競 輪 界 の 問 題 点 (2005.02.02現在)


1 典型的な天下り天国
日本自転車振興会の例
(2001年度・西山登紀子参議院議員の国会質問から)
常勤役員9人中6人が経済産業省などの高級官僚が天下り。
公務員を55歳で退職し日本自転車振興会に天下り、副会長を3年、会長を3年勤めた場合
55歳定年退職のさいの退職金 6,700万円
副会長の退職金(3年間) 1,550万円
会長の退職金(3年間) 1,740万円
月給 @100万円以上の6年分 7,200万円以上
副会長時のボーナス3年分 1,935万円
会長時のボーナス 3年分 2,187万円
6年間の合計収入は 2億1,312万円以上となる。

歴代の日本自転車振興会の会長は特許庁長官の天下りで、会長を退職した後、さらに(財)日本自転車普及協会や(財)日本サイクリング協会などの会長になっている。
さらに、その次は補助金の配賦先(大企業)に天下りしている。
経済産業省から、日本自転車振興会の機械振興補助事業の補助先で上位10団体への天下りは、23人もいる。
こうして高級官僚が補助金を配る側から、もらう側へと渡って行く。
こうした実態から、彼らは「自転車に乗った渡り鳥」と呼ばれている。

2 不明朗な補助金配賦
(2001年度・西山登紀子参議院議員の国会質問から)
@ 競輪の売り上げから3.7%が日本自転車振興会に交付される。
A 競輪の売上減少により競輪事業の収支が赤字に転落している地方自治体は、一般会計から補てんしても日本自転車振興会への交付金を出さなければならない。
B 競輪の補助金の使途
1948年の発足当時は地方自治体の財源確保と自転車産業の生産、輸出の復興に限定していたが、1954年から機械工業一般の振興にまで拡大された。
さらに、1962年には、体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興にも充てられることになった。
日本自転車振興会の機械振興補助金の場合、配賦先は上位30社が殆ど固定されているばかりか、機械振興補助金全体の62.4%が上位10社に交付されている。

3 場外車券売場設置で地元の反対を無視
@ 1979年6月21日の公営競技問題懇談会の答申の中で、「場外売場の設置については、ノミ行為の防止に効果があると思われるので、弾力的に検討してよいが、地域社会との調整を十分に行うこと。」と述べている。
A また、自転車競技法施行規則15条では設置を許可できる基準として「学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から相当の距離を有し、文教上又は保健衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと。」との規定がある。
B さらに、2003年4月1日付 経済産業省製造産業局長から各経済産業局長宛に通知した「場外車券発売施設の設置に関する指導要領について」には、「設置するに当たっては、当該場外車券発売施設の設置場所を管轄する警察署、消防署等とあらかじめ密接な連絡を行うとともに、地域社会との調整を十分行うよう指導すること。」との記述がある。
C しかし、実際には、許可基準の中に「地元自治会(町内会)、地元議会、地元市長の同意」が含まれていないために、地元の反対を無視して許可することが多い。
地元議会の反対を押し切って設置を許可した例 福島県「サテライトかしま」、茨城県「サテライト水戸」、大分県「サテライト日田」

4 学生生徒・未成年者への影響
未成年者が馬券や車券を購入することは、法律で禁じられていますが、会員制でない限り、容易に購入可能である。
1991年に大阪場外馬券売場で、大阪府警少年課が、未成年者の補導と意識調査を行った結果を紹介します。
調査が行われた5ケ月間に補導された少年は685人で、
高校生 443人
中学生 23人
専門学校生等 219人。
もちろん、この期間中に、馬券を購入した中高校生は、この10倍程度はいたでしょう。
このうち511人が回答した意識調査では、
購入回数1回 200人(39%)
購入回数2回 117人(23%)
購入回数3〜4回 96人(19%)
購入回数5回以上 98人(19%)でした。
なお、窓口で(未成年ということで)購入を拒否されたことがあるか?という問いに対しては、463人(91%)が「無い」と回答しています。
上記の大阪府警の調査は、93年5月の高松地裁のウインズ高松差し止め訴訟の判決でも引用されており、「未成年者の馬券購入を完全に防止することは不可能であり、風俗や教育上の悪影響を与えることは否定できない」と判決文で認定しています。


参考資料

中高生ら685人が競馬 配当金はデートなどに大阪で補導

朝日新聞 朝刊 1991年09月10日
若者に競馬人気が広がるなか、今年4月から8月までの間に大阪市内の場外馬券売り場3カ所で、中学生や高校生ら未成年者685人が馬券を買って大阪府警少年課に補導されていたことが9日わかった。
デートの資金を稼ぐために馬券を買っていた少女もおり、同課は京都、阪神の両競馬場にも、チェックを厳しくするよう申し入れるとともに、大阪府教育委員会などにも生徒の指導を求めた。競馬法が改正され、16日からは馬券を買った未成年者ではなく、馬券を販売した側に罰則が科される。
補導されたのは、中学生23人、高校生443人、大学生34人、各種学校生86人、有職・無職少年99人だった。
桜花賞レースで大穴を当て払戻金12万円を持っていた少年(15)、下級生から脅し取った金を競馬に使っていた中学3年生の2人組 、カップルで毎週土曜日に馬券売り場を訪れ、私服に着替えた女性が馬券を買いデート資金に充てていた高校生など、さまざま。
個人では最高3万4000円をかけていたり、友人に頼まれ4万4000円をまとめ買いしていた少年もいた。また、大半は小遣いやアルバイトの金を充てていたという。
競馬法ではこれまで、馬券を買った未成年者に罰金を科していた。しかし、16日から改正され、今度は売った側が50万円以下の罰金を科される。
日本中央競馬会によると、これまでも、場外馬券売り場の建物内に未成年者を入れないようにしたり、ポスターやチラシで注意をしたり、また独自の巡回班をつくるなどの手を打ってきた。
が、未成年者かそうでないか見分けるのは難しいという。


場外馬券売り場に少年目立つ 5か月間で685人補導

大阪読売新聞 朝刊 1991年09月10日
競馬人気に馬券を買い求める子供たちが目立つため、大阪府警少年課は「ウィンズ梅田」など市内三か所の場外馬券売り場で取り締まりを行い、先月までの五か月間で685人の中、高校生らを補導した。
資金欲しさに恐喝を繰り返していた中学生らもおり、同課は9日、中央競馬会に対し、購入者を十分にチェックするよう申し入れた。
補導の内訳は、高校生が443人と最も多く、全体の65%。次いで専門学校生86人、有職少年60人などの順で、中学生も23人いた。
動機は「友達に誘われて」がトップで30%。40%が「大人もやっているから悪いことと思わない」と答え、一回に使う金額は「千円から五千円」が一番多く、60%を占めていた。
大阪市の中学生二人は金に困って、この一年間に下級生から計15回、三万円を恐喝。
同市の鉄工所勤めの少年(15)は桜花賞で大穴を当て、500円馬券で約12万円の払い戻しを受けていたほか、派手な服装に化粧をして年齢をごまかし、馬券を買いに来ていた女子高生もいるなど、フィーバーぶりはエスカレートしている。
学生・生徒、未成年者の馬券購入を禁止する競馬法は今春改正され、売った側に罰則が設けられた。今月16日に施行される。