…それは、うららかな日曜日…

 

 …と言っても、楽しい休日が終わりを告げているような、夕方の出来事であったが…

 

 

 …そんなときに、この出来事ははじまりを告げたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    〜とらいあんぐるハート3〜 

「奇妙な恋の物語」

 

 

 

 

 

 

 

「…きょーちゃーん、今日のは特別厳しくなかった?」

 高町家の庭に作られている道場から、へろへろと出てくる少女が、先に出て前を歩いている青年へと声をかけた。

「そんなことはない、予定通りのことしかしていない」

 汗こそかいてるが、足取りも呼吸もしっかりしている青年がその言葉に応える。

「…そうかなあ?」

「…とにかく、とっとと汗拭いて風邪引かないようにしろよ」

 青年…高町恭也が、少女…高町美由希にそう声をかけた、ちょうどそのときだった。

「あっ、ああっ!! し、し、し、師匠っ!!」

 あわてて門をくぐってきた少年…いや、少女が息を整える間も惜しむように、口を開いた。

「どうした晶、そんなにあわてて」

「俺っ、俺っ、どうすりゃいいかわかんなくなって!!」

 ばたばたと意味なく手をふりつつ、少女…城島晶が自分の狼狽ぶりを口にする。

「落ち着け、何があったんだ」

 わけがわからない恭也は、そう落ち着くように促し、その後ろで美由希も何事かという顔をしている。

 

 

「俺っ、俺っ! …女の子に告白されちゃったんです!!」

 

 

 真っ赤になって、晶はそう告げたのだった。そして、その言葉によって引き起こされたのは…

 

 …ガシャン!!

 

「…んく、ぷっ、くく、わはははははははははははははははははははははっっ!!!

 …こっ、このおさるっ、うちを笑い死にさす気かっ!!」

 干し終えた洗濯物を取り込んでいたらしい少女が、おなかを抱えて大笑いしたのだった。

「てっ、てめっ! このカメっ! 笑ってんじゃねえ!!!」

「そ、そうよ…ぷっ、レン、笑っちゃ…くくっ、ダメだよ」

「…そ、そうだぞ…くっ…くくっ…」

「ああっ!! 師匠も、美由希さんも、なにぷるぷるしてるんですかっ!」

 大笑いする少女…鳳蓮飛(フォンレンフェイ)と、小刻みにふるえている恭也と美由希に交互に視線をやりながら、真っ赤になって晶が文句を言う。

「あはっ! …あほうっ…ぷぷぷっ…お前が笑かすからに決まっとるやろがっ!! …わははははははははっっ!!」

 レンは、押さえるつもりもないらしく、庭をごろごろと転げ回りながら笑っている。

「あっ、あはっ、…ご、ごめん…晶…あははっ」

 美由希は、押さえようとするものの失敗したらしく、涙まで浮かべて笑っている。

「…………………」

 さすがに恭也は、押さえることに成功している…ようにも見えたが、小刻みにふるえる肩がそれを否定していた。

「ううううううううううううううううううううううーーーーーーっっ!!!!!!」

 そんな中、渦中の少女は、怒りなのか照れなのかによって、真っ赤になってうなるしかなかったのだった。

 

 

 

「あははっ、やるじゃない、晶君!」

「あははっ、晶、モテモテね♪」

「あははっ、晶ちゃんかっこいいもんね!」

 夕食の場、やはりというか当然のように出た、『晶、女の子に告白される!』のニュースは、残りの3人にも笑いを提供したようだった。

「笑い事じゃないですよ!!」

 みんなに笑われたことが不満らしく、晶が口をとがらせる。

「でもさ、晶ちゃんって、バレンタインにチョコいっぱいもらってたよね」

 なのはが、とりつくろうように晶に聞いた。

「同級生の女の子達からだったし、別に付き合って欲しいとかいうチョコじゃないからさ」

 本当にそういうチョコがなかったのかどうかは定かではないが、晶の中ではそんな風にはとらえられてはいないみたいだ。

「…それで、どういう状況で、告白されたの?」

 フィアッセが、楽しくてしかたがないというような笑顔で、そう聞いた。

「あっ、それ、かーさんも聞きたい」

 桃子も、あおるようにフィアッセに続いた。

「…えっと…ですね…」

 晶がぽりぽりとほっぺたを掻きながら、話し始めた内容は…

 

 

 

 ……今日は日曜だったから、大会形式みたいな試合をやったんですよ。

 規模は本部の道場だけでなく、隣町の道場とか4つ5つ集まってて、それで全部本部の道場に集合してたんですよ。

 普通の大会だったら、年齢制限で分けてたり、女子と男子で分けてたりするんですけど、今回はあくまで練習でしたから、館長が実力がそろうようにって分けてくれたんです。

 それで、俺はジュニアの一番強い組に入れてもらって、まあそんな感じで試合をやったんです。

 

 

「はあっ!! 吼破っっ!!!!!!」

 

 ダダンッッ!!!

