平成18年4月5日

 今、私は焼き入れの準備で生仕上げ(なましあげ)をしています。生仕上げとは火造りの終わった刀の表面をセンと云う道具で削り、平らにならしながら厚みを揃え行く行程の事です。これで焼き入れ前の土置きの時に土を平均に置く事が出来、厚みを揃える事で温度の上がり方のムラを少なくする事も出来ます。また丁寧に表面を削ると鍛え傷なども見つける事が出来ますので、とても重要な仕事です。


生仕上げの途中の刀

 右手に見えている亀の甲羅に取っ手の付いた様な道具がセンです。この様な道具は売っていないので自分で作るのですが、そこは鍛冶屋ですから簡単な仕事です。私の工房ではこの後、更に表面を砥石で研いで奇麗に仕上げています。この状態で刃先の厚みは1ミリ前後になっています。


焼き入れ準備の終わった刀

 私の工房には色々な注文が来ますので、それに合わせて作るとこんな感じになります。刀は一本作れば確実に良いのが1本上がるとは限りませんので、特殊な形の刀は1本の注文に対して通常3本位は作ります。だからと言って3倍の手間賃をもらう訳にもいきませんので、あまり変わった形の刀は作りたくないのですが、これも仕事ですからね。

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