これまでのお話:来栖川執事セバスチャンは芹香お嬢様を護る為に、日々肉体を駆使して戦い続けるのであった!
「ねぇねぇ、俺達と遊ぼうぜ?」
「いいだろ?ねぇちゃん」
「………」
どこぞのこわっぱどもに囲まれて、困惑の表情を浮かべている芹香お嬢様。
男達はニタニタといやらしい薄笑いを浮かべて、彼女に迫っている。
が、そんな事をあの男が黙ってみている訳がない。
「待てぇい!お嬢様から離れんか!このこわっぱどもめ!」
「だ、誰だ!?」
「来栖川執事、セバスチャン!助けに参りましたぞぉぉっ!お嬢様!とおぉぉぉっ」
しゅたんと唐突に現れるセバスチャン。
「どこから現れやがった!?このジジイ」
「やっちまおうぜ!」
3流悪役のような台詞を吐き捨て、セバスチャンに迫りかかるこわっぱども。
が、そのような相手がセバスチャンに勝てるわけもない。
「こざかしいわぁぁっっ!愛のセバスチャンアッパァァァァァッッ!」
先陣を切ってセバスチャンに飛びかかる男の顎にアッパーが見事に決まる。
アッパーを食らい、男は綺麗に弧を書いて地面に叩き付けられた。
もちろん失神している。
どこが愛かどうかはこの際気にしない。
「お、おい大丈夫か?」
男の片割れが声をかけるが返答はない。
白目をむいてがっくりと意識を失っていた。
「ふんっ。今なら地面に頭をすりつけるような土下座の上に前歯の2、3本折った上に、奥歯ガタガタ言わせ、
肋骨が1本足りなくして、顔が変形して分からなくなるくらいで許してやらんでもない。私も鬼ではないからな」
「鬼じゃねぇか!どう考えてもっっ!!」
にやりと鬼神のような笑みを浮かべるセバスチャン。
どうやら男に降伏などという言葉はすでに存在していないらしい。
「クソっ。ぶっ殺してやる!死ね!ジジイ」
ポケットから取り出されるバタフライナイフ。
ナイフの刃がぬらりと不気味に光を反射している。
まるでこの男の心情を読みとるかのように。
「ヒカリ物を出せば恐れをなすと思うくわぁぁぁっっっ!!!」
セバスチャンの身体が一回りくらい大きく見える。
その気合いにビクリと身体を縮める男。
が、それは一瞬で、狂ったかのようにセバスチャンに飛びかかってくる。
ナイフを握りしめたまま。
「貴様などに生きる資格もないわっ!セバスチャン、正義の逆水平!」
男の持ったナイフを折り、セバスチャンの逆水平が男の胸に突き刺さるようにヒットした。
ぐらりと倒れる。
「止めぇぇぇっっ」
倒れた男の腹部を体重の乗った拳でおもいっきり殴る。
ビクンと身体を痙攣させたと思うと、その男は動かなくなった。
表情には苦悶がありありと現れている。
この際、倒れた男が泡を吹いているなど些細なことでしかない。
「ふんっ!芹香お嬢様に手を出そうなどとはっ!」
吐き捨てるようにそう言い切ると、セバスチャンはくるりと背を向けた。
目線の先には芹香お嬢様。
「…………」
「え?やりすぎではないですか?と?おおっ。なんとお優しいっっ。このセバスチャン感激の嵐でございますっっ」
持っていた白いハンカチで涙を拭き、感激している。
その涙は土留めなく、セバスチャンの頬をぬらしていたが、意識があれば男達は別の意味で涙していたに違いあるまい……。
今日も夕日が綺麗だった。
次回予告:またしても現れるお嬢様に忍び寄る魔の手。セバスチャンはそれを振り切ることができるのであろうか!?
次回 闘え!来栖川執事 セバスチャン 愛のニックネームの秘密!
次回もしっかりチェックせよ!悔しかったら愛のニックネームを手に入れろっ!
つづく?