます。


林紀子(日本共産党)
 今ちょっと私の説明が悪かったのかもしれませんが、私は岡山の件を申し上げていたんですね。ですから、岡山は一件落着にはなっておりますけれども、今までの経験からいいましたら町内会を地元と、イコールとして見るのは無理がある。喜岡委員のお話も、ですからそのとおりだというふうに私は思ったわけです。
 それからあと、あそこは岡山では市議会が反対決議を上げたということで、最終的にはこれがもう建設できないということになったと思うのですが、やはり交通の面とかそれからまたどういう地域に、先ほど香川の例では文教地区であるとかそういうところにつくるということで無理があるわけですから、市の同意また市の意向をぜひ聞いていただきたいということもあわせてお願いしたいと思います。


日本中央競馬会理事長 渡邊五郎
 私ども、市の場合には町内会、市は大変広域でございますから、全体的にとるわけにはいかないだろうという本省の指導を受けまして、影響が及ぶ町内会で私どもとるということに考えておるわけでございます。


井上哲夫(新緑風会) 
 まず第一点は、これまで法律で規定をされていた事柄、開催場所、開催日数その他、こういうものが今回の法律の改正で省令で定められることになった。それは今猪熊委員の方から質問をされたわけでありますが、この省令に変えたということは、一つには他の公営ギャンブルといいますか、競輪、競艇、オート等の規定で皆そうなっているということから横並びにしたい。もう一つの実質的な理由は、よりきめ細かくできるんではないかというふうな御説明だったと思うんですが、確かに他の法令、例えばモーターボート競走法ですか、そういう法令を見ますとそのような趣旨のことがうかがえるわけですが、一方では競馬法の場合には
畜産振興などのために四分の三を使って、四分の一を国民の福利増進のために使う、他の公営のギャンブル法といいますか、そういう法にはそういう制約はないわけです。国民の福祉のために使うお金を四分の一で限定しているような趣旨の規定はない。その辺は横並びにしなかった理由はどういうところでしょうか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 一つは競馬の沿革というのがあるんだろうというふうに思っております。これは、うちの方は戦前からいろんな形で競馬ということでやられております。競馬の目的につきましては、畜産の振興と国及び地方公共団体の財政への寄与。それからもう一つは、国民大衆にレジャーを提供するということでございまして、そういう形の中で競馬というのがやられてきた。現実には、
昭和二十九年に中央競馬会ができまして、その中央競馬会の目的におきましても畜産の振興に寄与するためにやるということがはっきり述べられております。そういう状況の中で、中央競馬会から国庫納付するものにつきましては、その大宗を畜産の振興に寄与するということで、その大宗部分というのが四分の三である、残りの、残りというとあれですが、四分の一につきましては社会保障で使う、こういう形になっておりまして、そこのところがほかの公営競技とは少し違っております。


井上哲夫(新緑風会)
 私は必ずしも四分の三を畜産振興に使うのはけしからぬと、こういう趣旨ではありません。今局長がお答えになられたような趣旨からそうなっているんだと。
 もう一つ、実は前の昭和三十七年の改正のときには、たしかその当時は場外馬券発売所については今回の背景と全く違って、競馬の賭博性を抑制するためにふやさないというか、認めないというか、そういう方向で善処されたいというような委員会の決議がありましたですね。今回はそれから二十数年、世の中変わった、国民的レジャーになった、あるいは明るい健全な競馬というものが国民の各層に浸透してきたというふうなことから、論議を別の角度からしているわけでございますが、こういうふうな形になっても、なお福祉の目的は四分の一の範囲であるという点については、どのように理解したらいいんでしょうか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 実は四分の一になりましたのは経緯がございまして、昭和二十九年に中央競馬会法につきまして法案を提出いたしたときに、これは衆議院でございますが、
衆議院の議員修正という形で四分の一の社会保障というものが入ったような次第でございます。そういうような経緯的なこともございまして、これは院の御趣旨でもあるというような形の中で、私どもとしてはやはりそういうものを尊重すべきであろうということも一つの原因ということでございます。


