注意!
このSSは20000アクセス記念SS「リセットの一日」の続きとなっています。
先にあっちの方を読んで下さい。
また、あっちのりーちゃんはどーも受け付けられない…と言う人は、読むのはやめて下さい。
更に飛ばしてますので、あしからず。
「…ひとーつ、人に仇なす仇桜…」
暗闇にひびく声…その声に、悪人共は動きをとめて周りを見渡す。
「…ふたーつ、血にて染まりし緋桜を…」
雲の隙間よりから差し込められた月明かりに、一人の男が照らし出される。
「…みっつ、見事に散らすぜ! 桜将軍のおでましだー!!」
効果音とともに、桜色の鎧を身にまとった男が、さっそうと画面中央に登場した。
「きゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!
パパかっこいいぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
定食屋の魔法ビジョンの画面に向けて、少女は黄色い歓声を上げた。
「…ふぅ、やれやれ」
少女の目の前では、連れらしき少年が焼きサカナ定食を食べながらため息をついた。
「なによー、ため息なんてついて、せっかくのかっこいいシーンが台ナシじゃない!」
少女が少年にふてくされるようにそう言った。しかし、その視線はあくまで離れずに魔法ビジョンの画面を…いや、画面中央に常にうつっている男を見つめていた。
「…いや、べつにいーんですけど。…リセット様、焼きサカナ定食ひとつで何時間粘る気ですか?」
少年は丁寧にサカナの身をほじくり出しながら、目の前で目をキラキラさせて画面を見つめている少女…リセットに聞いた。
「…んー、べつにいくら頼んでもいーよー。がんばって2時間食べ続けてね!」
リセットはあくまで視線を外さずに、目の前で…といっても、全然見ていないのだけれども…ほじくり出した身にすだちを絞っている少年…セイルに答えた。
「…そうですか。…しっかし、もう1クール終わったんでしたよね。あのとき、ランス様もよく引き受けられましたねえ?」
セイルは振り返って、魔法ビジョンにうつる男に視線を向けた。
「…うん、そーねえ、けっこう実入り良かったみたいだし…」
目の前に置かれたコーヒーに、はじめて視線を落とし、リセットが答えた。
魔法ビジョンの方はCMに入っており、禿頭の男が困ったときはキースギルド…と言っているのをセイルはぼんやりと見つめていた。
「…はふう、でも、かっこいいわよねえ…」
リセットは冷めたコーヒーも気にせずに、うっとりするように…というか、うっとりしながら言った。
「きっかけは、キースギルドのCMにちょっと出ただけなんでしたよね」
セイルはそう言うと、焼きサカナ…すだちと醤油、大根下ろしのバランスが絶妙…を口に入れた。
「うん、そうらしいよ。…一瞬でも見てる人は見てるね」
再び視線を画面にもどしつつ、リセットは答えた。
「うへー、それがもう木9(木曜9時)の顔になっちゃってるんだから、すっごいよなー」
「……………」
「それも大人気で1クールを終えて、2時間スペシャルで2クール目に突入だもんなー、ほんとすごいなー」
「……………」
「最近の時代劇ブームってやつでしょうねえ。ご年配の人ばかりでなく、若い人にも大人気だって…」
「………セイル、黙る」
「…んぐっ!」
視線は動かさないまま、リセットはセイルの口を無造作にふさいだ。
「……むー…むーっ…むーむー!! …ぷっはあ、むっ無造作にふさがないでくださいよ!」
そう言いつつ、セイルが視線を画面に持っていくと…
「…ああっ、ギン様、行かないで下さいませ!」
「…ふっ、俺はしがない遊び人、やけどするだけだぜ」
「それでもっ、たとえ一夜限りのお戯れでも、どうか…」
…時間はだいたい9時40分といったところ、まあいわゆるお約束の濡れ場シーンってやつだ。
セイルの眼前のリセットは、もはや心ここにあらずという感じで画面に見入っている。頭の中ではどんな妄想が広がっているのやら…
