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1.はじめに
音声電流を用いた電磁誘導実験は興味深く楽しいもので,より良い工夫を続けてきました。その一つが授業での活用を意図した「スピーカーによる大きな音での実験」で,一定の成果を得ることができました。更に「スピーカー付アンプ」の助けによる可能性を感じて試しましたが,納得できないところもあります。そこで,本筋の電磁誘導とは少し違った「磁場探し」という提案になりました(詳細は「アンプ付スピーカーの活用」)。 しかし,「スピーカー付アンプ」の魅力を忘れられず,引き続き検討を続けました。そして,本ページのキャッチコピーとなる「電磁誘導のリレー」という手法に気づきました。独立したシンプルなコイルセット(図1)を介在させ,電磁誘導をリレーしようという発想です。 電磁誘導は離れて伝わるエネルギーとも考えられ,独立したコイルセット(=コイル以外,何もない!)の介在は,そのことをはっきり示せるはずです。このような実験が可能となったのは,高性能の「アンプ付スピーカー」があればこそです。
2.新提案「電磁誘導のリレー」 「アンプ付スピーカーの活用」では,アンプを接続したコイルを用いるので,本当にコイルに誘導電流を生じ,それを増幅したのか疑問になりそうです。そこで,図3のように,独立したコイルセット(図1)を介在させ,橋渡しによって誘導電流をリレーしようと考えました。あまりにも無茶な構成であり,効率は極めて悪くなります。しかし,「アンプ付スピーカー」の優秀な増幅機能に助けてもらいハッキリ聞こえるようになります。 授業は,最初に「アンプ付スピーカー+コイル」で実験,次に「独立したコイルセット(図1)」を介在させて実験,電磁誘導を確認するという展開が良いでしょう。
「鉄心」の利用 トランスでわかるように「鉄心(コア)」は重要,ファラデーも電磁誘導実験にトロイダルコアトランスを用いました。ただ,効率を高める役割であり,必須とはいえないかもしれません。「アンプ付スピーカー」の増幅機能は優秀で,鉄心なしの図4の構成でもなんとか聞こえるのです。 しかし,鉄心を用いると,そのありがたさを実感します…利用するチャンスだと思いました。図の鉄心は,ガラス容器に鉄くぎを詰めた簡易代用品ですが,あるなしで比較すると十分に存在価値を納得できます。
3.「二重コイル」は優秀ですが… 理科室に普通にある教具「二重コイル」は,こういった目的のために作られたものですから高性能が期待できます。実際に試してみる,流石に優秀です。ただ,2つのコイルが本当に分離しているのか(接触していないか?)気になります。 図4の自作コイルは効率の悪い代表例だと思いますが,色違い(例:ビニル電線とエナメル線の利用)の良さもあり間違いなく両者が分離していることがわかります。市販の二重コイルも色違いのエナメル線にすれば良いと思います。
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