井上哲夫(新緑風会) 
私は、きのうの参考人のお話、きょうの委員会質疑を聞いておりまして、率直に素人ながら感じたことは、けさほどの高松の場外馬券の発売所ですか、その問題で質問者と答弁の方でるるやりとりがなされたわけですが、畜産振興の目的のために競馬は他の公営ギャンブルと違って、益金の使途についてもいろんな制約があるんだという精神に立ち戻るならば、先ほど来、るる言われております地元の同意云々の問題についても、やはり慎重な上に慎重に対処せざるを得ないんではないか。その点でむやみに売り上げの増加を求めるということはこの法律の全体の趣旨からいえばどんどん外れていく、そのような感じをきょう持つに至ったわけでございますが、その点いかがでしょうか。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 私ども売り上げの増加を追い求めるということではなくして、場外馬券場の設置につきましては、それぞれの地域に競馬につきましてのファンの方々がかなりいるということが一つございます。それからもう一つは、のみ行為というものをいかにして防止できるかというようなこと等も含めまして、ファンに対する要請にこたえる、また、のみ行為の防止にもつながるというようなことで、場外馬券場の設置につきましても地元の御了解が得られるならばこれを設置するという考えに立っているということでございます。


井上哲夫(新緑風会)
 この町内会の同意云々は再三再四質問されていますのでこれ以上踏み込むことはありませんけれども
、町内会の代表者の同意ぐらい世の中不安定なものは実はない。私は裁判所の調停委員をやっておりましたときにいろいろ出くわしたわけでございますが、電波障害やその他の公害紛争の調停では、町内会が同意を与えていても、一部の町民の方がやむにやまれずその他のところへ駆け込み的に何とかならないかという形で出てくると。全体の同意をどのように把握するかという点は大変難しゅうございますが、今るる議論がされていますように、やはり安全な上にも確実な上にもさらに安全確実と、慎重な上にもさらに慎重ということになると、町内会の同意だけじゃなくて市町村の首長の意見なり、そういうものも酌み取っていくのはもう当然になってくる。その点ではけさ大臣も、その明確な基準をとにかく今すぐという、あるいはそのことがすぐどうこうということにはならないという趣旨の御答弁がありましたけれども、現実にやはり明確な基準を一刻も早くつくっていただくということは一番急がなければならないことではないだろうかと思うんでございますが、大臣、いわば私は今この質問はあらかじめ御通告申し上げておりませんので、大変失礼ですが、よろしくお願いいたします。


農林水産大臣 近藤元次
 種々本法案に限らず、場外馬券売り場の問題というのはあちこちいろいろ内部的に問題があったことを承知いたしておるわけでありまして、この今の問題に間に合うかどうかわかりませんけれども、これはだれから意見を聞いたらいいかということもまだ頭の中整理ができておりませんけれども、何らかの基準を設ける必要があるなという気持ちで私は対処していきたい、こう思っているわけであります。ただ、今出ておるその高松の問題に間に合うか間に合わないかということはこれは別にして、基準は設けていきたい、こう思っておるわけであります。
 町内会の同意というのは、ある意味では私は非常に難しい同意を求めることだな、むしろ市長さんの同意より面倒かもしれないな。そして、より地域的に直接的な人たちから同意を求めるというのは同意をとるときの手続の問題であって、私は手続がきちんとなっておればむしろこっちの方がいいのではないのかなという気持ちさえ実は持っておるわけでありまして、むしろ市長さんの方の方がどちらかといえばとりやすい面もあるのかな、そんな感じさえしてずっとやりとりを分科会のときから聞かせていただいておるわけでありまして、そういう点も私もまだ整理がつきませんのでお答えをはばかっておりましたが、将来にわたっては何らかの基準的なものを設けるということについては、衆議院でも私は答弁をしてまいりましたので、そのように御理解をいただきたいと思います。