セイルの方も、お子さまが見るにはちょっぴり過激なアノシーンを見ながら、そーいえば頭の方でいきなり桜将軍登場したなー…とか、2時間スペシャルだしもっかい濡れ場があるのかなー…とか、ぼんやりと考えていたのだった。
……………
……
「…はふう、かっこよかったなー…」
深夜11時…女の子が歩くのにはかなりでぃんじゃらすな時間、二人は月夜をぼちぼちと歩いていた。
「…もう結構遅いですよ、魔法でビューンっと帰らないんですか?」
二人連れの少年の方が、びくびくしながら情けないことを言った。
「…もー、いいじゃない、こんなきれいな月夜だし。…もうちょっと浸らせてよね。
…はふー、ほーんと、かっこよかったー…」
少女は少年の言葉に意も介さず、再び楽しい世界に足を踏み入れようとしていた。
「…まったくもー…はぁー…」
セイルは諦めたように、今日何度目かのため息をついた。
「…せいるー、おもしろかったよねー…」
「…はー、そうですねえ…」
「…せいるー、たのしかったよねー…」
「…そうですねー…」
「…せいるー、かっこよかったよねー…」
「…そうですねー…」
「…せいるー、だかれたいよねー…」
「…そうですねー…って、なに言ってるんですかー!!」
「…はへ?」
きょとんとした顔のリセットに、セイルはまくし立てる。
「そ、そんな、何てこと言ってるんですかっ!」
「ふみっ、抱かれたいねって言ってるよ?」
リセットは何怒ってるの?…って顔で無邪気に答えた。
「あ、あうー、年頃の女の子がー…ですねー…」
「なに言ってるのよ、まったく、セイルはふるいんだからー!
それに、パパってば『抱かれたい男』ナンバー3なのよ! 見てよこの雑誌! パパの特集号よ!!」
リセットはどこからか一冊の雑誌を取り出しては、それをバシバシと叩きながら言った。
「…どっから出したんですか、それ…
…それに一体何冊買ったんですか?」
「…えーと、保存用に観賞用に自慢用、あとは夜のお供に…えへへー……100冊は軽いかな?」
指折り数えながら、リセットはテレテレと答えた。
「…そ、そんなに買ったんですか?」
げっそりしながらセイルがつぶやいた。
「ふみぃ、だってだってぇー、本屋さんの前を通るとさー、パパがリセットに話しかけるんだもの、買ってー、買ってー…って、パパの頼みをリセットに断ることなんて…」
手のひらに『の』の字を書きながら、セイルのつぶやきにリセットが答えた。
「…言ってない言ってない、頼んでない頼んでない…」
「でもさー、でもさー、こういう風にパパが紹介されるのって、嬉しくもあり、悲しくもある、へんなきぶんだよねー!」
「ああー、また浮かれた…」
「あとは、テカフリオにキムサクを抜けば、パパってばトップよトップ!」
「あうー、こうなると長いんだよなー…」
「ああー、でもトップになるのもいやなのよねー! …でもでも、やっぱり3番なんてくやしいしー、あうー、リセット困っちゃう!!」
「ああー、リセット様、かえってきてー」
るーるー…と涙を流しながら、セイルは無駄になるであろう祈りを捧げるのだった。
「はっ、そうだっ!! 『桜将軍、リーザスを斬る!』で私を出してくれないかしら!
桜将軍ギンガム・リーザスとカラーの王女との一夜の夢物語! いいんじゃないいいんじゃない!!」
「…でも、一応あれ史実に基づいてるっていうふれこみですよう」
「……それで、それでー、濡れ場シーンも頑張るわ! あっ、でも初めてだし、思わずパパとか言っちゃって、NG出されちゃうかも!
やーん! リセットはずかしーーー!!!」
「あっ、あのっ、一応時代劇で、AVじゃないんですけど…」
「きゃぁーーん、リセットはじめてなのにそんなことまでっ!!」
「…ああっ、だからかえってきてー!」
「やあんっ! そんなにいっぱい出されちゃあ、赤ちゃんできちゃうー!!」
「うわああああぁぁっっっっ!!!!!!!!!