 

 晶の力のこもった右拳が、相手のみぞおちに綺麗に決まった。

 その一撃で、晶よりずっと大きい対戦相手が文字通り吹っ飛んだ。

「一本! そこまでだ!!」

 審判をやっていた巻島館長の野太い声が、勝負ありの判定を下した。

「やった! 優勝だ!!」

 練習とはいえ、優勝したことが晶に喜びの声をあげさせた。

「おうっ、最後のあれはなかなかだったぜ、ボーズ」

 巻島館長が、彼としては最大限とも言える賛辞を晶に贈った。

「あっ、ありがとうございます、館長!」

 

 

 ……ここまでは、良かったんですよ。…というか、なんか調子も良かったし、ホントいい感じだったんです。

 それで、そんないい感じになってた帰りのことなんですけど…

 

 

「城島晶さん!! 試合、かっこよかったです!!」

「えっ、あ、…うん、ありがとう」

 突然のことと、相手が見知らぬ娘だったこともあって、いぶかしむように晶が答えた。

「空手の試合って、実は今日始めて見たんですけど、すっごいんですね、私びっくりしました!」

「…そうかな、まあ今日は実戦形式だったから、そのせいかもしれないね」

 相手が見知らぬ娘でも、それなりに対応するのは、物怖じしない彼女の美徳の一つだろう。

「私、友だちの応援に来てて、といってもそんなに親しい訳じゃないんですよ、ただの同級生なんですけど、ホントですよ、今日は暇だったし、それにちょっと興味もあったし、だからついてきてたんですけど…」

 一方的に、彼女が晶に話をする。さながらマシンガンのようである。

「えっ、えっと、…それで、なんか用?」

 彼女の話の切れ目を狙って、晶が本題を切り出す。

「あっ、あのですね、用はですね。ちょっと恥ずかしいんですけど…」

「う、うん…」

 

「私、晶さんのこと好きになりました!!」

 

「えっ!?」

「一目惚れです! 付き合ってくれませんか! お願いしますっ!!!」

「いや、あの…」

「それとも、誰か付き合ってる人いるんですかっ!! そうなんですかっっ!!!!」

「えっ、いや、そんな人は…その、いないけど…」

「でしたら! 友だちからでいいんで、私と付き合ってくれませんかっっ!!!!」

「いや、その…」

「お願いします!!」

「えっ、あの…ね…」

 

 

 

「…と言う感じで…」

 いろいろ思い出して、げっそりという感じで、晶は話し終えた。

「自分が女の子だって、言わなかったの?」

 美由希が、一番の疑問を口にした。

「俺も言うつもりだったんですけど、なんか、すっごく押しの強い娘で…そのまま押し切られちゃったんですよ」

 我ながら情けないという感じで、肩を落として晶が答える。

「ええやん、そのままつきあったったらどうやー?」

 明らかに楽しんでる様子のレンが、そうニヤニヤと言う。

「バカ言うな、なんで俺が女の子と付き合わなきゃいけないんだよ」

「そうやなー、おさるには人間の女の子はもったいないなー、猿山に探しにいかなあかんなー」

「サルサル言うなっ、この緑ガメ!!」

「カメちゃう、目も悪いんか、おさる!!」

「このやろう!!」

「やるかあ?」

「やらいでかあ!」

 

「…落ち着け、二人とも」

 

 どんどんとエキサイトしていく二人を押さえるように、恭也が口を開いた。

「師匠…」

「おししょ…」

 さながら鶴の一声のように、ぴたりと喧噪がやむ。

「…とにかく、晶はちゃんとその子に説明してあげるべきだろうな」

「…そうですね、それしかないですよね」

 晶がうなだれるように答えた。

「それで、その子には今度いつ会うの?」

 桃子が、落ち着いた口調でそう聞いた。

「えっと、今度の土曜日に…道場終わってから会うことになったみたいです」

「なったみたいって」

 なのはが苦笑する。

「じゃあ、そのときに教えてあげないとね、晶」

 フィアッセが、そう言ってこの話題を締めくくった。

 

