講演:医師「ギャンブル依存は病気」
大津で多重債務者団体総会
2009.5.17 「毎日新聞」


    多重債務者の債務整理や生活再建を目指す団体「びわ湖あおぞら会」の総会が15日夜、大津市の滋賀弁護士会館であった。
負債の原因となることも多い「ギャンブル依存症」について精神科医の辻本哲士・県立精神保健福祉センター次長が講演し、「依存症は意志の弱さの問題ではなく、細胞レベルでの病気。依存症者に振り回されず、正しい距離をとって治療を続けて」と理解を求めた。

 同会は08年に設立。
毎週3回、弁護士や司法書士らによる無料相談を受け付けており、これまで県内外の多重債務者約330人から相談があった。

 講演で辻本医師は、ホルモンの分泌異常からギャンブルが生存に不可欠と体が錯覚し、していないと不快でたまらなくなる依存症の仕組みを解説。
ギャンブル依存症の特徴は巨額の借金とうそ。
いろんなものを失った揚げ句、『死』という最後のカードを引いてしまう人も多い
」と話し、依存症から多重債務・自殺につながると説明した。
また周囲が依存症者を助けようとするほど依存が強まって逆効果になることから、「付き合えば周囲もボロボロになる。振り回されないで自立させ、本人が心底困る『底つき体験』をさせることが大事」と話した。

 また当事者からの報告もあり、20年以上前から夫の借金で苦しんできた女性は「体の弱い息子を殺して自分も死のうと思ったほどだが、会に出会って2000万円近くあった借金は大きく減った。
本当に感謝したい」と述べた。【稲生陽】