……………

 ……

 …

「…すっ、すごいです! やっぱり先輩はすごいです!!」

「本当にな、…最高の愛か…愛の戦士を自認する俺でも、ちょっと言えないぜ」

 

「えっ!」

「なっ! 若人に美咲! なっ、なんでここに!?」

 抱き合う二人…勇二とまゆに声をかけたのは、若人淳と仁藤美咲の二人だった。

 そんけーのまなざしで見つめる美咲と、その肩になにげに手を置いている淳の視線を感じて、思わず二人は離れた。

「なんだよ二人とも、いまさら照れんなよ」

「でもいーですねー、秋月先輩。魔神先輩にそこまで言ってもらえるなんて」

 なおもほれぼれするように言う美咲に…

「おっ、なんだ美咲、言ってほしいんなら俺が言ってやるぞ」

「遠慮しとく、若人が言うとただのケーハクな言葉になっちゃうもん」

「ひで−ぜ、それが彼氏に言うセリフかよ」

「だって事実だもーん」

「そ、それよりもなんでここに?」

 なかば無視されていた感じの勇二が、再び問いかけた。

「…俺達だけじゃないぜ」

 その若人の言葉を合図にするかのように…

 

「いいなー、私も勇二お兄ちゃんみたいな彼氏がほしーなー」

「ほんとだね、来夢ちゃん」

 

「ら、来夢にのぞみ!」

 明るくなった来夢が、親友ののぞみといっしょに立っていた。

 

「少し…いいえ、かなりうらやましいかもしれませんね、あやめさん」

「そうですね、真澄さん」

「いーなー、まゆいーなー」

 

「真澄にあやめに、ミュシャまで…」

 巫女装束を身にまとった真澄と、光を取り戻し明るくなったあやめが微笑み、ミュシャは本当にうらやましそうに勇二達…いや、まゆを見つめていた。

「は、はずかしい…」

 まゆが顔を真っ赤に染める。

 そして、そんなまゆにも声がかかった。

 

「あーあ、ついにお兄ちゃんを取られちゃったか…」

 

「えっ…」

「…こ、この声は…」

 

「…でも、まゆお姉ちゃんならいいかな」

 

「あっ、あっ…」

「こ、こんな…」

 

 …驚愕する勇二達の前でにっこりと微笑んでいる少女…

 

「だって、…恵のほんとのお姉ちゃんになってくれるんだものね」

 

「…め、…めぐみ…」

 

「おやおや、でもまゆちゃんなら安心だな」

「そーね、あなた」

 

「…おじさまに…おばさままで…」

「…父さん…母さん…恵…」

 ただ愛する家族の名前を呼ぶだけの勇二に…

「…ん、なーに? 勇二お兄ちゃん?」

「…あ、ああ…」

 言葉に詰まり、なにも言えない勇二に…

 

「やれやれ、…強くなったな、勇二…」

 

 背後から声がかかった。

 ゆっくりと振り返る勇二が見たものは…

「なっ! 貴様まだ…」

「おっと、間違えるなよ、勇二」

 今にも飛びかからんとする勇二を手で制したのは、勇一の姿をしていた。

「…その通りだ。……久しぶりだな、魔神勇一」

 鴉丸羅喉が口を開いた。

「そう、私達にはわかる。…お前にもわかっているはずだな、勇二」

 タイガージョーが勇二を見つめた。

「…あ、…ああ…、ゆ、勇一兄さん…」

 

「…本当に強くなったな、勇二…」

 

 やさしい笑みをうかべて、魔神勇一は言った。

「に、兄さん! 父さんに母さん、恵!」

「勇二よ」

「勇二」

「勇二」

「勇二お兄ちゃん!」

 家族は互いを抱きしめあった。

 

「…兄弟…家族の再会か…」

 ぼそりと言った鴉丸に…

「…ふっ、勇二だけではなさそうだぞ…」

 タイガージョーがそう言った。

「…どういう…」

 鴉丸は最後まで言葉を続けることはできなかった。

 

「…羅喉お兄ちゃん…」

 

「…ゆ……ゆき…」

 呆然とつぶやく鴉丸の胸に少女は飛び込むと…

「…ただいま…お兄ちゃん…」

「……あ…

 …ああ、おかえり。…ゆき…」

 再会をはたした二人は抱きしめあった。

 

 

「…で、でも…どうして…」

 

 勇二はふるえる声でそうつぶやいた。

 …その中には大きなおそれがあった…

 

「…夢なんかじゃないよ、勇二お兄ちゃん…」

 

「…恵…」

 恵はゆっくりとうなずくと…

 

 

「…私達は覚えてるよ。…勇二お兄ちゃんの苦しみを…」

 

 

 勇二の目をまっすぐに見つめてそう言った。その恵の後ろで、両親もうなずく。

 それに続いて…

 

 

「…ああ、…俺達は覚えている。…勇二の悲しみを…」

 

 

 そう言って、若人と美咲がうなずく。

 そして…

 

 

「…私達は覚えてます。…あなたの優しさを…」

 

 

 真澄が…あやめが…来夢にミュシャが、うなずいた。

 

 

「…そして、…俺達は覚えている。…お前の強さを…」

 

 

 タイガージョーに鴉丸羅喉がうなずく。

 

 

「…そして…」

 

 

 一人の少女が勇二の前に歩み出る。

 

 

「…私は忘れない。…勇二君の愛を…」

 

 

「…まゆ…

 …そしてみんな…

 

 …でもどーして…」

 その勇二の問いに…

 

「…お前の一撃で目覚めたんじゃないのか?」

 

「…兄さん?」

 

 

「…恐怖の大王も、…愛って、ものによ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き

 

 エピローグという形で、前作に付け足しました。

 なんだかんだ言って、私もハッピーなのが好きですからね。

 

 私もあのEDは結構気に入ってますし(男達EDが一番だけど…)、恵ちゃんとかが生きていてくれたのは非常に嬉しかったです。

 でも、勇二とヒロインしかそのことを覚えていないというのが、少し残念だったため、このSSを書くことにあいなりました。

 無論……

「波陣らーぶらぶ滅殺!」

 …がやりたかったという指摘は事実ですけどね…

 

 それでは、感想などお待ちしております。

 

 

 

 


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