やばいです! まずいです! そのセリフだけはやばすぎです!! 教育的指導です!!!!」
「…へっへっへー、たのしそうじゃんかよ、おふたりさん」
「へっ!?」
「ふみっ☆ミ」
はた目から見ると、確かに楽しそうな二人に声をかけたのは…
「いやー、にいちゃんうらやましいねえ、俺らも混ぜてくれよ」
「そーそー、いっしょにたのしませてくれーってよ」
「ひっひっひ」
…いかにもーな、私達はならずものです…と名札をつけててもおかしくない3人組であった。
「…はー、だからさっさと帰りましょうって言ったのに…」
「……………」
「…僕はこういう荒事はきらいなんですから…」
「……………」
「…って、あの、リセット様、何してるんですか?」
きょろきょろと周りをうかがって、返事をしてくれないリセットに、セイルは問いかけた。
「ほえっ!?
いやー、桜将軍はどこからくるのかなーってっ☆ミ」
「…しくしくしく…お願いです、早く帰ってきて…」
無邪気な笑顔に、セイルはただ涙するのであった。
「てっ、てめーら! 俺らを無視してほのぼのしてんじゃねー!!」
「俺らをなめるなっちゅーねん!」
「まわすぞー、コラー!!」
無視された形のならず者連中が、いかにもバカです…と言わんばかりのボキャブラリーの貧困さをあらわしてきた。
「…ふー、やれやれ、しょーがないなー…」
「…ああ、やっと帰ってきてくれたー…」
「ヒロインがピンチになるのを待ってるのねっ☆ミ」
「だあぁぁぁーーーーっ!! 帰ってきてねぇー!!!」
夢見る少女と、パニクる少年…しかし、現実は待っちゃあくれない…
「いてこましたれー!!」
「やったれー!」
「おかしたるー!!」
殺到するならず者達に、少年の目に決意の火がともる。
「リセット様は、僕が守るっ!!」
おおっ、かっこいいぞ少年!!
「だあああぁぁぁーーーーーー!!!」
ボカッ、スカッ、バキッ、ゴメッ…ひゅるるーーー、ずささー…
「…セイルよわーい…」
足下に転がってきたセイルに対し、リセットがかけた言葉は実に無慈悲だった。…くーーっ、あわれなっ!!
「ううっ、だからこーゆーのはキライだって言ったのに…」
あまりにも予想通りな結果に、セイルは今日何度目かも数えるのも嫌になるくらいの涙を、再び流すのであった。
「へっへっへ、ナイト様はやられちまったぜえ」
「くっくっく、どうしようかなー?」
「はっはっは、やるんだなー!」
邪魔者を葬り、ならず者達は獲物へ近づいていった。
「きゃはっ、リセット、ピンチなのだーっ☆ミ」
……まだまだ余裕、ありそうね…
「ぎゃははははっ、いくぜー!!」
「いっただきまーっす!」
「おかすんだなー!!」
「…ちょっとまったーー!!」
「なっ!!」
「だっ、だれだっ!」
「なんだなっ!!」
「ん、くぅーーっ、まってましたぁーー!!」
声がかかってきた方を、リセットが期待に満ちあふれた目で見上げた。
…が、すぐに失望へと代わった…
「…んもー、ひどいですわっ、リセット姉様っ! ニアをおいてくなんてっ!!」
すたたーっ、がっし…とリセットに抱きついてきたのは、まだ可愛らしさの抜けていない少女であった。
「…その通りです。出かける際にはニア様に直接か、あるいは私に一言欲しいですね」
少女の後ろから妙齢な女性があらわれて、言いたいことを言った。
「そうよ、サリスの言う通りよ、姉様ってば黙っていっちゃあヤダ!」
「…ああ、夢見る時間が終わりを告げたのを、はっきり聞いた感じ…」
リセットは、今回初めての涙を流すのであった。
「こ、このやろっ、またまた俺らを無視しやがって!!」
「なめるなっちゅーねんなー!」
「ゆ、ゆるせないんだなー!」
「きゃあ、姉様こわーいっ!」
「そうですね、リセット様、ニア様を助けて下さい」
「……………」
「まあ、3人そろったと考えるとまあいいかっ、へっへっへ」
「なるほど、それもそうだな、くっくっく」
「みんなやっちゃうんだなー、はっはっは」
「お姉さまー、ニアを早く助けてー」
「そうです、早く助けてあげてください」
「……ブチッ!
