平成18年7月1日  7月の東下り

 今日はまたまた東下りをしました。目的は静岡県の三島にある佐野美術館の虎徹と清麿展の見学と、間近に迫った私の個展会場の打ち合わせです。


佐野美術館の玄関

 最初に行った佐野美術館の展示場には虎徹と清麿の名作がずらりと並んでおり、江戸新刀の好きな方にはたまらない展覧会になっています。また、今回の展覧会で作られた図録は今までの図録の常識を破る素晴らしい出来になっています。写真は主に藤代先生の娘さんの冥賀明子さんが手掛けられていますが、画像はデジタル処理がされており、実際に刀を手に取って観る以上に良く地鉄や刃文の様子が分かります。しかも茎以外はカラーで印刷されており、こういった展覧会の図録の新しい型となりそうです。刀剣の画像処理に手を染めた事のある私が言いますが、この図録は是非お勧めの品です。

 それから、ちょっと私事ではありますが、私は佐野美術館に他にも用事がありまして、それはこの春に佐野美術館に保管してある350年前の釘で何か作らないかとのお話が有り、先日、刀子を試作したのですが、ちょうど佐野美術館では今日から虎徹と清麿展が開かれています。そして偶然にもその釘の作られた時代は今回の展覧会の一方の主役の虎徹が活躍した時代と同時代だったのです。そこでこの展覧会の期間中にその刀子を売る事に話が決まり、急遽作った最初の6点を届けに行ってきたのです。


350年前の釘で作った刀子

 釘は比較的保存状態が良く、適当に朽ち込みが有り良い表情をしています。評判が良ければ更に作り足す予定ですので、もし佐野美術館に行かれる事が有りましたらご覧下さい。これらの刀子には館長の渡辺先生の箱書きが有り、それだけでもお値打ちものです。展覧会の図録とともにお買い上げ頂ければ尚結構ですが........。なお、これと同様の刀子を、私の個展でも販売の予定をしています。でもこちらは渡辺先生の箱書きは有りませんので、私のババチイ箱書きで我慢して下さい。

 それやこれやと色々話をしているとこの日は直ぐにお昼前になってしまい、あわてて佐野美術館を後にして東京は九段の一口坂ギャラリーへ出かけました。今度は私個人にとってはもっと重要なお仕事です。個展の出品予定作品がほぼ決まり、それらの配置や合わせて作る小品の展示方法を現場まで行って検討しました。おそらくもう個展までお江戸には来る事は有りません。必要な物品や搬入時間の確認など細かい打ち合わせを行い無事今日の仕事は終了。いよいよ個展も秒読み段階となってきました。

 全ての用事が予定通り終わりましたので、時間に余裕が有れば帰りにもう一度佐野美術館に寄ろうかとも思いましたが、さすがにそれほどの余裕は無く、今日は新幹線で帰路に着きました。途中で道草をしなかったので、この種の出張には珍しく余裕でその日のうちに家にたどり着く事が出来ました。明日からは個展の図録作りの仕事が待ています.......。

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