ムック 五月雨ムック「五月雨」 個人的な解釈です。 雨が降っている。 僕(主人公)は大きな悩みに苦しみ疲れ果て、何も考えられない まま雨の中をさまよい歩いていた。 ――つまらない人間だね、お前は。 心の声が聞こえた、ような気がした。 僕は聞こえないふりをして、雨に打たれながら傘を――自分を 包み癒してくれる何かを、探し続けていた。 雨はまだ、降り続いている。 僕は相変わらずずぶ濡れのまま歩いている。 ――……… 背後で笑い声が聞こえた気がした。 あれは僕の本心なのだろうか。 僕はもう笑う事など忘れてしまったはずなのに。 そういえば、子供の頃は雨の中でも構わず友達と遊んでいたっけ。 あの頃の自分は、どこに行ってしまったんだろう。 そんな事をぼんやりと思い出しながら、僕はふと空を見上げて みる。 すると、電線に一羽の小鳥が止まっているのに気付いた。 傷を負っているのか、飛び立つ事が出来ないようだった。 仲間を呼んでいるかのように、悲しげに鳴いている。 ――僕と同じように、ずぶ濡れで。 この雨が降り始めた頃、あの小鳥は群れからはぐれて深手を負 ってしまったのだろう。 もう恋人と大空を飛び回る事も二度と出来ず、ただ弱って死ん でいくのだ。 ――まるで、人の輪からはずれてしまった僕のようだな。 雨が小降りになってきた。 僕はまだ傘を見つけられずにいる。 やはり、他人に救いを求める事が間違っていたのだろうか。 自分を包み癒せるのは、自分自身しかいないのだろうか。 他人と分かり合おうとした事自体が、間違いだったのだろうか。 僕は、自分自身を守る小さな傘を受け取る事にする。 それは、自分以外の世界から自分を守る壁でもあった。 ――やっぱりつまらないよ、お前は。 心の声が聞こえた気がした。 胸の奥が、泣いている時のように苦しく痛んだ。 雨が降っている。 冷たい五月の雨。 ひとりぼっちでたたずむ僕と、群れからはぐれて傷ついた小鳥。 そこだけが、世界と隔絶されているようだった。 雨が止んだ。 雲の晴れ間から、明るい光が差し込み始める。 足元を見ると、そこには小鳥が冷たい躯で横たわっていた。 あの日、あの時、あの場所で、あの雨さえ降らなければ。 この小鳥はこんな結末を迎える事もなかったのだろう。 ――それでも、この雨が降らなかったとしても、僕はこうして 傘をさして歩いてゆくのだ。 ずっと、永遠に。 長い上に激しく分かりにくい解釈でスマソです… 鬼目の歌詞は難しいですねぇ…。 一応、傘=周りからの危害や痛みからの防護壁、という解釈を 元に話を広げさせてもらいました。 なまたま ◆IxT6281Ch. :03/02/20 22:01 ID:X70+nSwB |