 

 

 ……………

 ……

「…だから、スカートはいてけば、すぐにわかるよ」

「ちょっ、いいよ美由希ちゃん、似合わないから」

「ねーねー、晶、この服なんて、かわいいよー♪」

「フィアッセさんも、恥ずかしいですってば、そのビラビラの服は〜」

「晶ちゃん、リボンはどう、なのはのを貸してあげるよ」

「なのちゃんまで〜」

 趣味の盆栽をいじりながら、常人よりもはるかに高感度な耳がひろった喧噪に、恭也は一言…

 

「…平和だなあ」

 

 …とつぶやき、枝の一振りを切り落とした。

 

 なんだかんだの一週間が過ぎゆき、ついに例の土曜日の朝を迎えていた。

 

「お師匠、精が出ますねー」

 洗濯物が入ったかごをかかえたレンが、そう恭也に声をかけた。

「んっ、レンはあの騒ぎに加わってなかったのか」

 家の方を指さしながら、恭也がレンに聞いた。

「さすがに、一週間もからかったったら、飽きてしまいました。それに、お仕事もありますし、あんまりおさるにかまけてる暇もないですー」

 物干し竿を棍のように操りながら、レンがしたり顔でそう言った。

「それより、お師匠、今日はなんか予定ありますか?」

「そうだな、午後から神社に行って、鍛錬だな」

 実に色気のない予定を、たんたんと恭也が告げた。

「それって、帰りは何時くらいになるんでしょうか?」

「そうだな、まあ那美さんにも悪いから、晩飯までに帰るつもりだが、…なんかあるのか?」

 盆栽から視線を外して、恭也がレンに聞いた。

「いや、別にたいしたことないです。ちょっと帰りに買い物を頼めるかな〜とか、なまけものな発想しただけですから」

 レンがあわてたようにそう言いつくろった。

「…なんかあるみたいだな、今日は早めに切り上げて買い物くらいしてきてやるぞ」

「ちゃいますって、ほんまになまけものな発想なだけです。気にせんと修養してきてください。

 …あー、晶、晶っ!!」

 例の騒動からなんとか逃げてきた晶が庭に出てきたのを見つけて、レンがさっそく声をかけた。

「…んだよ、もう勘弁しろよな〜」

 さんざんからかわれたようで、もううんざりという顔で晶が答える。

「ちゃうって、今日の夕げの買い出し、晶でけんか? 帰りにでも買ってきて欲しいんやけど」

「…うーん、正直わかんねえ。…でも無理っぽいなあ…すっげえ押し強かったし、あの娘」

 今日の用事を思い出し、げっそりという感じで晶が答えた。

「…ちゃっちゃっとふるだけやろ、そんなに時間かかるもんでもないんちゃうか」

 気楽な調子で、レンがそう言うと…

 

「…おいっ!! そりゃ押しはやたら強かったけど、かなり真剣みたいだったんだぞっ!

 そんなやっつけ仕事みたいに言うんじゃねえよっ!!」

 

 レンの調子にムッとした晶が、そう言い返した。

「…あ、…そやな、わるい。

 …うん、相手は真剣やもんな、ちゃんと全身全霊で答えてこなあかんで」

 晶の言葉に、非を認めたレンがすぐにそう謝った。

「いや、わかりゃあ別に…わりぃな、行って来る。じゃあ、師匠もいってきます」

 珍しく殊勝に謝ったレンに拍子抜けするように謝り返すと、レンと恭也に出発の挨拶をした。

「おおっ、気張ってこいや」

「ん、がんばってこいよ」

 そのまま、二人で晶を見送った後…

「………レン」

「あ、…やー、ふざけすぎでしたね。相手の女の子の方は真剣なんやし、ほんま、めずらしく晶の言うとおりですわー」

 照れ笑いを浮かべて、レンはその場を取り繕うようにそう言った。

「…そうじゃない。…今日、なんかあるんだろ」

「気にせんといてくださいって…」

「…レン」

 じっとレンの目を見つめて、恭也がそう名前だけを呼んだ。

「……ふうっ、ほんまお師匠にはかないまへん。

 …そろそろおじいの誕生日やから、なんかデパートでも行って見繕ってこよかなと思ったんで、荷物が多いかも〜とか思うて。…そんだけです」

「…そうか、それなら…」

「…でも、大丈夫です。なんとかなりますよって、気にせんといてください。

 ……あー、でもどうしても気になるって言うんでしたら、いつものスーパーですよって、来てくれはるとうれしいかもですー」

 レンが照れながら、そう付け加えた。

「ああ、そうすることにする」

「じゃあ、すいませんですけど、期待させてもらいますー」

 レンがぺこりとお辞儀して、へへへと照れ笑いを浮かべた。

 

