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(2005.5 現在) |
@巨大ギャンブル施設でイメージダウン 宮城県大郷(おおさと)に競艇と地方競馬の場外券売り場併設の例がありますが、競艇と競輪の場外券売場を併設している例は全国どこにもなく、設置されれば全国初の巨大ギャンブル施設となります。 このような巨大ギャンブル施設が彦根インター横に出現し、彦根駅前から名神インター付近にかけて一年中ほとんど毎日のように大勢の競艇・競輪ファンが押し寄せるようになれば、生活環境を悪化させるだけでなく、崇高な「彦根市民憲章」の理念に反し、彦根市民が育ててきた「歴史と文化のまち彦根」を「ギャンブルの町」へと変えてしまうことになります。 A地域の活性化どころか地盤沈下 前市長は、「市外からの来場者が見込める集客施設」だから「地域の活性化が期待できる」という理由で「同意をした」そうです。 しかし、競艇・競輪の券購入者の大半は中高年の男性です。 全国的な例では、これらの人達はギャンブル以外に殆んどお金を使わないそうです。 公営ギャンブル施設の周辺で繁盛するのは、パチンコ店、いかがわしい店、有料駐車場、サラ金など一部の業種だけに限られると言われています。 既設の場外券売り場に近い商店街では、興行日にはシャッターを閉める店がある程です。 彦根の場合も、ギャンブルによって街のイメージダウンが進み、若年層や女性などの健全な買い物客から敬遠されるようになり、商店街が寂びれ、観光客も減少するのではないかと懸念されます。 競輪や競艇の場外券売り場を誘致すれば地域活性化に役立つというのは、根拠のない「幻想」であって、逆にマイナスに作用する可能性が大きいと言えます。 こうした点から、東京でも有数の繁華街、新宿や池袋の商店街の人達も強硬な反対運動を展開しています。 公営ギャンブルの誘致で「地域の活性化が期待できる」というのは根拠のない宣伝であり、市民を欺くものでしかありません。 B交通渋滞の悪化 巨大ギャンブル施設の建設によって、国道8号線、国道306号線、中山道の交通状態が悪化するだけでなく、渋滞を避けようとする車両が抜け道をさがし周辺住宅街に入り込むことから交通事故の危険性が増加するものと考えられます。 計画地付近は、これまでも彦根市が国や県に対し交通渋滞の解消を陳情してきた地域であり、これ以上の交通環境悪化は許せません。 C生活環境の悪化 立川競輪場周辺での意識調査では次のような意見が出されています。 (西新宿競輪施設誘致反対の会:2000年6月調査実施) 「お金がなくなった人、酔っ払った人達が靴を盗んだり、自転車を盗んだりしたあげく、店や会社に入って『お金、タクシー代を貸してくれ』と粘る。 子供や女性にもちょっかいを出して、危ないところを何度も目撃するので、非常に環境が悪い。 興行のある日は女性も子供も外に出せないほどだ。 以上のことを競輪場に訴えても全く取り合ってくれない。」 「ゴミやタバコの吸殻を捨てたり、酔って路上で用を足す人がいる。」 「家の周りがゴミだらけ。掃除の人はいるが、敷地内までは掃いてくれない。」 「鉛筆、新聞を捨てる。家の中に新聞を投げ込んでいく。垣根に飲みかけの酒を置いて行く。 帰り道が混む」 「治安が悪い。街が汚れる。通りすがりの殺人が数年に一度あり、怖い。」 「下校途中に休んでいる小学生が、競輪に来た人にからかわれたりすることがあり、教育環境上あまり良くない。」 「お酒を飲んでうろうろしているので、風紀が良くない。」 「昼間からお酒を飲んで風紀が良くない。小学生が通るので環境に悪い。」 「不動産会社なので、相談に来られたお客様から、競輪場の近くには住みたくないとよく言われる。 うるさいとか雰囲気が悪いからという理由で。」 「開催時は多少、お客さんが増えるが、トイレを利用するだけで 売上増加につながらない。 物を壊されないよう警備に力を入れなければならない」 これが「ギャンブのまち」の実態であり、窃盗や強盗、暴力団の横行など犯罪増加が日常的な不安となります。 また、身近に公営ギャンブル施設が出来ることで「ギャンブル依存症」による家庭崩壊が増えることになります。 D青少年育成環境の悪化 自転車競技法第7条の2では「学生生徒及び未成年者は、車券を購入し、又は譲り受けてはならない。」と規定しているだけで、「場外車券売場に入場してはならない」とか「販売してはならない」との規定はありません。 開発事業者や誘致賛成派の人たちは、「ガードマンを配置して学生や未成年者の入場をチェックする」と言っています。 