平成18年6月4日 6月の東下り1

 今回の東下りの目的は宮入一門会の例会に出席して新作名刀展を見て(私は出品していませんので見るだけですが......。)ついでに刷り上がったばかりのカレンダーを営業先に配るのも仕事です。で、少し早く6月の4日に家を出たのは、せっかく東下りをするのですから途中下車して三島の佐野美術館で開かれている展覧会「佐野美術館の歩み」も見学して行こうとなったからです。

 この佐野美術館の展覧会では館所蔵の代表的な美術工芸品や書籍、絵画などが展示してあるのですが、当然有名な刀剣類の展示も含まれています。会場を覗いてみると国宝の長光の薙刀をはじめ、正宗や郷の太刀など約20振り近くが展示してありました。これはちょっと儲け物と云った感じです。わざわざお江戸まで新作刀展を見に東海道を旅する人がいるのなら、途中下車してこちらもご覧になっては如何ですか? 私としては、代わり映えのしない新作刀を沢山見るのはちょっと苦痛なのですが、こちらは数は少ないとはいえ、超一級の名品ばかりで、時間が経つのを忘れて見入ってしまいました。やはり名品は何度見ても良いものですね。

 他にちょっと佐野美術館での用事も有り、それらを済ませるとこの日は三島で夕方になってしまったのでここで一泊することにしました。三島で泊まると必ず行くすし屋さんが有るのですが、何とこの日は大きな宴会が入っているとかでカウンター席の方は閉店でした。もう口はお魚の口になっています。今更焼き鳥や肉類を食べる気にはなれません。そんな訳で見知らぬ三島の夜の街を徘徊。やっと見つけたこじんまりとしたすし屋さんも満席でどうにもならず、結局チェーン店の居酒屋で食事をする事に。

 入った店はガラガラで、カウンター席に一人座って、お造りと地酒を注文してちびりちびり始めます。こういった店ですからネタは特別良い訳では有りませんが、若い板前さんがなかなか真面目で丁寧に仕事をしているのに感心しました。お店の方は暇そうなので少しお話などしながら、またお酒とお造りを追加注文。そうこうしていると店の方からという事で天ぷらのサービス! もしかして注文が取り消しになって余ってしまった料理か? それとも本当にご好意で付けてくれた品なのか? 更にこれまた地酒まで1杯サービス?? 途中から応対してくれるお店の人も、やる気のなさそうな兄ちゃんからお勘定場を預かるちょっと年のいた人に代わりやけに丁寧......、何だかちょっと変!! でもサービスはこれで留まらず更に一品付いて来て、最後に鉄火巻きと河童巻の盛り合わせと吸い物を注文したのですが、吸い物が早く出て来て盛り合わせが少し遅れてしまいました。先に出た吸い物がちょと冷めてしまったのです。そしたら何と別の吸い物を出してくれるではありませんか。

 ここまで来てちょっと思い当たる事が出てきました。それは板さんとネタの話をしたり、お酒の話をしたりしていたのですが、どうも私は今はやりの外食産業の覆面調査員と間違われたのではないかと思うのです。でも覆面調査員は目立たぬ様に調査するはずですからこんなに目立つとまずいんじゃないですかね? まあ損はしていないのでどうでも良いですけど、ちょっと得した三島の夜でした。

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