 

 

 ………………

 ……

「…よし、この辺にしておくか」

 恭也がそう告げると…

「…うう、短いぶん、密度濃かったよ、恭ちゃん」

「課題を削るわけにはいかんからな」

 美由希の泣き言ともとれる弱音を、ぴしゃりと恭也がはねつける。

「はええ、やっぱりすごいですね二人とも、時々全然動きが見えなくなりますもの」

 巫女装束をした少女…神咲那美が、感心するようにそう言った。

「いや、まだまだですよ。…おーい、帰るぞ、なのは」

 那美の言葉に礼を返すと、小狐…久遠と遊んでいるなのはに声をかけた。

「今日はずいぶん早いんですね?」

 那美が率直な感想を言った。

「これから家事手伝いがあるので、今晩また来るとは思いますけど」

「うう、大変ですね」

「そうでもないですよ。…おーい、美由希、へばってないでさっさと支度しろよ、お前も荷物持ちの戦力なんだからな」

 のろのろと後かたづけをしている美由希に、恭也がそう告げた。

「うう、恭ちゃん、人使い荒いよ〜」

「じゃあ、お邪魔しました、那美さん」

「いいえ、頑張って下さいね。…特に美由希さん」

 苦笑しながら、那美がそう恭也達…特に美由希に声をかけた。

「ありがとー、那美さん」

(…ちょっと、予定より遅くなったな)

 などと恭也が思ってたころ…まさに、ちょうどそのころに、事件は起こっていたのだったが、恭也達がそれを知るのは、そろって待ち合わせのスーパーにつく頃であった。

 

 …そして、恭也達がスーパーに着いたときには、クライマックスを終えており…

 

 …泣きながら走り去る少女をただ見送り…

 

 

 …それを唖然とした表情で同じように見送っている、二人の少女をただ眺めるだけだった…

 

 

 

「…ふくく、それで、その子は走り去っちゃったの」

「…くす、くすくす。…ま、まあ、結果オーライ…になるのかな」

 夕食時…ことの顛末を聞かされた桃子とフィアッセは、そろって笑いをこらえながら、そう聞き返した。

「そう言う問題じゃないですよ」

「ほんまです、そう言う問題じゃあらしまへん」

 普段は相争う晶とレンの二人が、声をそろえて反論した。

「「よりによって…」」

 声をそろえて、お互いの顔を見合わせ…

 

     カメ   俺               した

「「この    と、  が、付き合ってるなんて誤解     んですよっ!!」」

    おさる   うち              しよった

 

「大体、お前があのとき、声かけてくるから!」

「なに言うてんねん、そんなんうちが知るかい!」

「やるかあ!」

「やらいでか!」

「…やれやれ」

 どんどんエスカレートしていく二人を横目に、恭也はただ静かにお茶をすするだけだった。

 

 恭也達がスーパーに着くまでに何が起こったか、二人の話を総合すると…

 

 

 