喜屋武眞榮
 人間が知識を修得して人間らしい人間になっていく道は、特に戦後、視聴覚教育ということが強調されております。いわゆる目、味覚、口、聴覚、耳、この三つの門から人間は知識を修得する、これを強調されて今もおるわけでありますが、その点から沖縄の青少年がこれでいいのかなと非常に心配を抱いておることは、勝馬投票券の発売の一つとして、本年四月二十日から在宅パソコン方式による勝馬投票券の発売が試験的に始まったが、この在宅パソコン発売は勝馬投票券の購入が禁止されておる学生生徒及び未成年者が簡単に勝馬投票券を買えるようになる可能性があることがそもそもの問題になる点であります。
近年、学生生徒及び未成年者の勝馬投票券購入がふえているとも言われており、青少年の健全育成の観点からその防止に十分な対策を講じなければならないが、在宅パソコン方式による勝馬投票券の発売がこれから拡大していけば、学生生徒、青少年の勝馬投票券購入を防止していくことが非常に困難になるのではないかと思われます。政府は、在宅パソコン方式による勝馬投票券の発売についてどのように考えておられるのか、承りたいと思います。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 パソコン等を利用しました電話投票につきましては、従来の電話投票と同様に、のみ行為の抑制なり場外発売所の混雑緩和とか、遠隔地のファンへのサービスに有効であると考えられるために、
平成三年四月から、先生ただいま御指摘のように、試験的に実施いたしまして今後の導入を検討しておるものでございます。その利用は競馬会の審査を経た加入者しか利用できないために、私どもとしては青少年の健全育成には影響を与えない、また影響を与えないようにすべきであるというふうに考えておる次第でございます。
 具体的な防止策でございますが、加入に当たりましては、従来の電話投票と同じように、希望者が競馬法の規定によります勝馬投票券を購入できる者であるかどうかを厳重にチェックした上で、加入手続を行う。それから実際の投票に際しては、加入者ごとの加入者番号、それから暗証番号がわからなければ投票することができないというふうにすること、競馬会と加入者の間の約定の中で、加入者本人以外は使用できないこと、また暗証番号は他人に漏らさないこととされておりまして、これに違反した場合には契約は解除するということにいたしております。
 さらに、端末機を使用するということから、競馬会の電算機と通信するためには、加入者の個人専用のソフトであるICカード等が必要でありまして、このICカード等は競馬会と加入契約を結んだ者しか購入することができないというようなことから、未成年者が購入するということは不可能であるというふうに考えておりますが、さらに私どもも先生の御指摘を踏まえながら、一層そういう点に留意するように、中央競馬会を指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。


喜屋武眞榮
 その施設ができた場合、それは一応は大人中心の家庭にということになりますがね。ところが、留守家族になりますと、中学生の子供、高校の生徒になりますと、それを乱用といいますか、知らないうちにと、こういうことが考えられるんですね。こういうことも十分配慮を願って、徹底させていただきたい。
 次に、場外馬券発売所の設置について、これまでも各地で反対、賛成をめぐって、今日まであったわけですが、いろいろな問題が起きておる。それが地域の大きな問題となっておる例も御承知のとおりであります。
 場外馬券発売所は、地元住民にとって迷惑施設であるので、その設置については、地域との調整を十分行わなければならないが、具体的にどのような手順、手続を経て調整をされるのかというこの問いでありますが、先ほど来も真剣な御質問がありまして、その点大臣の、あらゆる角度から検討して配慮すると、こういうさっき一言がありましたので、それを信じて次に移りたいと思います。
 次に、聞くところによりますと、場外馬券発売所の具体的な設置基準がないようであります。設置基準がないということは、問題を起こす余地がますます広がるということになりかねないのであります。そこで、設置基準をつくったらどうだろうかと思いますが、政府の見解をお尋ねしたいと思います。


農林水産省畜産局長 岩崎充利
 場外馬券売り場の設置でございますが、競馬法施行令第二条の規定に基づきまして、これは農林水産大臣の承認を受けなければならない。申請を受けた後に、競馬会による地域社会との調整状況を踏まえながら、近隣の土地利用の状況等を検討の上、承認の可否を決定するということにいたしております。
 近隣の土地利用の状況等の検討に際しましては、文教施設とか住宅地区との位置関係とか、学校施設の主たる通学路との関係ということ等々につきまして精査するということになりますが、具体的には、設置予定の場外馬券売り場の規模の大小、あるいは来場するファンが利用する交通手段とか、設置後におきます開催当日の周辺の警備員の配置状況等、非常に個別ごとに違っているという状況の中で、それぞれ申請が出てきた段階で、個別具体的に私どもとしては検討していくということでございます。

 ただ、最近におきます種々の状況等もございますので、今後大臣からお話がありましたように検討を進めてまいりたい、こう思っております。