MALICE MIZER  Brise
「何もない白い部屋」は病室らしい。 
何かMana様が昔、入院してたときの話を聞いたGacktが 
詩にした、という話を友人から聞いたことがあるんだけど・・

Nana :03/03/22 16:22 ID:n75PAHMt



何もない白い部屋――この病室で出会った少女。 
彼女はいつも、どこか寂しそうな瞳をしていた。 
――何故そんな瞳をしているの。 
――君の笑顔が見たいのに。 
そんな思いがいつも胸をよぎっていたが、僕にはそれを彼女に 
直接告げる勇気がなかった。 

そんなある日、彼女がぽつりと、私はひとりなの、と呟いた。 
周りの人間からうとまれ続け、ここに押し込まれたのだという。 
寂しくて寂しくてたまらないのに、帰る場所はどこにもない。 
誰も私を愛してくれる人なんていない、と彼女は震える声を絞 
り出すと、大粒の涙を零し始めた。 
――僕と同じだ。 
僕にも、帰る場所なんてありはしない。 
僕を愛してくれる人なんていやしない。 
この白い部屋で朽ちていくばかりだと思っていたのに。 
僕がそこまで言ったとき、彼女は大きく目を見開いて僕を見つ 
めていた。 
――あなたもなの…?
彼女はそう呟くと、顔をくしゃりと歪めて僕にすがりついてきた。 

僕は彼女をなぐさめるように、泣き続ける彼女の髪を優しく撫 
で続けた。 
静かな、夜だった。 

それから彼女と僕が互いに想い合うようになるのには、そう時 
間はかからなかった。 
彼女は、少しずつではあったが僕に過去を語ってくれた。 
ここに閉じ込められた、夏の日。 
清潔すぎる病院の匂いに包まれた時、毎年のように感じていた 
焼けたアスファルトの匂いが懐かしく思えた。 
出来るなら、本当にあの場所に帰りたい。 
この白い牢獄から抜け出して。 
僕も、次第に彼女と同じ事を夢見るようになっていった。 
彼女と二人で、外の世界へ。 
いつでも窓から覗く空。 
あの空に、自由に、近付きたい。 

奇跡は、起こるのだろうか。 


ビロードのような優しい夜空が、窓の外に広がっている。 
照明を落とした部屋の中、細いロウソクの炎だけが僕と彼女を 
照らしていた。 
彼女の歳の数だけの明かり。 
僕が祝福の言葉を口にすると、彼女ははにかみながらその炎を 
吹き消した。 

辺りが闇に包まれる。 
少し置いて、月と星の光がやわらかく差し込み始めた。 
僕は窓に歩み寄り、静かにそれを開いていく。 
冷たい風が頬を撫でる。 
目の前には、吸い込まれてしまいそうな程の月明かりと星の光。 
――今なら、大丈夫かもしれない。 
そう感じた僕は、彼女のほうに向き直った。 
すると、先程までの彼女の笑みが消える。 
それほど真剣な表情を、僕はしているのだろうか。 
――自由になろう。ここから、二人で逃げよう。 
僕はそう告げると、窓から空へ手を伸ばした。 

世界が、大きく反転する。 
空に抱かれているような錯覚。 
一瞬、僕を見つめる彼女の姿が目に映る。 

鈍い衝撃。 

続けざまに僕の胸に飛込んでくる、愛しい人。 

頬を、生温い液体が伝っていた。 
――泣いているの? 
――泣かないで。 
――笑っていて。 
――僕が、なぐさめてあげるから。 

――二人で、自由になろう。 

僕は、空に少しでも近付きたかった。 
永遠に閉じられた白い部屋から、二人を解き放つために。

長すぎ(´・ω・`) 
しかも分かりにくい… 
やっぱ難しかったです…。 
マリス時代のGacktが子供の頃精神病院に入れられた事がある 
と話していた(真偽の程はさだかではありませんが)のを思い 
出して、それをもとに解釈してみました。 

Nana :03/03/22 16:22 ID:n75PAHMt