フェアトレードとぼっちゃま

 今を去ること約4ヶ月前、TVを見ていましたら、NHK「クローズアップ現代」という番組でフェアトレードについて特集していました。ぼんやり見ていたのですが、いつのまにか真剣に見入ってしまいました。
 フェアトレードってご存知でしょうか、発展途上国からものを輸入するときなど、今までは「なるべく安く買って高く売る」だったのを、「適正な価格で買い、生産者が正当な利益を得られるようにする」という貿易のやり方です。もちろん小売価格は高くなるんだけど、そのかわり貧しい国の人たちが少しでも多く利益を得られ、自立した経済社会を営むことができる、たとえばタイなどで貧しい家の子どもが売られるのを防いだりできるわけですね。
 番組ではイギリスのコーヒー会社に取材していたのですが、そこの社長さんが強調していたのは、これが「貧しい国に援助する」活動ではない、ということです。あくまでも「貿易」であり、「正当な取引」なんです。
 今まではとにかく安く買って高く売って、少しでも多くの利益を得ることが企業の目的だったわけですが、この数年、特に2001年9月11日のテロ以降、「そんなにお金ばっかり追求してどうするんだ? 自分達だけ金持ちになって便利になればそれでいいのか? 現代の文明生活(都市生活)を維持するために自然を破壊し貧しい国から搾取し、その結果地球全体的に見たらどんどん住みにくい世界になっている。これは自分達をこの地球の最後の世代にしてしまうことではないのか?」という考え方が少しずつではあるけど広がってきているのだそうです。「物の流れや世界のあり方をみんなが問い直そうとしている」ということも言ってました。

 これを見ていて、「あれ、どこかで聞いたような・・・」。そう、『時の地平線』で士元が、「一人勝ちよりみんな勝ち。農民が潤えばぼくらも潤う、そういう社会構造のほうがロスが少なくて長い目で見ればかえって得」って言っていたのと似てますよね。孔明の「世の中は変えるんじゃなくて変わっていくんだ」というのも、思い出したりして。こういうせりふを聞くと、人間って進化してるのかなあ、少しは賢くなってるのかなあ、という気になります。『時の地平線』は今の作品ですが、優れた豪族達のこのような考え方はきっと当時もあったのでしょう。真理(というのはおおげさでしょうか)はいつの時代も同じで、私たちはその周りをぐるぐる回っているだけなのかも、と思わされた番組でした。

                                             

注・この番組は2002年5月9日にNHK総合で放映されました。

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