Web拍手 バルフレア夢 〜ミニシリーズ9話〜

 

 

 

※未プレイシーンなので噂と妄想でお送りします。

 

 

 

逃げた時点で私は諦めてしまっていた。

“空賊バルフレア”は死んでしまったのだ、と・・・

もう二度と自分の元へ帰ってくることはないのだと・・・
無理矢理自分に言い聞かせ、苦しむ胸をどこかで紛らわせたくて
音楽を愛してくれるン・モゥ族が多く居る神都へ逃げた。

そして日々ピアノを弾くことだけに無理に集中することで、忘れたと自分を誤魔化していた。

でも心晴れることは無くて、不安が消えることもなかった。
それはやっぱりバルフレアが居ないとどうにもならないんだよ。

 

「フランは?」
「外に居る」
「シュトラールは?」
「これから取りに行く」

そっか。と納得してもう一度腕に力を込めた。
シュトラールよりも先に探してこっちに来てくれた。
そのことに嬉しさが込み上がる。
あまりにも力を入れるものだからバルフレアが怪訝そうな声で名を呼んでくる。

「ごめんなさい。次に手を離したらそれこそ二度と会えなくなるような気がして・・・」

「・・・俺は消えたりしない」

そうバルフレアは答え、今度はバルフレアが両肩を強く掴んできた。

「そんなに俺のことが心配か?」
「当たり前でしょ?! あれから姿全然現さなくて・・・どれだけ心配したと思ってるのよっ!死んだと思ってたんだからッ」

口の端を上げいたずらのように聞いてくるその表情に逆撫でされるように叫んだ。
「死」という言葉を口にした途端涙が溢れる。
一番考えたくなかった最悪の結末。
もしかして。でもそんなことはない。でも、もしも・・・
そんな堂々巡りでいつも怯えてた。

 

「来てくれて良かった・・・・・・ありがとう・・・」
「攫って欲しかったのなら、こんな分かりにくい場所に隠れるなよ」

泣きつつも礼を言うと、苦笑され掴まれていた両肩が離される。
変わりに額になにか温かいものが当たり、強く抱擁してくれる。

人の温もり。ただ感じるだけでこんなに落ち着くものなんて・・・

ああ、今とても幸せ。

 

「戻ってきてくれて本当に良かった。おかえりなさい」

今度は顔を上げて笑みを浮かべて言うと、同じように笑みを浮かべて「ただいま」と囁いてくれた。
たったこれだけなのに酷く安心する。

本当に良かった。

おかえりなさい。

 

 

 

 

 10話へ

 


〜あとがき〜

 

10話までの短いシリーズものの9話です。
ED後の話です。
バルフレアとフランって消息不明時、どこにいたんでしょうね?
どこにいたとしても、ブルオミシェイスで主人公を拾ってからラバナスタにあるシュトラール取りに行くにはもの凄く遠回りな気がしてきた今日この頃。。。