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1.はじめに
「パスカル電線(S-cable)」は,試作段階からコネクターによる着脱構造のものも作っていました。本体の左右端にコネクターを付けた(計2個)完全着脱版で,数種類の長さの電線と交換可能としました。これは,当初,最適な長さがわからなかったからです。つまり,研究用としての着脱構造。 次第に「6mか9mの長さで良いだろう」ということがわかり,コネクターは「6m版では必要なかろう!」「9m版ではあっても良いな!?」と考えるようになりました。いずれにしても,長さが決まれば両端での完全着脱は不要で(詳細はマニュアル参照),片端着脱だけで利点(以下,参照)を享受できます。微細なはんだ付け作業もほぼ半減し,製作は非常に楽になります。 コネクター着脱の利点は,展開(引き延ばし)と収納がさっと出来,電線のよじれを気にする必要がないことです。要するにスマートなんですね。 ・課題1:本体へのコネクター取付作業とはんだ付け箇所が増え,手間である(電子工作に堪能な方にとっては簡単なことだと思います)。更に,クラス実験を意図して複数台作るとなると躊躇させられます。しかし,3台あればクラス全員での同時実験が可能なので,大した手間にはなりません。 ・課題2:コネクター着脱構造は接続部で接触不良のリスクがあります。ただ,私はそういった事故を経験していません。 このページは,コネクター着脱版「パスカル電線(S-cable)Ver.3」の製作例を紹介するものです。参考にしていただければ幸いです。 ※パスカル電線「S-cable」贈呈希望の方は,こちらのページ→「パスカル電線(S-cable)」概要からご覧ください。 贈呈版はコネクター着脱できない電線固定版「パスカル電線(S-cable)Ver.2」6mです。 2.「コネクター」の選択 開発当時,数A程度の電流を流せる10ピンの大型コネクターが普通に入手できました(条件が揃っていました)。選んだのは,以下の2種類です。
どちらのコネクターも次第に入手難,ついにはお店の在庫を買い占めることまでしました。そんな中,パソコン時代となり,Dsubコネクター(D-sub,Dサブともいう)が普及し始めます。これが見事に良くできたコネクターで,ほっとしました。 従来にない良さは,さまざまなパーツを組み合わせて意図に近い仕様のコネクターにできることです。作りはとてもしっかりしており,各ピンには適度な深さの筒状の穴があってはんだ付け容易,入手も容易(もちろん,電子パーツ店),しかもとてもリーズナブルな価格で驚きます。必要なパーツの組み合わせ選びは少々手間ですが… 用いるDsubコネクターは9ピンとし,ねじ止めできるように必要なパーツを選びます。下の図を見ると仕組みがわかると思います。なお,ネジはすべてインチ規格のようで,同じ商品棚ですべてのパーツを入手してください。 ヒント:パスカル電線(S-cable)の標準仕様10芯線に合わせるため,Dsubコネクターの本体金属部を利用して10接点とします。こういった使い方はよくあります。 3.電線着脱「パスカル電線(S-cable)Ver.3」9mの製作例 (1)外観 アルミシャ−シ(180×120×40mm)の右端がコネクター接続部となっています。一端の切り離しだけで,展開(引き延ばし)と収納がとても楽になります。 上が開いており,厚紙製の蓋が被せてあります。厚紙は下にもう一枚接着してあり,前後左右には動きません。アルミシャ−シと蓋を輪ゴムか紐で縛れば外れません。厚紙蓋は丁寧に塗装し(3度塗り),上には教具名などを印刷した紙をラミネート封入して貼り付けました。 このようななわずかな手間(デコレーション)で雰囲気が盛り上がります。 「動けばよい」確かにそうなんですが,かっこよく目立つ教材で児童・生徒の興味を引き出すのも理科だと思います。
Dsubコネクターの脱着です。図5は外したところ,図6は挿し込んだ後,ねじ留めしています。
(2)本体内部(全体) 端子台を用いて「S-cable結線」の見える化を意図したもので,一目瞭然で原理を理解できる良さがあります。 見える化によって製作も楽になります。簡単な結線ではありますが,実際の工作では少し悩まされるからです。
(3)本体(部分)と差し込むコネクター内部 スイッチとコネクターのピンへのはんだ付けは,少し手がかかります。 はんだ作業の良し悪し(得手不得手)は「はんだごて」の選択にあります。少し高価ですが温度調節機能付(私はgoot PX-338)を用いると簡単に作業でき,驚かされます。
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