刀 銘 表 真鍋純平作  裏 平成己卯年春吉祥日

刃長 71.2センチ 反り 1.8センチ 

切先の部分の拡大

この刀は南北朝時代や慶長の頃に流行した刀の姿を写しています。切先が大きく、二筋樋が彫ってあります。切先の手前には強い金筋が見えます。

中程の部分の拡大

黒っぽい「地」の部分から白っぽい「刃」の部分にかけて木を削った時に現れる木目の様な模様が見えています。地の部分に現れる黒い筋を地景(ちけい)と云い、刃中に現れる強い筋を金筋(きんすじ)と云います。これらは元の材料が不均質であったり、わずかな不純物が混じっていたりするために現れます。現在の鉄と異なり、言わば天然素材とも言える和鉄ならではの不思議な模様です。

元の部分の拡大

刀の見所はおおまかに言って三つあります。全体の姿形や持った時のバランスの具合、光を当てた時に輝いて見える刃文の美しさ、そして刀の表面に現れている地鉄の面白さです。鉄はよく精錬する程綺麗になりますが、反面、個性がなくなり面白味に欠けてきます。よく精錬された玉鋼で造られた江戸時代の刀に比べて、鎌倉時代の刀はどれも、とても個性的な地鉄をしています。私の所ではその古い時代の地鉄を再現するべく、玉鋼を使わず自分の所で「たたら」を行い、鉄を造っています。

茎の拡大

茎(なかご)とは柄に入る部分です。この部分は鑢で仕上げて作者の銘(めい)を切ります。新しい刀は茎が錆びておらず、輝いています。この若々しさが新作刀の一つの魅力でもあります。

目録へ戻る