…リセットスペシャアアアアアァァァーーーーーーール!!!!!!!」
……………
……
「…ああっ、私の夢が叶うのって、一体いつになるのかしら?」
リセットはとぼとぼと家路をたどりながらつぶやいた。
「…ちなみに、リセット様の夢って?」
いつの間に復活したのやら、セイルが一応聞いてみた。
「えっ、もう、やんやんやーーん!! リセットはずかしーーー!!!」
「…ああ、はいはい…」
何か続いたもう一つの世界の話、これにて再び閉幕です。
ではでは、みなさまごきげんよう。
またまた会える、その日まで。
…てなわけで、100000アクセス大感謝ぁぁーーー!!!
どんどんひゅーひゅーパフパフ!!
なんか、またまた「あの」りーちゃんの登場です!
リセット「待っててくれた人にはお待たせしましたっ☆ミ」
待っててなかった人は?
リセット「うふっ、リセットスペシャル!!」
ああ、そうですか…
セイル「でも、なんか勝手にランス様を銀幕の人にしちゃってますね」
ああっ、それねえ…
リセット「そうよ、パパはリセットだけのパパなんだから」
セイル「…それでは、ラ…いや、いいです」
リセット「らーくんにとっては、お父さんなのだ!」
セイル「…そうですか…」
いやー、いろいろあってね。
フルバのCD目当てで買った花ゆめで結構面白いのを見つけちゃってさあ。
セイル「…ちなみに、なんて言うタイトルなんですか?」
『緋桜白拍子』っていうタイトルなんだけど、一気に既刊4巻買っちゃったのだ!
リセット「それが、『桜将軍、リーザスを斬る』になったの?」
いや、時代劇が書きたくなって、あれはいろんな物をまぜまぜしたのだ!
セイル「…時代設定とかいいたそうな顔してるので、仕方ないので聞いてあげましょう」
ふむ、すまんね。時代設定は、リーザス8代国王の時代なのだ!
リセット「ふーん、それで?」
主役はリーザス王弟ギンガム・リーザス、白軍の将軍なのだ。
しかし、普段は遊び人のギンさんとして町に住んでるんだ。
セイル「…なーんか、どこかで聞いた気が…」
悪を見つけると、その持ち前の正義感で、白軍の鎧を身につけて登場し、悪即斬!!
リセット「…それがどうして桜将軍なの? 桜吹雪の入れ墨を出すの?」
いや、落ちきらなかった悪人の血で、桜色に染まった白軍の鎧から、桜将軍なのだ!!
ニア「…ふーん、なんか生かし切れてない設定ですね」
ぐはああぁぁっっ!!! い、痛いところを…
リセット「あうっ、復活したのか…」
ニア「はいなっ! 姉様のいるところにはどこにでも参上しますわ!」
サリス「そろそろニア様の愛に答えて欲しいですわ」
リセット「ううっ…」
とりあえず、ニアの元ネタが誰かわからんと言われたので、サリスを登場させました。
リセット「…ださなくてもいいのに…」
ま、ではでは、これにて…
リセット「またまた呼んでね! 皆さんの希望メールで登場機会を下さいな!!」
最後に10万アクセス大感謝です。6桁のカウンター、フル稼働です!!
ではでは、感想とか、じゃんじゃん送って下さいませ。
リセット「待ってるよん!」