平成19年8月15日  7月の東下り

 私の工房は例年より早く夏休みに入りました。7月28日には鉄鋼協会の前近代製鉄実験研究部会の恒例のフォーラムがあり、29日からは静岡の佐野美術館での現代刀展が有ったり、色々顔を出していると仕事にならないのでちょいと早い夏休みとなった訳です。

 で今回の東下りで最初に行ったのが鉄鋼協会のフォ−ラムです。このフォーラムは考古学者や民俗学者、金属工学の学者、実際に製鉄の現場で仕事をしている人更に、刀鍛冶までもが何人か顔を出していますし、有名な研ぎ師の先生も参加されています。そう云った中で、色々興味深い研究発表が有りましたが、今回は時々私のサイトに顔を出す久保刀匠がたたらに関する興味ある発表をしていました。こう云った場でちゃんとした発表をするという事は、それ以前に大変な時間と労力が必要です。しかも彼は毎年一件づつ発表しています。地道な実験や研究が必要な分野ですから、専門の研究者でもなかなか出来るものでは有りません。この前向きな努力には頭が下がります。こういった努力が最近の彼の刀に自信となって表れているのでしょうか。私も見習わなければ、このままおくれをとってしまいそうです。

 フォーラムが終わればいつもの懇親会ですが、その後の二次会三次会と飲み続け久しぶりに久保君とも、おだてたりけなしたり沢山話しをしました。なんだかんだで飲み続け、宿に着いたのは12時過ぎ、いつもと変わらぬ出張の夜となりました。

 余談になりますが、彼の話によりますと、彼の属している叢雲会の展覧会が、去年私が個展を開かせて頂いた一口坂ギャラリーで開かれるそうです。期間は8月17日(金)から19日(日)と3日間だけですが、興味のある人は見に行って下さい。私のサイトを見て来たと言ってっもらえれば、はいそうですかと言ってくれると思います。なんの得点も無いと思います。

 明くる日から蒸し暑い東京の町を歩き回り、夏休み前の用事をこなしていたのですが、ちょっとした好奇心から、ある人に紹介された人たちと会って話を聞きました。でも、この話を聞いたのが運のつきでした。この夏場に急ぎの仕事を頼まれてしまったのです。それも鍛冶仕事です。もう休みなので山へ遊びに......いえ修行に行こうとしているのに.......。

 という訳で29日には現代刀の展覧会が始まる佐野美術館へ寄って挨拶をして、他の予定を切り上げて急いで家に帰りました。今回もまた慌ただしい東下りとなりました。

戻る