「はかせ、んちゃ!」

 

 エルザが扉を蹴破って、そう言った。

 

「…お、おお、んちゃ」

 

 驚きというか、混乱というか、微妙にアレレな気分でウエストも返事を返す。

 

 エルザが扉を壊すことは、そう驚くべきことではない。ときどきやる。てへっ失敗みたいなフリをするが、わざとっぽいことが多い。…それは驚きも混乱もアレレな気分も呼ばない。

 んちゃ…ってなんだ? どこか不思議でなつかしくて、あまずっぱい青春な感じ。…それは驚きというか、混乱というか、微妙にアレレな気分にさせてくれる。

「はかせはかせ、エルザ、ロボットのことを勉強したロボ」

「そ、そうなのか…」

 なんというか、我輩的にはノリマキよりはむしろケムマキ…じゃなくて、マシリトな感じがするとか思いながらウエストがエルザを見ていると、なんか頭をうんうんと持ち上げようとしている。

「何をしているのだ?」

「はかせ、エルザの頭、取れないロボ」

 見たまんま、頭を外そうとしているようだ。

「シャープペンの頭じゃあるまいし、そんな簡単に取れるようにはしていない。まあ、取っても大丈夫だとは思うが、頭にAIを詰め込んでるから外すといろいろ面倒だぞ…主に我輩が」

「それじゃあ、んちゃ砲は、口からどかーんと!」

「目からビームとかそこらへんの搭載は我輩もきわめて迷ったのだが、多段演算式AIの容積上、頭にはそれ以上装置を組み込めておらん」

 エルザの額の模様も、なんかのお楽しみ機能が付く予定だったのが、残念ながら流れてしまった跡だったりしたりしなかったり。

「じゃあ地球割り! ドカンと殴ってバカンと割るロボ」

「そんなことができるなら、我輩ブラックロッジにいないな」

 そういや、あの眼鏡ロボの戦闘力って、スカウターだと300くらい(byバンダイ)だっけ…ヲイヲイ、拳銃もったおっさんのたかだか60倍かよ、60倍の威力の拳銃では、地球は割れねえぞ…とか、ウエストが考えてたりしてると。

「何事も、やってやれないことはないロボ」

 とか言って、エルザが拳を構えて精神集中してたりする。

 

 

「でりゃあああああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 ………………

 ……

「なにごとだ!」

「大導師! 内部から強力な衝撃が与えられた模様です!!」

「なんだと!」

「崩壊止められません! 避難を!!」

「なんということだ…」

 

 

 

 

…無限心母、パカンとまっぷたつ…

 

…一人と一体、すたこらさっさ…

 

 

 

 

 

 

…終わっとけ!

 

 

 

 

 

 


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