「パスカル電線(S-cable)Ver.2」 
2.アクリル工作
贈呈版「パーツパネルの製作」


  
★観察実験には専門知識と経験が必要です。本サイトの閲覧は理科教育関係者に限らせていただきます。★

1.はじめに

  贈呈版「パスカル電線(S-cable)Ver.2」用パーツパネルの製作紹介です。アクリル板加工の実際を見ていただき,教具製作自作の参考になればと思います。

  アクリル板(キャスト)は,昇降盤での切断やボール盤での穴開け,ヤスリ仕上げなども可能で,アルミ板より量産加工に向きます。ただ,ガラスのように割れやすく,鋭利な破片の飛び散ることがあります。しっかりした工作機械と手馴れた方の指導・助言は必須です。

  贈呈版「パスカル電線(Ver.2)」は,ある程度の数をこなす関係でアクリル板を用いましたが,少数の製作なら電子工作用のアルミシャーシを加工したほうが簡単で安全だと思います。手近なプラ容器でも可能ですが,穴開け加工時の割れに注意が必要です。

  パーツパネルには,アクリル板に「ターミナル」2個と「±切替中点OFFスイッチ」を取り付たものです。図1のように一般的なトグルスイッチを用いると,丸穴を開けるだけで済みます(作業は楽です)。しかし,当初よりスライドスイッチに拘りました。電流の流れる向きがわかり易いからです。
(最近,図11のような大型スライドスイッチの入手は難しくなり,図1のようなトグルスイッチ仕様を試作中です。)

全景
図1  ターミナルとスイッチ(トグルスイッチ)を取り付けたパ−ツパネル例

※ここで取り上げた工作による「パスカル電線(S-cable)Ver.2」贈呈は,こちらのページ→「パスカル電線(S-cable)」概要からご覧ください。



2.パスカル電線(S-cable)Ver.2のパーツパネルの製作

『拘り続けたスライドスイッチ!』

  アクリル板に細長い「ツマミ穴」を開ける必要があり,少しやっかいです。数個ならボール盤で穴を開け,やすり仕上げでも可能です。しかし,数が多くなるとルーター(簡易なフライス盤)という機械を使うことになります。

(1)加工位置の作図
  指定寸法(220×26mm,厚さ3mm)のアクリル板は,netで業者発注できるようになって助かっています。

  ・溝や穴の位置,穴の直径などの必要事項を記入します(図2)。

  ※アクリル板は,表面の保護用に紙が貼ってあります。
作図部分
図2  保護紙に作図(部分)


(2)溝彫り作業
  ルーターという工作機械で溝を彫ります。M6のルータービットを用いました(図3)。
  ルーターがなければ,ボール盤で穴を並べて開け,ヤスリで不要部分を削り取ります。
・図3は,写真撮影の関係で保持している手がありません。実際は,刃の近くをしっかり保持し,横にゆっくり移動して溝を彫ります。
・下板(目立つように白塗装してあります)は,刃先保護のために必要です。

注意:以下の作業(図4〜6)は数回繰り返し,徐々に溝を深くしていきます。一度で行うときれいな仕上がりにならないだけでなく,割れる可能性が高まり危険。
終了
図3  溝彫り作業


溝彫り1
図4  溝彫り1
溝彫り2
図5  溝彫り2
溝彫り3
図6  溝彫り3


(3)穴開け加工
  穴開けは,ボール盤で行えます。刃は鉄鋼用が使えます(図7)。



   ・アクリル板は冶具に押し当て,しっかり保持(固定)します。
・ボール盤のレバーは,しっかり握って,ゆっくり丁寧に押し下げます。きれいな穴を開けるだけでなく事故を防ぎます。
・すべての穴開け加工終了後,保護紙をとります。
向かい合わせる
図7  穴開け加工


(4)ざぐり加工
  スライドスイッチはビス留めします。ざぐり穴を開けて皿ビス留めすると出っ張りがなくてきれいです。
  3mmの皿ビスの頭の直径は6mmですから,M6の刃でざぐります。ボール盤のストッパーでざぐる深さを規制しますが,精度を出すために保護紙をとり下板もなしで作業します。少しのゴミがあっても精度がでません(図8)。
  スライドスイッチのツマミ用細長い穴の角落としは,専用器具を用いました。直径の大きな長い刃が必要となるからです(図9)。

ざぐり加工
図8  スイッチ取付穴のざぐり加工
ざぐり
図9  スライドスイッチ穴の角落とし(専用器具)


(5)パーツの取り付け
  パーツパネルに,「ターミナル(赤と黒)」と「スライドスイッチ」を取り付けると完成です(図10,11)。

電子パーツ
図10  穴開け加工が終わったパーツパネル例
部分
図11  部品を取り付けたパーツパネル例



   自由利用マーク  
《SUGIHARA  KAZUO》