ガゼット  32口径の拳銃
外は雨、六畳一間の狭い部屋はジメジメと湿気が凄い。 
精神的に不安定になった少年は引き出しの中に隠していた拳銃を持ち出す。 
少年の脳裏に、7年前の惨劇が蘇って来る。 

7年前、丁度今日のようなジメジメした夜、 
両親はこの部屋で、丁度今少年が持っている拳銃を用いて自殺した。 
少年の家族は世間との交流も少なく、誰かが定期的に尋ねてくるということも無かった為 
少年は発見されるまでの期間両親の死体と一緒に暮らした。 
冷たくなった父と母に語りかけてみても、返事は無い。 
泣いて、泣いて、それでも死体になった両親は無反応。 
両親の血で赤く染まった部屋で、腐臭のする中少年はかなりの期間を過ごした。 

暫く経つと死体は発見され、少年は施設に保護された。 
しかし、惨劇の夜の記憶、その後暫く両親の死体と暮らした記憶は少年を苦しめた。 
辛くて、苦しくて、気づいて欲しくて泣いてみても 
所詮施設の中の職員は皆他人である、仕事以上のことはしなかったし 
少年が泣いていても放置していた。 

拳銃の音、溢れ出した血液、赤く染まった狭い畳の部屋、 
両親の死の瞬間が何度も何度も頭に浮かび、少年は泣き叫び続けた。 
ある日子供のいない夫婦に引き取られ、優しすぎる母親と心配性の父親に愛される少年。 
少年もその夫婦に感謝し、好意を持ったけれどやっぱり惨劇の記憶は消えることは無かった。 
やがて大人になり、自立したある日、少年は惨劇の舞台となった部屋を借りる。 
心のどこかで、死んでしまった両親が帰ってくることを待ち望みながら日々を過ごす少年。 
しかし、少年の精神には限界が近づいていた。 
両親が命を絶ったピストルをこっそりと持ち続けていた少年。 
自身の体に銃口を向け、引金を引いた。 

惨劇の夜から7年間、少年はずっと心の奥底で本当の両親の帰りを待ち続けていた。 
自殺の直前に両親が言った 
「いつか3人手を繋いで またここで一緒に暮らそうね」 
と言う言葉が忘れられなくて。。 
まぁ「来世で」という意味合いだったのだが。 
その言葉を素直に受け止めた少年は待ち続けて、待ち続けて 
一人で部屋を借りた5日後、両親の元へ逝った。 

漏れの解釈は妄想多すぎだな。スマソ。

32口径の拳銃 :03/06/14 15:03 ID:WYYbZOWB