Fatima  赤い薔薇のスープ
僕はもうあんまり長くないんじゃないかと感じているんだ、
の言葉通り、主人公は確実に
自分に死が近づいていることにある日気付く。 
それがたぶん治らない病気なのだと悟る。 
思い違いなら別にそれでいい、
けれどもうすぐ春なのに胸には嫌な予感ばかり。 
今までこんなことはなく、なんとなく不安になる。 
食事が味気なく、不意にひどい動悸に襲われる。 
春を越えて夏まで生きられるのだろうかと憂う。
早く夏が来ればいいのに。 
君に会っても、もうすぐ会えなくなると思うと
喜びも悲しい憂鬱に変わる。 
部屋中にペットボトルの水を撒き散らしても
吐き出した血は洗い流せない。 
そのうちにまた動悸に襲われ眩暈がして床に倒れこむ。 
あとに残る君のことを考えると、
このまま溶けて水と一緒に蒸発してしまいたくなる。 
そうして消えてしまえば君の心には
初めから自分なんか存在しなかったことにできる気がして。 
死の予感は段々と不穏な空気を醸し出し、何の彩もなくなった日々に、 
ただ一つ鮮やかに赤く床に飾られていく、止まらない吐血。 
もう見飽きてしまった真っ赤な床。 
痩せ細った指からは君からもらった大事な指輪も
抜け落ちてなくなってしまった。 
動悸と眩暈が止まらない。
最近窓の外はいつも雨が続いている気がする。 
君に会うと悲しいだけで、
痩せこけた青白い顔のせいもあり段々と部屋からも出なくなる。 
唯一の話し相手だった野良猫も、
日々強まる血の匂いと変わり果てた自分の姿のせいか、 
最近部屋に姿を見せることがなくなった。 
死への恐怖と孤独の中で、吐き散らした赤い薔薇のような血が
気付けば部屋中を赤く染めているのが目につく。 
いよいよもうすぐ死ぬんだとゆっくりと目を閉じた。 
思い違いなら別にそれで構わない。
でも君を一人にすることなんて今までなかったから不安なんだ。 

前スレではサイコさんの歌、って言われてたけど、漏れはこんな感じに解釈。 
「赤い薔薇のスープ」は血、「君」はそのまま恋人かなと思いますた。 
需要なさげでスマソ。

Nana :03/09/27 08:35 ID:CP4whkUN