平成17年1月8日

 マウナケア山頂の極寒の中での夕日を堪能した後は、オニヅカ ビジター センターまで下ってスターウオッチングです。

 西の空は茜色から群青色、そして深い藍色へとグラデーションを残し、辺りはだんだん暗くなって行ます。そうなると空の主役は入れ替わり、美しい星々が姿を現し始めます。天空には秋から冬の星座が輝いていますが、ここでは日本では考えられない程の星を見る事が出来ます。二年前の夏場の修行の時に、上高地近くの大天井山頂付近で見た星空に輪をかけた様なすばらしい星空です。

 何より驚いたのは、黄道光と呼ばれる太陽の通り道にうっすら残る光の帯が、肉眼ではっきり見える事です。最初は街の灯りかと思ったのですが、それが頭上まで続いているのです。この淡い光の帯がこんなにはっきり見えるのは驚異です。

 黄道光がはっきり見えるくらいですから、天の川はその濃淡まで手に取る様に見えます。東の空から高度を上げて行くオリオン、そしてペルセウス、天頂のカシオペア、北西の空へ沈みつつある白鳥座へと続くこの時期の天の川は、夏の天の川と比べると見劣りがするのですが、ここでは全く遜色無く美しく見る事が出来ます。

 冬の星座での見所は何と言ってもオリオン座です、ここまでくるとオリオンの小三ツ星と云われる腰の部分にある小さな星の連なりもきれいに見えます。ここにはトラペジュウムと呼ばれる星のゆりかごが有り、今も多くの星が生まれている所です。このトラペジュウムでは周りのガスが生まれたての星々に照らし出されて美しい輝きを発しています。

 また、天頂近くには「すばる」が輝いています。目が悪くなった私にはぼんやりとした星の塊に見えていますが、目の良い人は6〜7個の星の集団が確認出来ます。しかし実際にはこれは数百の星の集団で、双眼鏡などで見ると、とても美しく見えます。また、久しぶりにアンドロメダ銀河を、肉眼で見る事も出来ました。二年前に登った日本アルプスの大天井以来です。何と言ってもここは天文ファンにとってはパラダイスです。素晴らしいの一語に尽きます。

 しかし皆さん、このツアーではちゃんとお金を払っています。当然、それなりのサービスがあります。星空に全く知識が無くとも、浅黒く日焼けした格好いい日本人のお兄さんが、下らないオヤジギャグを交えながら、楽しく夜空の解説をしてくれますし、移動式の天体望遠鏡を設置して、美しい星の集まりや、運が良ければ土星などの惑星の拡大映像も見せてもらえます。

 それから、冬場に行けばこの季節の一大得点、カノープスと言う星も見る事が出来ます。この星は全天で2番目に明るい星ですが、南の空に居る為、古来ヨーロッパや中国の人はめったに見る事が出来ませんでした。それが為にこの星は古くから老人星と言われていて、これを見た人は長生きが出来ると信じられてきました。延命長寿を願う人は是非見て下さい。私も十分堪能させて頂きました。(でも、赤道近くから南半球に住む人々は常時見られるはずなのに、日本人の方が平均寿命は長いんですよね。)

 まっ、これだけ楽しんで150ドルのツアーは安いと私は思います。皆様もハワイ島にお越しの際はこのツアーに参加しては如何ですか?

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