卯月聖夜さんからの頂き物(^^

『しあわせなしりとり』


俺と舞と佐祐里さん。3人の同居が始まって、はや1ヶ月。つまり卒業式から1ヶ月が経過したわけだ。

で、どんな生活を送っているかというと・・・。

「あはは〜。」

「・・・・・・・・・。」

「ほんとにしりとり弱いな、お前。」

学校生活と、なんら変わっていない。

「さて・・・そろそろ飯作ってくれ。」

「佐祐里も手伝いますよ〜。」

台所にエプロン姿の美女2人。俺ほど幸せな奴は、そうそういまい。しかし・・・

ザシュッ、ザクッ、ガシュッ・・・

なんで台所から異音がするって?あれは舞が包丁で野菜を切ってる音だ。

「なあ、舞。そろそろその刀、捨てたらどうだ?ちゃんとした包丁があるだろ?」

そう。舞の包丁とは、あの魔物を斬っていた、あの刀だ。

「・・・これ以外の刃物は使ったことないから。」

融通の利かないやつである。もう諦めてはいるが。切った野菜は案の定、飛び散っている。

「佐祐里が切ればいいんですけど、舞が『味付け出来ないから』って・・・。」

つまり、舞が切る係で、味付けは佐祐里さんである。

「・・・祐一。」

「なんだ?」

「・・・肩がこる。」

「あたりまえだっ。そんなデカい刀振り回してるんだから!!」

まるで毎日が喜劇だ。


また3ヶ月が経過した。

「マント」

「トド」

「ドア」




2時間経過。

「なかなか腕を上げたな、舞。2時間も続くとはおもわなかったぞ。」

「・・・・・・。」

「しかし、最後に『赤ちゃん』で終わりだもんな。まだまだだ。」

ぽん、と舞の頭に手を置く。

「・・・・・・そうじゃない。」

「なにが?」

「・・・赤ちゃん。」

「赤ちゃんがどうした?」

「・・・できた。」

「誰に?」

「・・・私に。」

「ほほう、それは目出度い。父親は誰だ?」

ぽかっ

ここで舞のツッコミが入る。

「・・・祐一としか・・・してない。」

「何をだ?」

ぽかぽかっ

舞が赤面している。

「あはは〜。いつの間にそんなことしてたのかな〜お二人さん♪」

ぽかっ

ツッコミが佐祐里さんの頭に。

「なんで判ったんだ?」

「・・・3ヶ月前から・・・・・・無い。」

「何が?」

ぽかぽかぽかっ

赤面しながら、瞳が「女の子にそんなこと言わせるな」と言っている。

「冗談だよ。そうかぁ・・・俺が父親ねぇ・・・。」

ごろん、と横になる。卒業したら働かないといけないな・・・。というか、今からバイトでもしておくか。

「・・・名前。」

「ん?そんなもん、産まれてこないと男の子か女の子か判らないじゃないか。」

「・・・女の子。」

なぜ決める?

「・・・名前、『佐祐里』にする。」

「あはは〜。じゃあ佐祐里の子供は『舞』にしますね〜。」

・・・なんか違うような気がする。ま、いいか。


舞のお腹が目立つようになってきた。

「どうだ?動いてるか?」

こくり。

舞のお腹に耳を当てる。

「お〜、元気に動いてるな。こりゃ男の子じゃないか?」

「・・・佐祐里。」

「もし男の子だったらどうするんだ?」

「・・・祐一。」

「・・・父親と同じ名前だと、呼ぶとき困るぞ?」

と、いうか、戸籍登録できないはずだ。

「そういえば、予定日はいつだって?」

「・・・12月10日。」

俺と舞の子だからなあ・・・。愛想の悪い子が産まれそうだ。

「お前、育児の本とかで勉強しろよな。」

「・・・読んでる。」

「ほほう、もうちゃんと勉強してるんだな。どんな本だ?」

舞が本を持ってくる。

『これであなたもしりとりマスター』

ぽかっ

「・・・痛い。」

「こんなもん、育児の勉強になるかっ。」

「・・・子供に教える。」

舞が、しりとり強くなったわけがわかった。

「で、お前は我が子にしりとりで天下を取らせるのが夢なのか?」

こくり。

「あのなあ・・・。」


なんだかんだ言っても幸せな生活だった。産まれたあとは大変だけど・・・。

「舞っ、おむつ換えろ、俺はミルク作ってくる!!」

どたばたどたばた・・・

「佐祐里もお手伝いしますよ〜。は〜い、佐祐里ちゃん、ミルクの時間ですよ〜。」

佐祐里さんが「佐祐里」にミルクをあげている。妙な気分。

「佐祐里さんの子供は『舞』に決定なのか?」

もし、そうなら、ややこしいなあ。

「りんご、ごりら、らっぱ、ぱんつ、つまようじ、じどうしゃ・・・・・・。」

舞がおむつを替えながらしりとりをしている。この子はボキャブラリの豊富な子になるだろうな。


NEVER HAPPINESS・・・


これは私のHPの50HIT記念・・っていうか開設記念かな?(笑)に卯月さんから頂いたKanonSSです(^^
幸せな情景が目に浮かぶような素敵なSSありがとうございました!ヽ(T▽T)/
ちなみにこのSSの題名は私が命名させていただきました(^^;