平成18年2月9日

 最近考えてみると、工房の中の様子をあまり書いていませんので、今日はちょっと最近の仕事の様子を書いておきます。この季節は鍛冶屋の仕事の真最中でいかにも刀鍛冶をしているのですが、私に取ってはあまりにも普通の事で何とも思わないのですが、ここをご覧に成る訪問者の方には珍しいかも知れませんからね。


暮れに作った地鉄を水ベシにした所

 刀を作るには当然ながら地鉄を用意しなければいけません。上の写真は暮れに作った地鉄を薄く打ち延ばして焼を入れた所です。これを割って良い所と悪い所に選り分けて鍛錬をして刀の部品に仕立てて行きます。刀鍛冶は材料の地鉄を準備する所が大変な仕事です。規格品の材料を仕入れて加工すれば良い仕事ではありませんからね。でもそこにこだわる事で、独特の風合いの有る地鉄の作品が出来る訳です。少なくとも、私はこの部分を大切に仕事をしています。


炭切りの様子

 新米弟子の三ツ野君は今日も炭切りをしています。正月休み明けから殆ど毎日炭を切っています。弟子の最初の仕事はほとんどが炭切りと掃除と雑用です。でもこの炭切りがとても大切な仕事で、親方や兄弟子の先手(お手伝い)をしながら炭を切っている訳ですが、その間に鍛冶屋の仕事の手順を覚えて行く訳です。いわば鍛冶仕事の授業中な訳です。でもついつい気が抜けると、漫然と炭切りをしてしまい、肝心の勉強がおろそかになって、仕事のやり方をちゃんと覚えられない物です。人は日常見ている事を解っているようで、案外といい加減に覚えている物です。彼はちゃんと先輩の仕事のやり方を盗んでいるのでしょうかね??

戻る