「…ふうっ、おもたぁ。こりゃあやっぱり、お師匠が来るのを待たせてもらうしかなさそやなあ」

 スーパーの前に大荷物…もとい、大きな荷物ですっぽりと隠れてしまっている少女…レンが立っていた。

 肩に背負ったカバンには祖父へのプレゼントが、地面に置いてある4つのビニール袋には本日の夕食と明日の朝昼食の食材が詰められていた。

「…おっ、あれって晶やん、おーい! 晶ー!!」

 彼女にしては珍しくとぼとぼと元気なく歩いている少女…晶を見かけたレンが、そう大声で呼んだ。

「…んっ、なんだ、レンか」

「なんだとはなんや、そっちはどうなったんや?」

 元気のない晶を心配するように、レンがそう聞いた。

「いや、公園で会うことになってて、これから行くとこなんだけどな」

「なんや、それじゃあ、はよういったれや」

「うん、わかっちゃいるんだけど。…俺、女の子を振るのなんて初めてで…」

 落ち着きなさそうに、晶がそう答える。

「あほか、そんなんうちかてないわ。それに振るんやいう風に考えんと、ほんまのことを教えたげるだけやって、考えた方がええんちゃうか?」

「…そ、そうかな?」

「ふつうに考えたら、女の子やってわかったら、それで終わりやろ」

「…そうだな、そうだよな!」

 レンの言葉に、元気を取り戻したように、晶の声が大きくなってくる。

「よし、なんか元気出てきた」

「単純なやっちゃなー」

 そう苦笑しながら、レンは元気になった晶を優しく見つめる。

「…あっ、でも、その大荷物大丈夫なのか?」

 自分の問題が軽くなると、途端にレンの方が心配になったようで、晶がそうたずねた。

「ん、すぐにお師匠が来てくれることになってるから平気や。こっちのことは気にせんと、ちゃんと誤解といたれよー」

「うん、そうだな」

「じゃあ、おいしいもんでも作っといたるから、気張ってこいやー」

「おうっ!!」

 そう言って、互いにハイタッチをした瞬間だった…

 

「あ、あきら…さ…ん…」

 

 …二人の耳に、涙でかすれた女の子の声が入ってきた。

「あっ、君はっ!」

 晶が途端に緊張で身を固くする。

「…あっ、この娘が…(でも、なんで泣いてんねん?)」

「…そうですか、そういうことだったんですね…」

 目に涙を溜めたまま、少女が声を絞り出す。

「えっ、そういうこと…って?」

「…な、なんだ、言って下さいよ。やだなあ、ちゃんと…

 …ちゃんと、付き合ってるひといるんじゃないですか…」

 

「「えっ!!」」

 

「ちがうって、こいつはそんなんじゃないって!!」

「何いうてんねん、なんでそんなんになるねん!!」

 少女の言わんとすることに同時に気づき、同時に否定の言葉を上げた。

「…だって、お似合いじゃないですか」

 

       俺       緑ガメ

「「なんで、    がこんな     と!!」」

      うち       おさる

 

「ほら、やっぱりお似合いだ」

「ちがうって!」

「ちゃうねんって!」

 あわてて二人そろって反論する姿は、確かにどう見ても仲のいい二人にしか見えなかった。

 

「じゃ、じゃあ、二人とも…お幸せにっ!!」

 

 少女は、二人の反論を一切許さず、そのまま走り去っていった。

 

 …恭也達がスーパーに着いたのは、ちょうどこのときだった…

 

 

 

「大体、てめえは昔っから気に入らなかったんだ!!」

「ほほう、奇遇やなあ、うちもやねん!!」

「今日こそ、てめえを地べたにはいつくばらせてやらあ!!」

「だったらこっちは、今日もはいつくばらせてやるわー!!」

 どたどたと、庭の方に二人して出ていく。

「ちょっ、二人とも!!」

「けっ、喧嘩はだめだよ〜!!」

「キョ、恭也ァ…」

 無言のプレッシャーの中、恭也はゆっくりと湯飲みをおろすと…

 

「まっ、あれがあの二人の友情の確認みたいなもんだ」

 

 …と、静かにのたまうのだった。

 

 

「このおっ、吼破っ!!」

「なんのっ、寸掌っ!!」

 

 

 

 …二人のかなり激しいじゃれあいの声が、今日も高町家の庭に響くのであった…

 

 

 

 

 

…ちゃんちゃん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き

 

 

 というわけで、とらハシリーズの最初のSSは、とらいあんぐるハート3の晶とレンのコンビでした。

 なんでこの話ができたかというと、レンシナリオでの、晶のあまりのかっこよさからです。あのかっこよさは恭也を越えていました(笑)

 それで、これって晶が男だったら、レンにぴったりなのって晶じゃんと思ったのがきっかけでした。

 オリジナルキャラは、晶に告白した女の子ですけど、押しが強い、思い切りと思いこみが激しいということ以外は、詳しい描写はまったくしませんでした。だって、どうでもいいキャラだし(笑)

 とりあえずSSの基本として、けっこう楽しく書けました。

 

 ただ、唯一残念なのは、須達龍也一押しのキャラである、月村忍ちゃんを一行たりとも書けなかったことでしょうか。

 なんか忍ちゃんって、登場させるには独立エピソードが必要な感じですよね。

 まあ、今後に期待と言うことで…

 

 ではでは、感想など非常に本当にすっごく期待しております(笑)

 ホント、マジで期待してます(泣)

 

 

 

 

 


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