しかし、「未成年者の馬券購入を完全に防止することは不可能であり、風俗や教育上の悪影響を与えることは否定できない。」というのが実態です。 (1993年5月の高松地裁のウインズ高松差し止め訴訟の判決) 賭博である公営ギャンブル施設が青少年育成環境をさらに悪化させることは明らかであり、開発事業者などがいくら「万全の対策」を講じようが避けようがありません。 以上のように、場外舟券・車券売場の建設は、生活環境、教育環境、交通環境は勿論、街づくり計画にまで、深刻且つ重大な悪影響を及ぼすものです。 E「雇用の拡大」は口実 前市長は同意した理由のひとつに「雇用機会の増大」をあげています。 しかし、実際に雇用されるのは、清掃や警備などに従事するアルバイト、パート労働者などの無権利状態に置かれる非正規雇用労働者が殆んどです。 また、最近は「場外券売り場の売上は伸びているが、それ以上に経費が増えて収支は悪化傾向にある」として、人件費、警備や清掃にかかる委託料の削減に懸命です。 従って、設置後は徐々に清掃や警備の費用を減らし、雇用の面でも先細りになると考えられます。 (2001年12月 産業構造審議会車両競技分科会競輪小委員会の報告参照) まして民間事業者が利益を優先するあまり、警備や清掃の手を抜くことは十分にあり得ます。 彦根市のイメージダウンによる商業、観光産業の地盤沈下、交通環境や治安の悪化、青少年の非行や家庭崩壊の増加など、公営ギャンブルの有害性を考えれば、「雇用機会が増大するから設置に同意する」というのは単なる口実に過ぎず、良識ある市民が納得できるものではありません。 F複合施設で増す有害性 前市長は場外舟券・車券売場が、「スーパーリゾートをコンセプトに温浴施設、温水プール、フィットネス等のスポーツ施設およびディサービス、グループホーム等の福祉複合施設の一部として設置され」「市民の憩いの場」となるから「同意をした」と述べていました。 しかし、これらの複合施設を併設したとしても、さきに列挙した公営ギャンブル施設の有害性が何ら減少することはありません。 むしろ、青少年を含む多くの一般市民を公営ギャンブル施設に接近させることになることから、その「有害性」をより増大させることとなります。 「モーターボート競走法施行規則」は場外舟券売場設置の許可基準として「文教施設および医療施設から適当な距離を有し、文教上または衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと」としています。 また「自転車競技法施行規則」は場外車券売場設置の許可基準として「学校その他の文教施設および病院その他の医療施設から相当の距離を有し、文教上または保健衛生上著しい支障を来すおそれがないこと」としています。 つまり、「生徒・学生や病弱者・病人が近づくような場所に場外舟券・車券売場を設置してはならない」というのがこれらの法規が求める本来の趣旨です。 したがって、スポーツ施設、ケア施設などの複合施設をギャンブル施設と併設することには重大な問題があり、設置基準の趣旨に反するものです。 勿論、場外券売り場の建設を断念した上で、それ以外の温浴、スポーツ、福祉などの複合施設を建設するのであれば、何ら反対するものではありません。 G地元との調整に不備 場外券売り場建設については、競艇、競輪いずれの場合も、「地元との調整」の後、設置確認申請を提出し 担当大臣の認可を得ることが必要とされています。 競艇の舟券売り場設置については「市町村の自治会(又は町内会)の同意、市長の同意および市議会が反対していないことをもって、地元との調整が取れていることとする」とされています。(1998.03.31海上技術安全局総務課長の通達) 獅山市長が場外舟券車券売場の設置に反対している限り、競艇の場外舟券売場の設置を申請するのは不可能であり、早急に計画を断念すべきです。 競輪の場外車券売場を「設置するに当たっては、当該場外車券売場の設置場所を管轄する警察署、消防署等とあらかじめ密接な連絡を行うとともに、地域社会との調整を十分行うよう指導すること。」とされています。( 1995年4月3日 通商産業省機械情報産業局長名 各通商産業局長宛「場外車券売場の設置に関する指導要領について」 ) ところが、開発事業者や地権者団体は周辺4自治会に対し話し合いは勿論、説明会すら実施していません 従って、競輪の場外車券売場についても、地域社会との調整を十分行ったとはいえない現状であり、建設すべきではありません。 |